第13話 爆上げ!

 31日の木曜日までに、残り1万円を稼がなくてはならない。


 マキは、売買比率や価格分布を見ろと言っていた。


「たしかに、ドル円は、ロングポジションがたまってきている」


 月曜日を迎えても、まだまだドルの勢い強く、何より円が弱い。


 春休み中は、一日中、相場にくぎ付けだ。


「すごい、123円上抜けた……」


 ドル円は、あっという間に123円を上抜けている。


 午後になると、その勢いは激しさを増した。


「うそでしょ。124円を上抜けた」


 一日で、1円以上の上昇だ。


「まだまだ、上がっていきます! 何、この円安?」


「円が、紙くずになる……」


 夕方になり、円は125円を上抜けた。


 パソコンの前で、青ざめるしかない。


「これじゃあ、入れないよ」


「そう、ですね……」


 もう、時間はないのだ。


 売買比率や価格分布を頻繁に見る。


「ドルは、買われすぎている感じがしますけど、どこが頂点なのか分かりませんよね」


「そうだよね。しっかり見極めよう」


 ボリンジャーバンドを表示しても、3αをはるかに上抜けているが、だからと言ってショートを打つタイミングが分からない。


 カリンは、チャートを見ながら、


「これなら、ちょっとだけロングしても、1万円とれたよね」


「ですね。でも、こんな高値だったら、ロングも打てないですよ」


 二人は、ため息をついた。


 しかし、相場は残酷だ。


「え、なに、この下げ! すごい下げてますよ!」


「125円つけたとたんに、何、この下落」


「シ、ショートしましょうか?」


「で、でも、騙しかもしれないし」


 二人はあたふたする。


 ドル円は一気に値を崩した。


 利益確定の売りが出て、ロングをうちつつあった人のポジションをロスカットさせているかのようだ。


「123円台まで、落ちちゃいました……」


「うう、ショート打てばよかった。ゴメン、アヤノ……」


「い、いえ、謝らないでください。これは、もう、訳が分かりませんので……」


 二人は、チャートの前で呆然とした。


 すると、部室のドアが勢いよく開いた。


「お疲れー、調子はどうだ?」


 マキが入ってきたのだ。


「マキが心配だからって言って、剣道部が終わったから、様子を見にきたのよ」


 カエデも一緒だ。


「おいおい、二人とも浮かない顔してどうしたんだ?」


 マキはパソコンの、現在の値段を見た。


「なんだ、123円じゃんか。今日はあんまり動かなかったのか」


 マキは、今日の動きをまだ、知らない。


「ち、ちがいますよマキ先輩。ちゃんと、チャートを見てください」


 マキは、ローソク足を表示する。


「って、なんじゃこりゃー!!」


 マキは、驚いた声を上げた。


「125円に上がってからの、123円かよ。ジェットコースターじゃねーか」


「なになに、それ、すごいことなの?」


「当たり前だよ。ウチもこんな動き、はじめてみた!」


 マキがカエデに説明している。


「そ、それで、アヤノ。1万取れたのか?」


 マキが急いで聞く。


「い、いえ、騙しかもしれないって思っていたら、そのまま下がっちゃって……」


「えー、節目の125円から下がってんだぞ。125円では利益確定の売りだろう。騙しだとしても、10銭くらいは一気に取れただろうし……」


 たしかにマキの言うとおりだ。


 タイミングを逃してしまったことが残念でうつむく。


「ちょっと、マキ」


 カエデがたしなめる。


「あ、いや、別に責めているんじゃないんだ。そりゃ、見ている方からしたら、難しいよな。あまり気を落とすなよ」


 マキは、悪かったといわんばかりに、アヤノをフォローする。


「でもさ、マキ。これから、どうしよう」


 カリンが聞く。


「うーん、ここまで動いちゃうと、レンジになるかもな」


「レンジに?」


「ああ。レンジで動いた幅を取っていくのがいいかもしれないな。とりあえず、今日は、ここから参入すると、大けがするから、やめた方がいいかもな。レンジっていっても、どちらかにブレイクする可能性もあるから、ちょっと様子見だな」


