赤い糸を否定したい

Alice

第1話 赤い糸

俺は多分世界で1番平凡な人間だと思う。

親はサラリーマンと専業主婦。

大学生の姉が1人。

特に大きい怪我も病気もした事がないし、何か大きな事を成し遂げたこともない。

趣味も漫画、アニメ鑑賞。

そこら辺にいる普通のモブ男子高校生だ。俺の人生を漫画で例えるとゆるゆる日常系漫画。

俺だって、最近流行っている異世界転生系の漫画みたいになんかの個性をゲットして刺激的な毎日を送ってみたい。

みんなに注目されるような派手な個性を手に入れて悪いやつをアニメみたいにバッサバッサとなぎ倒す。…なんて


周りには

「幼稚だな」

とか

「いい加減現実みたら」

とか思われるかも知れないけど

憧れてしまったものは仕方がない。

今は深夜1時。

完全に深夜テンションな俺はくだらないことを思いついた。

「神様っ!なんかかっこいい能力を俺にお与えくださーい‼︎」

よし、漫画でこういうシーンあったあった。んで、ここで神が…「お前に大いなる力を与えよう」なんて言っちゃったりして。ってなに妄想してるんだよ俺っ!ここは俺の部屋。姉は海外に留学中だし、親は仕事じゃねーかっ!



…虚無。

俺は完全に自我を取り戻した。

マジでなにやってるんだ俺は…


「俺ん家、マンションじゃん…」

今更押し寄せたはずかしさで俺はベットに顔を埋め、そのまま眠りについた。


次に目を開けると、俺は自分の部屋ではなく、俺の知らない空間にいた。

「ここ…どこだ…?」

どこまで続く海のような白い空間。そこ何もなくて何故か全然知らない所にいるというのに焦りや不安は全くなかった。

「愚かな少年よ」

どこからか声が聞こえてきた。

「え…俺のこと?」

とっさに口から出た言葉はこれだった。あれ…なんか思ってるのと違うな。って愚かなは失礼すぎだろ!そんなことを考えてると神らしき人が一言

「そなたに力を与えてやろう」

と俺に言った。

本当に漫画の展開みたいだ。

よしっ!俺は〈個性〉を手に入れた!

これで平凡な生活からおさらばだ。

「ありがとうございます!」

「精進するんじゃぞ…」


ピピピピッ ピピピピッ

アラームがうるさく鳴いて、

カーテンの間から刺す太陽の光が瞼を刺激する。

重たい体を無理やり起こしてまだモヤがかかった脳で考える。


さっきのは…なんだった…?

もしかして、いや、もしかしなくても…

「夢だ…」

思わず口からため息がこぼれる。

まぁこんな馬鹿らしい夢を信じる俺が悪いんだけど。

「ん…?」

違和感。昨日とはちがう。何かの紐に結び付けられている感覚。恐る恐る布団に覆われていた左手を確認した。

「なんだ…これ…」

小指にに結ばれた赤い糸。

何回頬をつねっても何回目を擦っても確かに俺の小指に結びついている。しかもオマケに解けないという設定付きだ。

「これって確か…運命の…」

〈赤い糸〉幼稚園の時に先生から教えてもらったで記憶を頼りに思い出す。確か、運命の赤い糸で繋がれた男女は永遠に結ばれるっていうちょっとした伝説だ。

夢は本当なのか?俺の力ってこれ?いやしょぼすぎないか?

考えることいや、ツッコみたい所は沢山ある。しかし

「やべっもうこんな時間!」

俺は学校にいくしたくを始めた。


高校1年の春、俺、佐倉光(さくら ひかる)

の平凡な日常がひっくり返る気がした。

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