第4話 キジタロー

「な、なんじゃこりゃ!」

 にゃーと鳴いたはずが、聞こえてきたのは人間の声だった。しかも、しわがれたじいさんのものだ。

「やった! 成功だ!」

 ユキナは嬉しそうに両手をあげて叫んでいる。

 横を見れば、チャーコは十代とおぼしき青年、サバオは中年男性の人間の姿になっている。

 二匹ふたり共、現実を受け入れられずにワナワナと震えていた。

「動物を人間に変える薬と惚れ薬を、一緒に入れたんだ! 私って、頭いいなぁ!」

 でへへ、とユキナは自画自賛して笑う。

「おい! なにしやがった! ユキナ!」

 サバオが怒りの込もった声で叫んだ。途端にユキナは眉根を寄せる。

「あれ、おかしいな……惚れ薬、効いてないのかな?」

「惚れ薬だと! オレが惚れてるのはサツキちゃんだけだ!」

「さ、サバオさん、落ち着いてください……ユキナちゃん、泣きそうになってるじゃないですか」

 チャーコが必死にサバオをなだめた。

 ワシは深々とため息を吐く。

「ユキナ……ワシもサバオと同じ気持ちじゃが、ワシはサバオほど若くない……話を聞く耳は持っておる……で、この薬、どのくらいで効果が切れるんじゃ?」

 なにい、と目をギラつかせるサバオを無視して、ワシはユキナをじっと見つめて返事を待った。

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