第5話

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※※



 三〇分も早く教室に着いてしまったので暇でしょうがない。Web小説の更新巡回をすることにした。


 そんなことをしているうちにやがて教室には人が増えてくる。


「おはよう、カズヒト」

「あ、ああ。おはよう、ミユキ」


「今日は珍しく早いじゃない?」

「色々あってな。早く出ざるを得なかった」


「ふーん。ミナミ絡み?」

「そうだな。近因とまでは言えなくとも遠因でもない、って感じだな」


「複雑そうね」

「いや、案外と単純だよ」


 ミユキは俺の隣の席に座ると鞄を机に掛け、俺に向き直る。


「で、いい話? 悪い話?」

「どっちだろ? いい話じゃないかな?」


 このミユキって子は俺のミナミ以外の幼馴染。

 小学一年生以来の付き合いになるから、ミナミよりも数年短いだけでそれなりに長い付き合いだ。


 黒髪ショートに藍色のアンダーリムのメガネをしている知的な美少女ってやつで、俺とはかなり気易い仲だ。


「当ててみようか?」

「どうぞ。一発で当てたら今日の昼飯奢るぞ」


「ふふ、そうだな………別れた。ミナミと」

「………正解。チッ、勘の良いやつだな」


 まさかの一発で当てられる。


「ほんとに?」

「ああ」


 正解を引き当てておきながら驚いているとはな。


「………なるほど。それはいい話ね」

「ところで、なんでそう思うんだ?」


 一般的に別れ話はいい話ではないと思うが。俺の認識が間違っているのだろうか?


「カズヒトは放課後、暇?」

「暇だな。ファミレスでも行くか?」


「おっけ。じゃ、その話はそこで」

「ん」


 ミユキとはこの手の話はツーカーで通る。こういうところはミナミよりも昔から呼吸があう。





 放課後。

 昨夜、スマホメッセージが連投された様子から今日はミナミがなにか仕掛けてくるかと思ったが、やつは学校を休んだようでまったく接触はなかった。


 朝早く出る必要もなかったみたいだ。取り越し苦労。


 あれからスマホの方に連絡があるかはブロックしたから元より分かんない。休んだ理由も気にならない。すでに他人だし。


「カズヒト」

「ん?」


「浮気相手の新人ルーキー君。名前は須藤ダイスケ、身長一八五の長身イケメンで確かにお前の元カノにアプローチしていたようだ」


 ゴシップ好きで事情通なヨースケにはミナミの浮気相手をちょっと探ってもらっていた。

 浮気されたことが気になるって言うよりも、今後余計なことに巻き込まれないように予防線を張っておきたかったからな。早速助けてもらう。


「ふ~ん」

「で、そいつ、元カノにお前っていうカレシがいることを分かった上でちょっかい出していたみたいだな」


 あーそう。そいつは面倒くさそうなニオイがプンプンだな……。やだやだ。

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