 マキが落ち着いて言う。


「そんな、マキ、アヤノは木曜日までにあと1万円稼がないといけないんだよ」


 カリンがマキに詰め寄る。


「い、いや、そういわれてもだな」


 マキは困った顔をする。


 でも、こうなったのは、元はと言えば、感情に任せた取引で失敗したからだ。


「あの、大丈夫です。しっかり、レンジまで待ちます。なんとか、します!」




 しかし、29日の火曜日もまた、124円台を回復。かと思うと、下落もしてしまう。30日の水曜日も、ボラが激しすぎる。


 ついに、木曜日になってしまった。


 朝、部室に入ったとたんに、カリンにぎょっとされた。


「アヤノ、だいじょうぶ?」


 目の下にクマを作ってしまっていた。


「あの、ぜんぜん、寝れなくて……具合も、悪いです」


 すると、朝から部室に入ってくる男がいた。


「大孫おおぞん先生!」


 大孫が入ってきた。


「どうだ?」


 とだけ、聞いてくる。


「まだ、1万円、足りません」


 大孫は、すこしニタリと笑った。


「あーあー、俺の査定にまで響くよな!」


 大孫が大声で言う。


 じわっと涙が出そうになる。


 そうだ、もう、無理なのかもしれない。


「おい、大孫!」


 カリンが叫ぶ。


 しかし、大孫はひるまない。


「何と言おうと、今日の夕方までに総資産120万円にしないと、留年だからな。これは、決定事項なんだ!」


 決定事項という言葉を強調して、大孫が言った。


「な、夕方までって、どういうことですか!」


 カリンがまた叫ぶ。


「そりゃ、そうだろ。留年の手続きもあるんだから」


「聞いてないですよ! 日付が変わるまででしょう!」


「なに、無茶言ってるんだ!」


 そう言って、大孫は部室を出て行った。




 そこへ、心配そうな表情のカエデとマキが入ってきた。


「いま、大孫先生が出て行ったけど、大丈夫?」


「カリンの大声も聞こえたぞ……って!?」


「アヤノちゃん、大丈夫?」


「ちょ、しっかりしろよ?」


 クラっとめまいがして、近くの机によりかかってしまった。


 カエデとマキが心配する。


「はい。ちょっと、貧血っぽくなっちゃいました。でも、大丈夫です」


 声にも力が入らなくなってきている。


「くっそー、あの大孫のやろう!」


 マキが、持ってきていた竹刀を入れた袋の紐を解きにかかる。


「ちょっとマキ」


 カエデがたしなめる。


「カエデ! ウチ、あの大孫ってセンコーが許せない!」


「わたしも同意見よ。でも、ここで変な事したら、それこそ中学時代のわたしたちと一緒よ。今日一日あるんだから、あと1万円なのよ」


 カエデとマキが、ここまで自分のことを考えてくれていることが、何よりもありがたい。


「わたしなら、大丈夫です。今日一日、だめかもしれませんが、頑張ります」


 カエデとマキは、心配そうな表情をしながら、剣道部の練習のため、部室を出ていった。




 この31日になって、チャートの粗い動きは止まったかのようだった。


 122円00銭を境に、上にいったり下にいったりを繰り返している。


「最近の様子を見ると、やっぱり、円安方向に行きたいと思っているのかな?」


「そうですね」


 また売買比率と価格分布の指標を表示させる。


「この前のジェットコースター相場で、ロングもショートも均衡してきています。ただ、円はまだ弱いので、円安方向で考えたいと思います」


 二人は、下がってきたところを、ロングすることで意見が一致した。


 お昼になっても、122円より上に位置していて、イマイチ下がらない。


 お昼ごはんは、のどを通らない。いまだ、122円20銭付近で、びたっと止まってしまっている。


「このまま、ダメだったら、どうしましょう……」


 悪い結果しか、想像できなくなってきた。


「きっと、大丈夫だよ」


「勝手なこと言わないでください!」


 叫ぶようにして言ってしまった。


