コーラル達の剣術大会。~俺、器用貧乏なんですよ。外伝~

さんまぐ

第1話 ガットゥーの剣術大会。

コーラル・スティエット達はガットゥーに着ていた。

横には「なぜ僕まで?」と漏らすヘマタイト・スティエットや、「うおぉ!ガットゥーだ!麦畑だー」と喜ぶヴァン・ガイマーデ、そして横には「お前…俺はなんで会った翌日にマ・イードのガットゥーにいる?」と漏らすペリドット・スティエットがいる。



ペリドットに会った帰りにラージポットに呼ばれたコーラルとヴァンは、オルドスから「おかえり〜。ヘマタイトも来るから待っててね〜」と言われ、「参りました」と来たヘマタイトをヴァン達の横に立たせると、「じゃあ、明日はガットゥーで剣術大会だから、ペリドットを誘って見てきてね」と言われ、ヴァン達が何も返せない間にオルドスが「あ、ペリドット?私だよ。うん、今日はありがとね。それでさ、読書は後にして、コーラルとヴァンと後親戚とガットゥーの剣術大会行きなよ。帰りは王都で北部料理を手配しておくよ」と言い、「コーラル、明日の朝迎えに行くんだよ」と指示を出す。


口をパクパクさせて困惑のコーラルの横でゴルディナが「諦めよ」と言って肩に手を置く。


こうして有無を言わさずにガットゥーの剣術大会に顔を出すことになったコーラル達。

愛の証に宿るアクィは笑いながら「懐かしいわ」と言う。


コーラルは伝心術を使ってヘマタイト達にもアクィの姿を見せていて、双方向の会話も可能にしている。


側から見ればレイピアに話しかける不思議な図なのだが、皆気にせずにアクィの言葉を聞く。


「あのコロシアムの横にあるのが、ミチトがナハト君に頼まれて作った暴れてもいいコロシアム。ミチトは命を狙われ続けて蔑まれた半生を私達にくれた。そしてイブがそれを取捨選択してお義母様達に見てもらった。それからナハト君は変わったのよ」


この言葉にペリドットが「ああ、本にあったな。ナハト・レイカーが変われたきっかけだったな。その日を境に騎士団最恐になったんだな」と返事をする。


「うわぁ、ペリドットは本読むの早いんだね」

「のんびり読もうとしたんだが、お前達が来た事をオヤジに話したら、確実に忙しくなるから予習しておけって言われてずっと読んでたんだよ」


盛り上がるヴァンとペリドットを無視して、コーラルとヘマタイトが「ほら!行きましょう!」、「急遽オルドス様が席を用意してくれたのですから行きますよ」と言って前に行くとガットゥー当主に挨拶をする。


そして恭しく挨拶を返された後は高い特等席が用意されていて、ガットゥーの麦とサルバンのレシピを使ったクッキーなんかが出てくる。


ひと口食べて「うめぇ!」と喜ぶヴァンが、「ふふ。サルバンのレシピよ。スカロ様がガットゥーとお約束をされたの」というコーラルの説明を聞いていると、ガットゥーの当主が「スティエット様、この度はありがとうございます」と挨拶をしてきた。


「はい?」

「何を?」

「スティエット?俺もか?」


「ラージポットの無限術人間様からお話を頂戴した時には驚きましたが、既に公表させて貰いました。今回は近年稀に見る大盛況です」


何を言ってるかわからないコーラル達。

ヴァンがペリドットに「ねえ、本の中でミチトは何をしてたの?」と聞くと、ペリドットは「あ?確かシヤ・トウテは麦畑を楽しむツアーをロリー・ガットゥーに頼み、スカロ・サルバンはパンケーキのレシピを提供する約束、ミチトは優勝者に剣のプレゼントと、暴れられるコロシアムで先着100人の戦闘指南をして…」と言いかけた時に、ヴァンが「それだね」と返す。


ガットゥー当主も「はい!闘神の子孫に剣を頼めて、戦闘の指南もいただけまして幸いです!」と嬉しそうに言う。


ガットゥーまで来た。

特等席に通された。

おもてなしも受けた。


こうなっては断れない。

剣を作る。

戦闘の指南をする。

なんとまあ厄介なことになった。


「おじ様ぁぁぁ…」

「オルドス様…」

「マジかよ」


頭を抱えるコーラル達だったが、ガットゥー当主は「所で、もう1人いらっしゃるとお聞きしましたが?」と聞いてくる。


「もう1人?」

「僕と大叔母様とペリドット君」

「君はいらねぇ。それとヴァン…、後は誰だ?」


ここでヴァンが「もしかして」と言うと、空き席に全身真っ黒、漆黒の男が現れて「正解だ」と言った。


ヴァンが「あ、クロだ。お疲れ〜」と声をかけると、半臨戦体制のコーラルが「え?クロ?黒い服?あなたもしかして」と言い、警戒するヘマタイトが「黒のトゥーザーですか?」と確認をして、何が何だかわからないペリドットが「誰だお前、親戚か?」と聞く。


3人をスルーしてヴァンが話を進めて行き、「ねえ、ここに来るって事は名前とか名乗れたりする?」と聞くと、「ああ、俺はシャヘル。シャヘル・トゥーザー…いや、父達からは今日からシャヘル・スティエットと名乗るように言われた」と言った。


この展開に首を傾げるのはコーラルとヘマタイトで、「トゥーザーではなくスティエット?」、「何があったんです?」と困惑している。


ヴァンはペリドットに、「この人はメロの子孫で、ミチトのお父さんの姓を名乗ってるんだよ」と説明していて、逆にシャヘルには「ペリドットは知ってる?ライブの子孫だよ」と説明した。



簡単に情報交換を済ませた後は大人しく剣術大会を見物する。


だがペリドットはマ・イードのご馳走に集中していて、喜ぶのはヴァンで横に座るシャヘルが、「あれはカラーガの剣に近いな」、「あれはロムザの騎士団崩れだな」と解説するたびに「うわぁ」と喜ぶ。


退屈であくびが出てしまうのはコーラルとヘマタイトで、サルバン流からすればどれも眠たくなってしまう。


呆れたシャヘルが「メロがここに居たら怒られているな」と言うと、愛の証のアクィも「まったくだわ、どれだけ驕っているのかしら?」と苦言を呈する。


この声に慌てて姿勢を正すコーラルとヘマタイトだったが、アクィから「遅いわよ」と言われた後で、シャヘルから「所で武器の作成は誰がやるんだ?」と言われて青くなる。


ヴァンは「あれ?コーラル達はやれないの?」と声をかける横で、ペリドットが「一応言っておくが俺はやったことがないからな」と言い、シャヘルは「俺は真式ではないからな?」と続く。


これにはアクィも「私も模式だから説明は無理ね」と言うと、ヴァンは「だからオルドス様が呼んだのかもね。コーラルとヘマタイトも覚えなって話だよ」と言うと、ヘマタイトは「…頑張ります」と言った。


だかそこで終わらないのがヴァンで、ペリドットには「やったことがないならやってみなよ」と言い、シャヘルにも「真式とか抜きにしてやろうよ」と提案をした。


結局4人は大会どころではなくなり、必死になって決勝までの間にやり方を学んだ。

ちなみに鉱石はオルドスの指示でシャヘルが集めてきていたので到着が遅れていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る