ご縁という繋がり

 人はひとりで生きられず、誰かしらの人と接して関わる。


「いや~そんなことないよ独り身だし」って反論してくる方もいるけども、どこかのお店で商品を買い会計を済ませる時点で誰かと関わっている。店員多数が準備した結果、それを買うことができる。完全な人里離れた場所で、一人で住まいを建て、電気を使わず、水は沢から汲んでくるという自給自足誰の接触も拒めば、完全なる独りだろう。


 実際は、誰かと関わっている。


 その関わりの中、次第に仲良くなる場合と急展開で距離が縮まったり、その逆で仲違いすることもある。人のご縁って、どういう仕組みになっているのか分からない。


 それなりの長さを生きていると、ご縁に関して思い出すことがある。


 大学受験の時、遠方に行き、下見はしたものの知らない土地で一人で行動し、とても緊張しながら試験を受けた。その時のワタシの後ろの席に、驚くほどの魅力的な女性がいた。緊張が吹き飛ぶ程の衝撃だった。

 どうにか合格でき、入学した。その女性のことはすっかり忘れていた。


 しかし、同じ学科で出会った。


 たまたま、話せるようになった男子学生と話をしていると、その女性が近くに座った。思わず声をかけた。受験番号が一つ違いで印象に残ってた事を伝え、お知り合いになり、そのうち友人になった。

 夏休み、地元で自動車学校に通い、住民票を移していたため大学のある県の免許センターで筆記本試験を受けることになった。友人には話していたが、その女性は別の日に免許試験受けると聞いていた。

 当日、また緊張しながら免許センター行きのバスを待つ。


 バシィッ!と肩を叩かれた。


 振り返るとを見ると、その女性が立っていた。筆記試験落ちたので再試験だって。その後、一緒に受け合格した。

 他にも、休日にバッタリ出会ったり、その女性がバイトに行くため帰り道が一緒になって、別れた後ワタシがパチンコに行くと、少額投資で高額を得られた。この話をすると、その女性はすごく喜んでくれたことを覚えている。何かと結びつきがあるのかと思って、お礼も兼ねて食事に誘おうかとすると、先に別の同級生等から誘いを受けていて、それ以上の仲にはなれなかった。この女性とは、その後やりとりは全くないが、ただ、ありがたいと思っている。


 その他にも恋仲にはならないが、ワタシにとって相談役と言える女性とのご縁はあった。ただ、その方が結婚されると別の相談役が現れて、普段人付き合いは身構えて警戒するが、その防御壁を自ら壊して、お相手の方とやり取りする不思議な周期がある。

 いやね~ワタシは、イヤな経験もそれなりにあるので、人付き合いって慎重だし、少数派で構わないと思っている。友達100人できるかな?って、すごく疲れる。良くないご縁もあるんだよ。


 ある会社でバイトをしている時に知り合った女性。ワタシの過去職と同じ職種経験があるということで会社の文句言いながら話せる相手ではあった。でも、友人というほどではなかった。

 この女性が会社上司からのしつこいお誘いに困っていると相談を受け、飲み会ではバイト仲間で間に座ったり、距離を取らせる妨害工作をしていた。そういうことが何度かあって、二人で会って話したり、メールで深い話をすることもあった。そのうち、お互いに会社を辞め、それぞれ違う会社に入った。


「久しぶりに会わないか?」


 そういう誘いがあって、日時を決める。

 相手が都合が悪くなりキャンセル。

 また別日予定を立てる。

 台風が来た。

 お互いに風邪を引く。


 さすがに、会っちゃダメなんだろうと思った。しかし、気のせいとも考えられる。そして、次の約束をした。


 天候が荒れた。

 でも、強引に目的地に向かった。


 出会えて話をした。相手の女性と数ヶ月振りに会ったんだけど、印象が違っていた。すごく意地悪そうな顔つきになっている。それから話をしていたが、職場上司に噛みついたり、性格が荒くれ者な感じで敵ばかり作る人になっていた。その後、メールのやり取りをしていたんだけど、頼んでもいないのに勝手に女性を紹介するとか日程を強引に決められ、それを仕事日程で無理なので断ると、「紹介相手に恥をかかせるのか!」とよく分からない言い分でブチギレられる。

 それからメールでの喧嘩があってお互いに連絡を取らなくなった。


 ん~、なんだったんだろう?と思う方。そもそも、予定を立てているのに何度も会えないのは、会ってはいけないという流れを作られていたんだよ。本当に言いがかりがひどくて、その時は疲れ果てた。後から、やっぱり会っちゃいけなかったんだと理解したけど、「まさかね」って思うじゃん。見えない力が働いて会わせないようにするなんて。


 こういう経験からも、「見えない力(事)に敬意を払う」ことを考えさせられた。


 『合縁奇縁』という仏教用語があり、その意味は「人の交わりには互いに気がよく合う合わないがあって、それは不思議な縁によるもの」とある。


 良縁ばかりが縁でなく、悪縁もまた縁。腐れ縁も似たようなもんだろう。ただ、ビシィッて斬るべき縁もある。このご縁も、多少自ら動かないと掴めないので、待っていても仕方ない。自分の感覚で「ここイヤだな」と思う場所は避け心地よい場所、元々きれいな空間だと、似た感覚の持ち主に出会うように思う。

 変な話、激安店とそこそこ高い店だとジャンル問わず、身なりが異なる人が集まる。どちらが良いとかそういうのではなく種類の異なりが出てしまう。自分はどちらを選ぶか、どちらを望むか、そこで似た種類の方々とのご縁が生まれるだろう。

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