26.大量のSランク級ドラゴン相手に無双する

☆コスモside


 次の日、コスモ達は街を出た。

 王都へ向けて、旅の再開である。


「やっぱり、このまま王都に行くんですか?」

「うん。もし、何かあるんだったら、それこそ私の出番だからね」


 コスモはユリから、アオリが何を言っていたのかを、全て聞いた。

 ユリも言うか迷ったが、隠し事は良くないと思ったので、話してくれたらしい。


「私、ちょっと心配です……」


 ユリは歩みを続けるが、下を向いてしまった。

 コスモを心配しているのだろう。


「ユリ、大丈夫だよ」


 コスモは魔剣を振り回し、アピールをする。


「私には【剣聖】があるからね! SRランク冒険者3人に勝ったんだ、その強さはユリも知ってるでしょ?」

「そう、ですよね。そうですよね……!」


 ユリはコスモの強さを思い出したのか、明るい顔を前に向ける。


「誰が相手でも、何があっても、負けませんよね!」

「うん。だから、安心していいよ」


 そう、【剣聖】があればどんな相手でも一方的な戦いができる。

 最初はコスモも不安だったが、SRランク冒険者3人に勝って確信した。

 このスキルは最強だと。


 そして、数日が経過した。

 幸いにもあまり人に会わずに旅を続けられた。

 やがて、2人の視線の先には、小さくだが王都があった。


「王都が見えてきましたよ!」

「やっとだね」


 あの後も休める街はあったが、ほとんどは野宿であった。

 やっと、目的地へと辿り着こうとしていたのだ。


「ん?」


 王都ばかり見ていて気が付かなかった。


「ちょっ! なんですかあれ!?」


 コスモ達が来た方角とは別な方角から、大量のドラゴンが飛行していた。

 あの数、100体はいるだろう。

 見たことないが、銀色の鎧のような皮膚が、格の高さをアピールしているかのようだ。


「王都に向っていませんか!?」

「確かに」


 あのままだと、あのドラゴン達が王都へと侵入してしまう。


「私が行くしかないか」

「コ、コスモさん!? 流石に危ないですよ!」

「ユリはそこで見ていて」


 見るからに強そうなドラゴン達だが、今のコスモは自身に満ち溢れていた。

 コスモは、良い方向に変わったのだ。

 あのドラゴン達相手にも、恐怖は抱いていない。


「さて、行こうか!」


 コスモは物凄い速度で、移動し、ドラゴン達の前に立つ。


「凄い迫力だ……! けど……!」


 コスモは大きくジャンプする。

 そして、ドラゴンの頭を、魔剣で次々と叩いていく。

 叩かれたドラゴン達は気を失い、次々と落下していく。


「よし! いいね!」


 ドラゴンを足場にし、次々とドラゴンの意識を奪っていく。

 ブレス攻撃も仕掛けて来たが、それも余裕でかわす。


「ギャッ……ギャオオオオオオ!」


 群れのリーダーだろうか?

 一番体の大きなドラゴンが叫ぶと、ドラゴン達が気絶した仲間達を抱え、別方向へと飛んでいく。

 撤退の合図のようだ。


「ふぅ」


 コスモが背伸びをしていると、ユリが走って来る。


「す、凄いです! というか、あのドラゴン! 図鑑で調べた所、アルティメットドラゴンっていうSランク級のドラゴンでしたよ!? それを追い払うだなんて、凄まじいです! いやぁ、すみません。私が心配し過ぎでした! きっと、コスモさんならどんな相手にも負けませんよ!」

「ふふ、ありがとう!」


 さて、後はこのまま王都へと行こう。

 それにしても、王都へ行ってはいけないとは、これのことだったのでは?


(だとしたら、本当に心配し過ぎだったね)


「貴様か? あのアルティメットドラゴンの大群を追い払ったのは」


 王都へ向かって歩いていると、白銀ロングヘアーの人がこちらへと歩いて来た。


「そうですけど、あなたは?」

「我はSRランク冒険者のシロッコ。まぁ、本業は小説家なのだがね」


 またしてもSRランク冒険者だ。

 だが、今回ばかりは来るのも当然だろう。

 なんせ、ドラゴン達が王都を襲おうとしたのだから。


「宮廷魔術師がミスをしてね、アルティメットドラゴンの群れがこちらへ来てしまったのだよ。本来、あの数のそれを相手にするのは、SRランク冒険者でなくては難しい……けど、貴様はそれを簡単に始末した」


 シロッコはコスモを見て、頷いた。


「つまり、貴様は剣聖のコスモだな?」

「え? え、と、まぁ、そんな感じです」


 あまり言いたくなかったが、いい訳が見つからなかった。


「本当であれば、強いと噂されているコスモと戦いたかったのだが……今の戦いを見て試合を申し込むほど、我は馬鹿じゃない」


 シロッコは本を取り出し、コスモとユリにそれぞれ渡す。


「我の書いた小説だ。美しい仕上がりになっているよ。我のようにね」


 白銀のロングヘアは、手入れをされており、スタイルも良い。

 確かに、美しかった。


「では、我はこれで。自分で言うのも何だけど、忙しい身でね」


 そう言うと、シロッコは王都の方へ向かい、歩いて行った。


「私達も行きましょうか!」

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