第6話

 僕が一体どう対処するか……そんなことを考えて沈黙していたのが少女的には気に食わなかったのだろう。


「ちょっと!何とか言ったらどうなの!?」


 少女はいきなりヒステリック気味にわめき始める。


「あぁ、忘れていたよ……■■■■■」

 

 呪文束。

 普通に言うと時間のかかる呪文の長さを縮めるちょっとした技術を使って一瞬で魔法の呪文を言い終えた僕は魔法を発動する……少女たち三人に向けて。

 

「……ッ」

 

 僕の魔法は少女たちをお店の上空へと転移させ、そんな彼女たちを四角い箱で囲って封印してしまう。


「これで良しっと……大丈夫だった?リスタ」

 

 僕は自分の髪を掴んでいた人が急にいなくなって地面に倒れてしまったリスタの方へと自分の手を差し出す。


「あ、ありがとうございます……大丈夫です」


 リスタは僕の手を掴んで立ち上がる。


「それなら良かった……リスタは僕にとって大事なものだからね。リスタ、学園でまで虐められている?」


「……はい」

 

 僕の言葉にリスタは躊躇いながら頷く。


「そっか……あそこの学園ってさ。12歳で入学、18歳で卒業の七年制の学園だったよね?」


「え?そうです……」


「ふむふむ。そうかそうか……リスタってば何歳だっけ?」


「えっ……?私は16歳ですが……」


「学年は二つ上……でも、あんまり問題ないかな?勝手に授業とかも抜け出しちゃえばいいわけだし」


「……?」


「良し。僕も学園に入学するわ」


「えっ?アレス様が学園に……?あの、学園は12歳から18歳までしか入れないのですが……」


「……僕ってば14歳だよ?普通に転入できる年齢なんだけど?一体僕のこと何歳だと思っていたの?」


「えぇ!?て、てっきりすでに成人しているのかと……」


「この身長で!?リスタよりも小さい身長で20歳超えていると思われていたの!?僕の身長もちゃんと伸びるからね!!!」


「す、す、すみません!しっかりと呪文研究者をやっているお方が私よりも年下だとは思えず!」


「まぁ、わかってくれればいいけどね?」


「許してくださりありがとうございます……」


「そこまで怒ってないから別に気にしなくて良いよ……どちらかと言うと驚いただけだしね」

 

 まさかリスタに年上だと見られているとは……あまりにも驚愕である。

 この身長で成人していたら泣いちゃうよ。本気で身長を伸ばすための魔法を開発し始めちゃう。


「ということで僕も学園に通うよ。リスタを虐めるような子は僕が懲らしめちゃうから」

 

 僕もリスタと同じところに居れば何の問題もなくなるよね?

 我ながら完璧な対抗策。

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