「カリン先輩は120万円とれたからいいですよね! わたしだけ、こんなことって……」


「うう、ゴメン」


 どうして自分がこんなことを言っているのか、分からない。


 カリンのことは大好きだ。それに、自分のことのように、アヤノを心配してくれている。


 それなのに、ぜんぜん思ってもいないことを言ってしまう。


 投資は、こんなに、人を混乱させるのだろうか。


 カリンは、少しうつむいている。


 これじゃあ、ダメだ。投資は、我を失った人から退場していく。


 今までも、我を失って無理な取引をして、損を広げてしまった。この120万円を割ってしまった原因も、我を失ってしまったからに他ならないのだ。


「カリン先輩!」


 カリンの顔を見る。


「ご、ごめんなさい。わたし、わたし……」


 今度は、本当に泣いてしまいそうだ。


 すると、カリンがぎゅっと抱きしめてくれた。


「わたしのせい、だよね。本当に、ごめんね」


 暖かい、カリンのぬくもりが感じられた。


「いいえ、カリン先輩のせいじゃ、ないです……」


 カリンのふんわりとしたかおりが、コーヒーのかおりと相まって、気持ちを落ち着かせてくれる。


 いつしか、泣きそうだった感情はなくなった。


 安心感が心の中に広がっていく。


 しばらく、何も言わずにそうしていた。




 かなりの時間がたったような気がする。


 ゆっくりと、二人は向き合った。


「カリン先輩、ありがとうございます」


 カリンを見ると、ニコリと笑いかけてくれていた。


 ニコリと笑って応える。


「わたし、もう、大丈夫です。まだ、負けたわけじゃないですから」


「そうだよね。大丈夫だよ、きっと」


 二人は、相場に向き合っていった。


 昼過ぎから、ドル円は少しずつ下がり始めた。


「122円10銭を下回りました」


「よし、122円ジャストに近い!」


 二人は、円安になると読んでいる。


 122円がサポートラインとなり、跳ね返りのラインだと目星をつけていた。


「まだだよ。焦っても、いいことない」


 部活の終わったカエデとマキも心配してやってきた。


「よくわからないけど、とにかく、122円ちょうどで買って、122円10銭で売れば、1万円獲得できるのね」


「いい考えだと思うぜ。そこまで下がればいいけど……」


 現在は15時。夕方に近づきつつある。


「そうですね。でも、焦らず、じっくりです」


 まだ時間はある。


 ローソク足が、下がっていく。


「122円、割り込みました!」


「よし、ショート!!」


 122円ちょうどで、ショートポジションを持った。


 指値注文も、122円10銭だ。


「ここからです!」


「よーし、あがれー」


 しかし、相場は残酷だ……


「う、うそ」


「なに、これ……」


 二人の予想とは裏腹に、チャートは一気に下落する。


 損切する暇もなく、一気に損失が広がっていったのだ。


「121円90銭。マイナス1万円……」


「え、え、80銭割り込んだ。マイナス2万円……」


 どんどん、ドル円は下落していく。


 部室は、無言になった。


 16時……


「121円35銭……マイナス6万5千円……」


 ヨーロッパ時間に、円は大きく買い戻される動きとなってしまった。


「みなさん、ありがとうございました……」


 全て終わったと思った。


「ここから、75銭の上昇は、もうないと思います……」


 誰も、何も言わない。


「こうなったのは、わたしの責任です」


 みんな、うつむいたのが分かる。


「ほんとうに、ほんとうに……」


 もう、今回ばかりはダメだ。


 頭の中が真っ白になる。


 すると、ドタン! 部室のドアが開いた。


 大孫だ。


「なんだ、部外者まで入れているのか?」


 大孫がずかずかと迫ってくる。


「なに~マイナス6万5千円? 120万どころか、112万5千円じゃないか」


