異世界転移でドラゴンテイマー?! ~蒼竜と異世界の渡り人~

UD

第1話 蒼竜との出会い

「人の子よ。契約を違えて生きて帰れると思っているのか?」


 青黒い巨大な影から大きな透き通るような青い二つの光がギラッとこちらを睨みつけている。


 なにこれ?

 どうなってんの?


 オレは確かさっき突然地面に穴があいて落ちたんだよ、そうだよ!

 なんなんだったんだ、あの穴。


「聞いておるのか! 人の子よ!」


 あー、落ちたなあ。見事に落ちた。

 しっかしなんであんなとこに穴ができたんだろう?


「我を前にまだそのような態度であるならば望み通りお前を食ってやるしかなさそうだ。おい! まさか聞こえぬのか?! おい!」


「あ、いや、どうもごめんなさい!」


 知ってる。じいちゃんがいつも言ってた。

 気がついたらちゃんと謝りなさいって。


「おい! 人の子よ! どうやってここに入ったのだ!」

「え? あ。はい、ごめんなさい。わかりません」


 今オレのいる所にはなんだかでっかい魔法陣が書いてあってキラキラした破片がいくつもちりばめられている。


 あれ? よく見るとここって鳥の巣みたいにふっかふかだ。


「あの、すみません。ちょっと伺ってもいいですか?」


「人の子よ。我の話を聞いていなかったのか?! 今からお前を喰らうと言っておるのだが」


「あ、ああ。その前にちょっとだけ。ここってどこですか?」


「ん? お前はここがどこだかも知らずにやって来おったのか? そう言えばお前。いや、まさか。ちょっと待て」


 大きな青いドラゴンさんは僕を青い目でじっと見つめるとため息をついた。


「やれやれ。こんな時にひどいことをされるものだ」


 ドラゴンさんはうつむいて首を振っている。


「え?」

「いや、なんでもない。童、名前は?」


 青い目がギロリと僕を睨みつける。


「僕? えーっと。ヤマトです」


「ヤマト、か。ここは人の言うニニラカン大陸という所だ。お前は渡り人だな」


「渡り人?」


「うむ。この地ではない場所からやって来た者、ということだな」


「え? ええ? それって? 異世界転移?!」


「異世界転移? まあこの世界ではない世界からやって来たのだ。その考えでよかろうな」


「で? あなたは? どなたですか?」


「我か? 我はこの地を制する者だ。皆は『リヴァイ・テラレナ・オーケルフェルト・コクトグナス』である」


「りばいてられらおー???」

「ふんっ、この地の者はみな『リーヴァ』と呼ぶ」


「リーヴァ、さま?」

「ふむ、童。少しは学があるようだな。我を崇める事はこの地を崇めることだ。良い心がけだ」


「ありがとうございます。で、僕はなんでこんな所にいるんでしょう?」


「さてな。神のいたずらか、何か意思あってのことか、我にもわからぬな。おい、小童」


「はい」


「今から大切なことを伝える。もう時間がないため一度しか言わん。よく聞け」


「は、はい」


「今から我は幼生に戻らねばならん。そして幼生になった後、時をかけてこの姿に戻っていくのだがお前に守ってもらわねばならん」


 ドラゴンさん、リーヴァ様は諦めたような表情をして僕を睨みつけている。

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