第30話

『謝らないといけないことがあるでござる』


 焼き魚定食氏から唐突な謝罪メッセージが飛んできていた。


『何があったんだ』

『とにかく謝らないといけないでござる。今日お時間あるでござるか?』


 時計を確認する。

 もう夕方。今日ということは夜になるということで、そこまで急ぎの用件なんて思い浮かばないんだけど……。


「まあ別に予定もないからいいか」

『時間は大丈夫』

『そうでござるか! では十九時頃、アキ殿のところに行くでござる!』

『わかった』


 そう返事をしてから……。


「ん?!」


 あいつ家に来る気なのか?!

 別に俺たちのオンラインのやり取りで決まった場所なんてものはない。

 俺のところ、が指す内容としてわかりやすく思い浮かんだのはやっぱり我が家なんだが……。


「大吾に家の場所なんて言ったっけ……?」


 そんなことを考えていると、別の人物から連絡が入った。


「……知らない連絡先なんだけど」


 大吾とやり取りをしていたのと同じメッセージツールに、知らない相手から何かが届いている。


「電話番号とかでは勝手に追加されないようにしてたはずなんだけどな」


 要するに何かしらの知り合いか、どこかで連絡先を聞いてきたかのパターンということになる。

 とりあえず見るだけなら害もないので中身を確認した。


『どうも。沙羅っす。前回お邪魔した時に勝手に追加したっす』


 沙羅からのメッセージだった。

というか……。


『勝手にってどういうことだ』

『あ、返事があって良かったっす。先輩、アプリ開きっぱだったじゃないっすか。ID見えたんで覚えてたっす』


 なんか怖いことを言っている。

 ただまぁ、今はそれは一旦置いておこう。

 あのあとすぐ連絡してきたわけじゃなく、今この瞬間に連絡してきた意味が何かあるはずだから。


『なんで今になって連絡したんだ?』

『あーそうでしたっす。夜、自分もお邪魔するんでよろしくっす』

『え?』

『じゃあ休憩終わるんでバイト戻るっす』


 その後はスタンプだけが送られてきて、質問を出来るタイミングがなかった。


「どういうことだ……」


 多分大吾と沙羅は繋がってるということはわかるし、二人が夜に来るというのはわかったんだが……。


「何繋がりだ……?」


 全然接点が結びつかない。

 まあ考えても仕方ないか……。どうせ答え合わせはすぐなんだから。


「部屋の掃除、しとくか……」


 リヨンが来た時の反省も生かして、飲み物の買い出しも済ませておいたのだった。

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