 大孫は、勝ち誇ったような顔だ。


「これは、留年だな! 今、手続きの書類持ってきてやるから、筆記用具でも用意して待ってるんだな!」


 すぐに部室から出て行った。


「あの野郎!」


 大声で、マキが竹刀に手をかけ、大孫を追いかけようとする。


「マキ、待ちなさい!」


 カエデが止める。


「で、でもよぅ!」


「今は、アヤノちゃん……」


 自分で気付かなかったが、涙があふれ出してきている。


「アヤノ……」


 カリンが、近づく。


「あれ? わたし、泣いちゃってる……」


 泣いていることが分かったとたん、急に悲しくなってきた。


 そこからは、嗚咽までこみあげてくる。


「アヤノ!」


 大声で、カリンが抱きしめてくれる。


「ゴメン。どうにもできなかった。本当に、ごめん……」


「うう、カリン先輩! わたし、わたし!」


 カリンをきつく抱きしめるしかなかった。


 もう、ダメなんだ。


 もう一度、1年生を繰り返さないといけないのだ。


 最後の一日で1万円、届かなかった。


 くやしい、くやしすぎる……。


 抱きしめているカリンも泣いているのが分かった。


 ふと目をカエデとマキにむけると、カエデも、うつむきながら、涙をハンカチで吹いている。マキは、アヤノと同じように、嗚咽を漏らして泣いている。




「ねえ、これって?」


 カエデの声が聞こえた。


「上がってるんじゃない?」


 涙で霞んだ視界で、チャートを見る。


「上がってきている……121円50銭……」


「いや、上がってきているけど、さらに60銭上がらないといけないですから……」


 チャートは、上昇をはじめ、陽線が伸びていく。


 しかし、もう、ほぼタイムリミットだ。ここから60銭の上昇は……


「えっ、うそ? なにこれ?」


 四人はチャートにくぎ付けになる。


「勢いをつけて、上がってきています。あまり、下がりません」


「121円60銭、70銭、80銭!!」


 カリンがカウントダウンのように言う。


「マジかよ。ロンドン時間に爆下げしたと思ったら、戻すのかよ!」


 マキも、声を上げる。


「え、え? これってすごいことなの? とにかく、122円10銭までいけばいいのよね?」


 カエデも、パソコンの画面に顔がくっつくくらい近づけている。


「い、いきました! すごい! 122円突入です! 爆上げです!」


「い、いったん切る? プラマイ0だよ。いったん入り直す?」


「何言ってんだ。それ、チキン利食いって言うんだぜ。この勢いなら、もしかしたら!」


「すごいじゃない、あと10銭ってところなのよね!」




 部室のドアが開いた。


「おーい、留年の届けを持ってきたぞー」


 大孫が紙を一枚、ヒラヒラとつまみながら入ってくる。


 得意そうな顔だ。


 しかし、それ以上に、部室にいた四人は得意そうな顔だった。


「なんだ、気持ち悪い奴らだな」


 大孫はパソコンの画面を見る。


「な、120万円!」


 パソコンの画面には、総資産120万円の文字が映し出されていた。


「ふ、ふん! まあ、留年しなくてよかったな。俺の指導力の評価も上がるしな」


 大孫は、面白くなさそうな顔で、部室を出て行った。


 四人は、そろって、アッカンベーをした。


 部室の扉がしまると、その場にヘタヘタと座り込んでしまった。


「ア、アヤノ、大丈夫?」


 カリンが心配する。


「これが、腰が抜けたってやつなんでしょうかね?」


 苦笑いしながら、答える。


 カエデとマキは顔を見合わせる。


 部室のみんなが、アッハッハ! と笑った。




 パン! とカリンが大きな音で一つ手を叩いた。


「よーし、今日はアヤノの進級祝いだ! わたし、アヤノに奢っちゃうよ!」


「え、そんな、カリン先輩だって進級じゃないですか。わたしだけそんな……」


「ううん、アヤノはこんなに頑張ったんだし、わたしのせいってところもあるからね。奢らせてよ」


