七神剣の森【R15版】（6月以降非公開）

一筋の光

一筋の光…壱…

プロローグ、或いは死の宣告

　処刑台（しょけいだい）の上に上がる。想像していたより遥（はる）かに小さい少年の登場に、場がざわつく。

　黒（くろ）鎧（よろい）の執行者（しっこうしゃ）が罪状（ざいじょう）を読み上げる。

　人々のざわめきは、段々と批（ひ）難（なん）に変わっていく。

「…おい、跪（ひざまず）け。その台に首を載（の）せろ。…もっと前だ、顎（あご）をつくな」

　執行者が少年に指図（さしず）する。その手には漆黒（しっこく）の剣（けん）が握られていた。

　少年はついに、前を向いて顔を見せる形になった。

　そして彼は、俄（にわ）かには信じがたいものを見た。

　目の前の群衆、その中に大切な人の笑顔があったのだ。

　その笑顔は、彼に向けられた送別（そうべつ）ではなく。

　彼に振り下ろされる漆黒の剣に向けられたものだった。

（どうして、）

　お前が中にいるのか。

（どうして、）

　俺が分からないのか。

（どうして、）

　人が死ぬという時に、それを喜べるのか──

　こんな事が、あって良い筈がない。

　彼の思考が停止した瞬間、裁（さば）きが下った。

　おかしなもので、胴から離れた事により、彼の頭はかえって冷静になった。

　真実を見付けるために、過去を振り返ってゆく。

（そうか…。）

　全ては、遠い昔から始まったのだ……。