第3話
アレゴスが発動した軽い魔法程度で傷を負うほどノアも弱くはない。
その魔法はノアが常時発動している結界魔法に防がれる。
「……そうかッ」
魔法を向けられたノアは下唇を噛み、悔しそうにしながら言葉を向け……一息つく。
「……お前らのような老人から力を借りようとした俺が愚かであった」
「ん……?」
老人?
僕は若造も若造……未だ成人もしていない齢で、ノアよりも年下。前世の分を合わせても年下である。
「アレス……君には期待している……」
「おぉ?僕は特別扱いか……ふふん。そんな悪い気分ではないね」
特別扱いは何であれ良いものである……特別感って良いよね。
「俺はここで失礼する……お前らと居ても現状が良くなるとは思えぬのでな」
「あら?ここから逃がすと思って?」
「……同意だ」
「規律を乱すやつをそのままにはせぬわい」
「ここで死ねぇい」
帰ろうとするノアに対して僕を除く全ての円卓の奇跡のメンバーが殺気を向け、魔法を発動させる準備を始める……え?ここでドンパチやらかすの?
「ふんっ。こんなところに何の保険もなく来るか」
ノアはそう捨て台詞を吐き捨てると共にその体が消滅……この場にいる全員を出し抜いて逃亡したのだった。
「おぉ?」
なんだろうか、今の魔法は……転移か?
空間操作系統の魔法は難易度が高く……転移とか誰も開発していない魔法だと思うのだけど……なんだろうなぁ?あの魔法は。
非常に好奇心がそそられる。
「ぬぅ。どうやって……ッ!」
まんまと出し抜かれた形となった円卓の奇跡のメンバーの面々は悔しそうに歯を食いしばる。
「よしっ」
そんな彼らを前にしながら僕は立ち上がる。
「……何じゃ?お前もノアと同じか?」
立ち上がった僕をアレゴスが睨みつけてくる。
「僕をあの人と同じにしないでよ……ここを裏切ってどこかの組織と組んだりはしないよ」
「なら……何の用で立ち上がる?」
「んや、帰ろうかと思ってね。一人いないんだし、僕も良いでしょ。会議で僕が役に立つとも思えないしね」
「……なっ!何を勝手なことを!」
「そうよ?もうちょっと協力してくれても良いじゃない」
「圧倒的若輩である僕はみんなとあんま価値観合わないし、何か価値があるような素晴らしい発言も出来ないんだよ。ということでそれじゃ!」
「あっ!待つのじゃ!」
僕はノアと違って明確に敵対したわけでも、悪意を向けたわけでもない。
そんな僕に対して彼らが本気で魔法を撃てるわけないし……ある程度の魔法で全力逃亡を図る僕を拘束出来るわけない。
僕は楽々と会議から抜け出した。
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