学校

「おはよー」


 そう言って私は教室に入った。

 すると何人かの人達が「おはよー」と私に返してくれる。

 そんな挨拶をしながら、私は自分の席に鞄を置いて座った。


「おはよ」

「……ん、おはよー」


 席に座った私は前に座っている、長い黒髪の私の親友……双川夏希ふたかわなつきに挨拶をした。

 

「相変わらず眠そうだね」

「……眠そう……じゃなくて、眠いんだよ」


 そう私の間違いを否定してくる夏希。

 いや、そんなことを言われても正直どっちでもいいんだけど。


「……今どっちでもいいって思ったでしょ」

「な、なんでわかったの!?」

「……勘」


 勘……なの? 顔に出てたとかじゃなくて? いや、まぁなんでもいいけどさ。


「それより、私は……寝る、から。……起こして」

「いつもそう言って、チャイムがなったら自分で起きるじゃん」

「起きれない時があるかもでしょ」


 ……まぁ確かに。

 私も起きれる時と起きれない時があるし、否定はできないな。


「はぁ、分かったよ。夏希が起きなかったら、起こすよ」

「……んー、ありがとう」

「はいはい」


 




 それから夏希は、やっぱり自分で起きて授業を受けていた。


 授業が終わり、ホームルームも終わって放課後になった。

 

「夏希、今日家くる?」

「えー」


 私が夏希を家で遊ぶのに誘うと、何故か嫌そうだ。

 いや、なんで嫌そうなの。……もしかして私嫌われてる? ……い、いや、それはないと思う。……思いたい。


「なんで嫌そうなの」

「だって、美葉の家に行ったら美葉の距離感が近くなるんだもん。……別に嫌なわけじゃないけど、お姉さんが怖い」


 ……なんかごめん。

 だって夏希とイチャイチャしてるように見せることで、お姉ちゃんが私を諦めてくれないかなー? なんて思ったりしてさ? 夏希との距離感が近くなっちゃうんだよ。

 ……まぁ、意味が無い所か、お姉ちゃんが更に強引になってる気がするけど。

 

「じゃあ今日はやめとく?」

「うん……また今度にする」

「今度だったらいいの?」

「うん。……お姉さんが怖いのは事実だけど、今日は眠いから行かないだけだし」


 眠いのはいつものことでしょ。

 

 まぁ、だったらまた今度誘えばいいか。

 言ってることはホントだろうし。……実際何回も私の家で遊んだりしてるんだから。……もしほんとに嫌なら、断るはずだし。


「じゃあ、私は帰るね」

「ん……またね」

「うん。また」


 私は夏希にそう言ってから、鞄を持って教室を出た。

 





 夏希が遊んでくれなかったから、暇だなぁ。……お姉ちゃんも高校生だし、私より帰るの遅いし。

 家に着いた私はそんなことを考えながら、手を洗ってから自分の部屋に入った。

 ……勉強でもして時間潰そ。


「お姉ちゃん早く帰ってこないかなぁ……」

 

 

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