三鷹編

道路標識①

いつもの道をゆく。

いつもの見慣れた道路、いつもの見慣れた風景、いつもの見慣れた人たち。

まず新鮮だと思うことが無い。

こんな不変な毎日を生きていくのに飽きてしまった三鷹 慚季(みたか はじき)は憂鬱な気持ちだった。

いつも道端にある道路標識を見る。

勿論不変だ。

三角だの丸だの四角だの何回も見ていたので飽きてしまった。

もう少し歩くと犬の散歩をしているおじさんとすれ違う。

ほらすれ違った。

そしてそしてもう少し歩くと俺の勤めている会社が道路沿いに見える。

それを見た時に今日も1日頑張るか、となってしまう。

会社に入ると清掃員が階段の手すりを磨いてる。

御苦労様です、と清掃員に言う。コレが俺のルーティンだ。

仕事場に着くと目の前にあるパソコンを開いて仕事に取りかかる。

そして気付けば昼休み。

昼休みの割には20分しかない。飛んだブラック企業だ。

そして20分後に仕事を再開する。

そして19時に帰宅となる。

これを5年も繰り返している。

夜道を歩いて帰るのは朝と違って独特の雰囲気がある。

まぁそう感じるのは最近バスで帰ってたからだと思うけれど。

家につくと妻が料理を用意してくれている。

それに感謝してたべる。

そしてゆっくり身体を休める。

気付けば朝。

またいつもの道を行く。

いつもの見慣れた道路、いつもの見慣れた風景、いつもの見慣れた人たち。

俺は月々こう思うときがある。

この不変な日常が変わってほしいと。

別に今の生活に満足していないと言うことではない。

人間は俗に言う飽きやすい生き物である。

皆もこんな事は良くあるはずだ。

いつもの生活を何万も周回して飽きてしまうということが。

そして三鷹は今日も5年前からのルーティンを全うする。

生きがいを無くし毎日を。

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