第4話 マネージャー

ダムダムダム。

体育館に響くドリブルの音。


俺は高校のバスケット部の一年生。

ポイントガードでレギュラー。


先輩を差し置いて。

スタメンに抜擢されている。


「ファイトッー・・・!」

アイツの甲高い声が響いている。


同じ部のマネージャー。

日高裕美。


俺の幼馴染。

腐れ縁だ。(笑)


大きな瞳で。

必死に応援してくれている。


これで、頑張らない筈。

ないじゃないか?


※※※※※※※※※※※※※※※


ダムダムダム。

ドリブルを突きながら。


コート全体を見渡す。


コーナーに二人。

マンツーマン気味のゾーンディフェンス。


中央のスペースを開けるため。


もう一人もアウトサイドに位置している。

そして、相棒の林がハイポストに。


べったり張り付くディフェンスを見て。

目でスクリーンを促す。


一年生コンビのピック&ロール。

チームの第一オプションだ。


ディフェンスがポストに引っ掛かった瞬間。

左肩を押し出す様にして、カットイン。


慌てて他のディフェンスが俺を囲む。


あざ笑う様に。

ロブパスを林に。


アリウープダンク!

・・・とは、いかない。


地方の高校生だもの。(笑)


タップショット(着地しないジャンプしたままのシュート)。

で、ゴール!


「キャーッ!」

体育館中で一番響く、アイツの悲鳴。


俺の血がザワツク瞬間だ。


振り返って目が合うと。

俺はフッと、口元を綻ばせた。

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