第3話 学校2日目

入学式の次の日の朝。夢香は目を覚まし、顔を洗おうと部屋を出ると玄関に家を出ようとしていた豊がいた。


 「おはようございます。今日は早いですね。」


 「あっおはよう、夢香ちゃん。ごめんね起こしちゃった?」


 「いえ、もう起きる時間でしたので大丈夫です。」


 「もうそんな時間か。俺行くところあるからもう出るね。朝ごはんは机に置いてあるからそれ食べてね。行ってきます。」


 「いってらっしゃい。気を付けて。」


豊は慌ただしく家を出ていった。夢香も朝ごはんを食べ、身支度を整えて学校へ向かった。登校途中、藍とばったり会って一緒に登校することになった。


 「夢香ちゃんこっち方面だったんだね。これから一緒に登校しよ。」


 「いいよ。話し相手がいると嬉しいし。」


2人は教室へ向かい少しして佐々木先生が教室に入ってきた。


 「皆さんおはようございます。改めまして、担任の佐々木志保です。今から皆さんは体育館へ移動して先輩方との交流と部活動紹介があります。この学校は部活動に力を入れていますので、自分に合った部活動を探してみてくださいね。それでは、まもなく時間になるので体育館へ移動しましょう。」


夢香たちはホームルーム後、先生についていき体育館へ向かうとそこには18人の先輩方と、先生方が待っていた。


 「それではこれより、各部活動紹介を行います。その後、各クラスに3名の先輩が付くので学校のことや部活のことなど質問して交流を深めましょう。ますは、運動部からです。」


その後、部活動生による実演やパフォーマンスなどの紹介が始まった。部活動に力を入れているだけあって運動部ではメジャーな競技のほかに射撃やセパタクローなどのマイナーな競技も充実していた。文化部も天体観察やロボット研究など幅広い分野で活動してた。


 「これを持ちまして部活動紹介を終了致します。本日より2週間は部活動見学期間、その後2週間仮入部期間を設けましてその後に本入部となります。1か月ありますので、じっくりと考えてください。それでは、これより1時間先輩との交流会を始めます。時間を許す限り交流を深めてください。」


教頭先生の挨拶が終わると、先輩たちが各クラスの前に立ち自己紹介の後、交流会が始まった。それぞれ授業やテストのこと、校則を先輩に質問したり、クラスメイト同士で話したりとかなり充実した1時間となった。

この日の学校はこれで終了し、夢香と藍は帰りながら入る部活動について話していた。


 「夢香ちゃんは入る部活決めた?」


 「いやまだ。ゆっくり考えようかなって。藍ちゃんは?」


 「私もまだ決めてない。中学までは文化部だったから高校では思い切って運動部でもいいかなって思ってる。」


2人が雑談しながら帰路についていると、喫茶店から出てきた豊とばったり会った。


 「あっ、夢香ちゃんに藍ちゃん。もう学校終わったの?」


 「はい、今日まで午前で。」


 「そうなんだ。お昼ご飯は食べた?」


 「いえ、まだ食べてないです。藍ちゃんどうする?」


 「お母さんが用意してくれているみたいだから家で食べるよ。」


 「じゃあまた明日ね。バイバイ。」


夢香たちはその場で愛と別れ、自宅に帰り着いた。


 「へー、今日は部活の紹介だったんだ。どれに入るの?」


 「まだ決めてないです。いろいろあって悩んじゃって。お兄さんは高校時代は何部だったんですか?運動部っぽいですけど。」


 「残念。運動部じゃないよ、俺運動苦手だし。高校の時は文学部だよ。ただただ本を読んだりしてただけ。」


 「へぇー意外です。確かに部屋にいっぱい小説ありますもんね。ジャンルもいろいろと。」


 「まぁ読んでないのもあるけどね。読みたいやつがあったら読んでもいいよ。」


 「活字読むの苦手なんですよね。でも、あれは読めました。『姿なき親友』。」


『姿なき親友』は1年前に発表されたミステリー恋愛小説だ。今現在も続編が発売され続け、発売される度に重版されている大人気小説である。だが、作者の寒咲山茶花かんざきさざんか先生は名前以外の情報が全く公開されていない謎の天才小説家として様々な憶測や考察が飛び交っている。


 「あの小説は読みやすいのに内容が深くて私でも読めたんですよ。お兄ちゃんは読みました?」


 「俺は読んでないんだよね。買おうとしたらいつも完売してて、買うタイミングを失った。またチャンスがあったら買ってみるよ。」


 「それはそうと、明日からはお昼用意しなくてもいいの?」


 「そうでした。学校から給食が出ないのでお弁当か学食になるんですけど。」


 「そうなんだ。じゃあ弁当作るね。毎日学食じゃお金足りないでしょ。」


 「でも、お弁当作るのって大変なんじゃ。」


 「大丈夫だよ。自分のお弁当作ったりしてるし、そこまで手間ってわけでもないしね。それじゃあ、お弁当箱買いに行こうか。俺の分一個しかないし。ついでに夕飯の買い物もしよ。」


 「ありがとうございます。」


 「いいよ。着替えておいで待ってるから。」


夢香は急いで自室に戻り着替えを済ませ、近くにあるホームセンターへ向かった。

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