私を助けてくれた人 (彩葉視点)

 あの事件の翌日、私は樹先輩について少し調べていた...


「むぅ...あの人のことについて知ってる人がほとんどいないな...」


 先輩の人たちにに聞いても誰も知らないっていうんだよね...

 どんだけ知ってる人が少ないんだろ?


「君が樹のことについて調べてるっていう人?」


 体育会系のイケメンが話しかけてきた。

 なんかナンパとか?

 最近そういうのが少しだけあるんだよね...


「あなたは?」

「俺は樹の親友の”春日井 勇也”だ」


 そういって私に近づこうとしてるのかな?


「なんか信じられないですね...」

「なんでぇ?」

「いや急に樹先輩の親友って言われても...今までいろんな人に聞いても知らないって言われたんで...」

「まぁ確かにあいつは友達いないからな...でも安心しろ俺はあいつについて調べてるっていう人が珍しくてちょっと会ってみたくて来ただけだから...」

「まぁそれなら少しだけ信頼することにします」


 それにこのままほかの人に聞いても進展がなさそうだし...

 少しでも情報が欲しいから知ってるっていう人がいるなら聞かなきゃ...


「で、あいつについて何が知りたいんだ?」

「それは先輩の異性の好みについてです!」

「ブフッ!」

「私何かおかしいこと言いました?」

「まっ...まぁ一応聞いておくけど何で知りたいんだ?」

「先輩に次にみられるときに、先輩に一番好まれる私でいたいからです!」

「...そうか...なら教えてあげるよ...」

「ありがとうございます!」


 そっからはいろんなことを教えてもらった。

 先輩はどんな子がタイプなのかなどなど...

 結構踏み込んだことまでも答えてくれた...

 てかこの人は何でそこまで知っているのだろう?


「まぁ助かりましたありがとうございます...なんでそんなことを知ってるのかはわかんないですけど...」

「そりゃ古くからの親友だからね!でさ、今から何すんの?あいつのタイプとか聞いてもあいつは今寝込んでるし...」

「ちょっとだけ病院に行って先輩の様子を見てきます!」

「そうなのか...あいつにも春が来たのかもしれないな...」

「違っ!そういうのじゃ!」

「じゃあなんでアイツの好みになれるように人に聞いてるんだ?」

「勇也先輩!からかわないで下さい!」

「いやいや女っけのない親友に春が訪れて喜んでいるだけだよ!」

「っ!」


 体がどんどん熱くなっていく...

 こんな感じになったのは初めてだな...

 何でこんな気持ちになるんだろ...


「私は樹先輩の所に行くので!」

「おう落としてこい!」

「だからそういうのじゃ!...はぁ...」


 この人に何言っても駄目だな...


 私はこの人との会話をあきらめ、いったん帰ってから、樹先輩が入院している病院へと向かった...

 中に入ってから様々な手順を踏み、先輩の入院してる部屋にはいれるようになった...


「失礼します」


 たとえ先輩が起きていなくても礼儀はしっかりしないとね...


「先輩いつになったら起きるんですかね...」


 ほとんど話したこともないし、あってほとんど時間もたっていないけど。

 私はその人の横にいたいと強く願うようになっていた...


「先輩の寝顔可愛いですね...」


 そのまま私は顔を近づけていった...


「先輩好きですよ...」


 そんな言葉が口から漏れた...

 たったあって数日、出会いが特殊だっただけなのに...

 それでも今の私には、先輩がかっこよく見えて、こうやって近くにいるだけで、心臓の鳴る速度が速くなっていく。


「私って惚れやすいのかな?」


 でも、それでもいいと思ってしまうほどに先輩に惚れていた。

 きっとその思いは噓ではない...


「そろそろダンスレッスンの時間だ...また明日も来ますからね、先輩!」


 私は今日よりも綺麗な姿で先輩と向き合いたい!

 だから先輩が起きたときには、今よりももっと、先輩が見惚れるような姿で...


「まだまだアイドル頑張らなくちゃね!」


 そこが一番私を磨ける場所だから...


 ☆


 次回も彩葉視点なので、現状樹視点よりも多くなってます...

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