第5話 行方

前線Nへ向かっているロボットたちは、皆んなウォーリーの話題で持ちきりだった。

皆んな浮かない表情で心配している。


「おいみんな、ウォーリーが行方不明になったらしいぞ」


「知ってる知ってる。まさか敵に誘拐された?」


「ま、まさか!!!!!!いやそんなわけないって多分!!!!!!」


「えマジ?ヤベェはそれは、嘘だろ?」


ロイは信じられなかった。

まさか対地上制圧兵器という、いかにも強そうなロボットが行方不明になるということが。


「……いや、今考えるのはやめよう。ヒューーー。…………………」


もちろんウォーリーを探すため、捜索隊が派遣されようとしていた。



本部では、マジでおにぎりみたいなロボットが、偉そうなロボットに敬礼をしていた。


「ウォーリー殿は必ず私たちが発見します」


「うむ、よろしく。ラリー、お前には期待しているぞ」


偉そうなロボットは捜索隊で1番小さな隊長であり、おにぎりみたいな見た目でもある、ラリーに向かって言った。


「はい!この仕事についたことに、後悔はありません。必ずしも、ウォーリー殿を見つけ出します!!!!!!」


ラリーはくるりと振り向くと、捜索隊員のロボットたちを連れて、卵型の機械に乗った。


「司令官、エキタイマンはどうしましょうか」


「ああそうだな、奴には帰還するように指示してくれ。

あと毎度毎度偉そうなロボットって言わないで。

マジで、お前だよ!ナレーション!!!!!!

司令官って呼べ!!!」


「司令官はとても繊細な方なんです。そこんところ、よろしくお願いします」


あ、はーい(棒)。















「やっと行ったか」


ウォーリーは自分の部屋の前に誰もいないことを確認すると、またそこで待機し始めた。

……その様子を、監視カメラが見ていた。














捜索隊は前線Nにたどり着くと、ラリーはやたらと新人の多い方と、ベテランだらけの方に分けた。


「二手に分かれよう。お前らはあっち、我々はこっちを探す」


「た〜い〜ちょ〜う〜、そ〜ち〜ら〜に〜は〜、し〜ん〜じ〜ん〜し〜か〜い〜ま〜せ〜ん〜が〜、だ〜い〜じょ〜ぶ〜で〜しょ〜う〜か〜?」


「ああ、私が面倒を見るから安心しなさい」


ラリーはそう言うと、新人たちを連れて、走っていった。


「捜索は、ただ探すだけではダメだ。

人やロボットたちから情報を入手するんだぞ。今の時代、情報が最強の武器だからなぁ」


「はい!頑張ります!!!!!!」


新人たちは声を揃えると、走り去っていった。


ラリーはそこら辺に落ちてた椅子に座ると、缶コーヒーを出した。


「ふう、いやぁ、下っ端どもに仕事をさせるなんて、俺ってなんて善人なんだろうか。苦労人どもを見ている俺カッケー」


突然連絡がかかってきた。


「はいもしもし。あ、はい、今捜索に専念しております。はい、え⁉︎社内でウォーリーが発見された⁉︎」


「はい、監視カメラにウォーリーの姿が写っていました。直ちに帰還しなさい」


「はい(もし俺がウォーリーを見つけたら……、司令官を引き摺り下ろして俺が司令官になれる⁉︎)。直ちに向かいます」


ラリーは捜索隊員たちを集めた。


「みんな、サステナブルエンジョイから100キロ離れたところにウォーリーが発見された。直ちに向かうぞ」


「はい!!!!!!」


「私は一旦会社に戻って連絡する。先に行っててくれ」


「はい!!!!!!」


そう言うと彼は卵型の機械に乗って、会社の方へ向かっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る