聖女様と告白

俺は出くわしてしまった。


「俺と付き合ってください!」


告白現場に。俺はただ暇だったからそこら辺をフラフラしていたのに・・・しかも上宮さんへの告白を聞いてしまった・・・俺の胸のほうがズキッとした気がした。


「・・・」


上宮さんの顔は俺の方から見えなく、様子から考えている様子だった。・・・もしかして告白に答える、そう思うともっと胸の方に痛みを感じた。


男の方は俺よりもかなりのイケメンでチャラい感じの完全に陽キャの空気が流れている。上宮さんの清楚なところに惹かれたのか、それとも容姿のほうか、俺にはわからない。ただこれだけは言える。


上宮さんは可愛いということだ。


彼女が可愛いとなると、自分に自信があるやつがこぞってその子と付き合いたくなるのだ。俺の考えはラブコメのラノベから来ている。


「・・・告白ありがとう、でも付き合えません」


「そっか・・・理由を聞いても?」


「私にも好きな人がいます。私はあなたと同じようにその人に惹かれました。」


「そうなんだ・・・俺にもチャンスはあったのかな・・・?」


「あったかもしれませんね、彼と出会っていなかったら・・・私はあなたのことを好きになっていたかもしれませんし、誰も好きにならなかったかもしれません」


「そっか・・・俺はもう頑張った、上宮さんも頑張って」


「うん、ありがとう」


・・・丸く収まってよかった。しかし・・・上宮さんに好きな人がいたとは・・・?俺も知らなかった。聞いたら教えてくれるかな?


さて、帰るか。


ーーーーー


次の日、俺の下駄箱に手紙が入っていた。手紙はハートのシールで止めてある。これは典型的なラブレターというものである。中身には俺のことが好きだから付き合ってほしいことと今日の放課後に空き教室に来てほしいという内容だった。俺にも春が来たということか!


俺はるんるん気分で教室に入った。


「・・・おはよう」


「おはよう上宮さん」


今日も俺に挨拶してくれる上宮さん。上宮さんは俺が持ってる手紙に気づいた。


「・・・それ何?」


「これ?下駄箱に入ってた。多分ラブレターだと思う」


「・・・は?」


上宮さんから聞こえちゃいけないような冷たい声が聞こえた。


「いつもらったの・・・?」


「さっき。登校して靴をしまおうとしてた時」


上宮さんはこわばった表情で俺に聞いてきた。上宮さんは俺の方に手を出してきた。


「見せて」


「いいよ。はい」


上宮さんは真顔で読んでいたがどこか落ち着かない様子だった気がする。


「・・・これどうするの?」


「どうするって行ってみるけど?」


「・・・そう・・・」


上宮さんはそう言って本を読み始めた。その後の授業ではいつものようなチラ見ではなくまんべんなくガン見された。その目には光が写ってなかった。怖くて上宮さんの方に向けなかった。


ーーーーー


俺は耐えてやっと放課後になり、俺は空き教室に入る。


「・・・来てくれたんだ」


「沖川さん・・・?」


「そうだよ」


何故か沖川さんがいた。なぜこんなところに・・・?


「もしかして俺のことが好きなのって・・・」


「うん、そうだよ。私のこと・・・」


沖川さんは顔を赤くしてもじもじしながらそう答えた。その様子を見ていつものような彼女ではないことがわかった。恋というものは人を変える力があるんだな。


「それで・・・手紙読んでくれた・・・?」


「ああ、読んださ」


「私はその答えが聞きたいの・・・」


俺の答えはもう決まっている。


「ごめん、沖川さん。あなたとは付き合えない」


「・・・そっか」


沖川さんは笑顔ながらも悲しそうに見えた。無理して笑顔を作っているようにも見える。


「私もわかってはいた。澤本くんが私の告白を断るのは」


「それはなぜ?」


「だって、澤本くんは私のことがよくわからないことも理由の一つだと思うけど、もう一つは・・・」


そう彼女はためるように口を開いた。


あ と が き

作者です。次で澤本くんパート最終回にします。その後は上宮さんパートに入ります。よろしければ、応援や☆などよろしくおねがいします。

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