【完結】清楚系美人な先輩が、突然看病に来て至れり尽くせり甘やかせてヤらせてくれた後、今度は俺にデロデロに甘える可愛い彼女になった話(R15)

空豆 空(そらまめくう)

第1話 『部屋、入れて?』


——38.6℃


 はぁ……やばいな、熱上がって来たじゃん。


 超健康優良児だと自負していた俺が、珍しく風邪を引いた。寝てれば治るかと思ったが、そう甘くはなかった。


 熱はあるし、頭も痛いし身体もだるい。……おまけに、独り暮らしなのに買い置きの食材を全て切らしている。


 はぁ、詰んだ。もう無理、買いに行く気力も元気もない。


 今日が土曜日で仕事が休みなのだけが幸いだ……


 ふらふらとした足取りで台所へ行くと、俺は水道水を飲んでその場にしゃがみ込んだ。


 あーやばい。ベッドまで戻るのすら辛い。


 そのままその場で倒れ込もうとした時


————ピンポーン


 インターホンが鳴った。


 え、誰??


 振り返ってモニターを見てみると


……え?? ウソだろ、九条さん!?


 そこに写っていたのは仕事の先輩、美人で有名な九条さんだった。


 え、は? なに、これ、幻?? 俺、熱で幻覚見てるのかな、いや幻覚ならそれはそれでせっかくの幸せな幻覚、味わってみるのもいいか。


 朦朧とした意識の中で、インターホンに出た


「は、はい……」


 するとモニターに映る九条さんは、少し明るい顔をして、


『あ、二ノ宮君? お見舞いの品、贈呈しに来たから部屋、入れてくれる?』


 そんな事を言った。



 ……俺の部屋に、九条さんがいる。いつも朗らかな笑顔を浮かべる九条さんは、いつもツヤツヤとした黒髪のロングヘアで、清楚なお姉さんと言った雰囲気。職場内外でも噂されるほどの美人だ。そんな九条さんが、俺の部屋に??


 マジ?? え?? しかも……ご飯作ってくれんの?


 さっきインターホンを鳴らした九条さんを玄関で出迎えた時、その場で見舞いの品を受け取るだけかと思ったのに、それだけでも充分ありがたいのに、


「ねー、二ノ宮君ちゃんとご飯食べてる? ご飯作ってあげるから部屋入れて?」


 そんな事を言われて


「え、でも、部屋の中散らかって……」


言いかけたら、


「掃除もしようか? 洗濯もする? 病人さんは寝てないとねー。ほら、玄関寒いから、早く入れて?」


 そんな事を言われて。


 こんな出来すぎた事あるわけないなんてこと、熱がある俺でもわかる。あー多分これ、熱で夢見てるんだわ。


 そう納得して部屋に通した。はー幻覚見えるとか、俺もいよいよ末期かなー。そんな事を考えつつ、


「はいはい、病人さんは寝ててねー? 勝手に台所とか触らせてもらってもいいかな?」


 そんな事を言うから、いやもうこれ完全に夢だわ。そう思って


「あ、もう。好きにしちゃってください」


 そう言って、俺に微笑みかける九条さんを見つめながら、俺は眠りについた。

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