 カリンはウインクして言った。


「じゃあ、お言葉に甘えて」


 ニコリとして返事をした。


「ねえ、それってわたしも行っていいかしら?」


 ニコニコしながらカエデが言った。


「楽しそうだな、それじゃあ、ウチもアドバイザーってことで、連れてけよ!」


 マキもニコニコしている。


 カリンは、こぶしを高く上げて、


「よーし、みんなで行こう!」


 と張り切った。


「それじゃあ、ファミレスに行きましょう! わたし、ドリンクバー奢っちゃうわ!」


「いいな! あそこのパフェもうまいんだぜ。ウチはそれをアヤノに奢ってやるよ!」


「え、お二人は違う部活ですよ! いいんですか?」


「遠慮しちゃだめよ」


「そうだぞ、水臭いぞ」


 どうやら、カエデもマキも、心からアヤノを祝福してくれているようだ。


 その日は、ハンバーグや食後のパフェ、そしてドリンクバーでお腹がいっぱいになった。


 食べ終わってからも、遅い時間まで語り合った。


 失敗談だって、今なら笑って話せる。


 何よりもうれしい時間になった。




 アヤノ以外の三人は商店街の方向だ。


 ただ、カリンは、


「わたしとアヤノ、ちょっと用事があるから」


 と言って、カエデとマキを先に帰した。


 近くの公園までやってきた。


 すでに周囲は真っ暗だ。


 星が瞬いている。


「なんか、嘘みたいな一年だったね」


「そうですよね。それに、わたしは一年の中でも、今日が一番疲れました」


 二人は、笑いあう。


「投資部は、ちょっとおかしな部活だったけど、アヤノのおかげで、本当に楽しかったよ。ありがとう」


「恥ずかしいこと、言わないでください」


 改まって言われると、とても恥ずかしい。


「それに、お礼を言うのは、わたしの方です。いつも助けてくれて、ありがとうございます」


 自然と感謝の気持ちが口から出た。


 二人は、無言で星を眺めていた。


 数時間前まで、あんなに絶望していたのに、今こんなに笑っていられるなんて。あらためて、投資は怖いと思った。


 これまでのことが、思い出される。


「ねえ、アヤノ」


「はい?」


「4月から、どうする? もう投資部を続ける必要もないし、ほかの部活とか行っちゃう?」


 少し不安になった。てっきり、4月からも投資部は続くものと、考えていたのだ。


 でも、よく考えると、カリンはカエデとマキと和解した。


 もしかしたら、剣道部に入りたいのかもしれない。


 本当は、このままずっと、カリンと投資部を続けたい。


 でも……


「カリン先輩、わたしのことは気にしなくていいです。きちんと剣道に打ち込んでください」


 カリンが楽しいのが一番だと思った。


「ちょ、なに言ってるのさ、アヤノ」


「え?」


 カリンを見る。


「わたし、剣道部なんか、入らないよ?」


「え? わたし、てっきり、投資部をやめて剣道部に行きたいって言い出すのかと?」


「ちがうちがう。その逆だよ」


 カリンが、手を振る。


「できればさ、このまま、アヤノと投資部を続けられたら、楽しいかなって、そう思うんだ」


 カリンが、ニコリとしながら言った。


「4月からも、投資部、続けてみない?」


 また、カリンと投資部を続けられる。


 それに、今度は留年のことも考えなくていい。純粋に、投資を楽しむことができるのだ。


 それを思い浮かべると、喜びが止まらない。


「楽しみです!」


 大きな声で返事をした。


「よーし、それじゃあ、今度は勝負してみよう! どっちが多く稼げるか!」


「ふふ、わたしも最近は勉強してるんですからね、負けませんよ!」


 二人は、アハハ、と笑った。


 星が一面にまたたいている。


 きっと、4月からは、とっても楽しい投資ができる。


 心の幸せ指数は爆上げだ。

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