第15話 再会
王都に到着した翌日、親友と再会する前に私の実家であるルブルトン家に立ち寄ることになった。しかし挨拶だけ済ませて、すぐ屋敷から出てきた。トラブルが起きてしまったから。
「本当に申し訳ありません。父が、とても失礼な態度で……」
「何も気にしていないさ。中央の人間と会った時、いつもあんな感じだからね」
馬車の中で、私は何度も頭を下げた。父のせいで、ブレイク様に嫌な思いをさせてしまったかもしれないから。挨拶しに行ったのに彼の顔を見て失礼な言葉を吐くと、すぐに部屋から出ていった。それで終わり。行くべきじゃなかった。
「気持ちを切り替えて。これから、君の友人に会いに行くんだろう」
「はい」
親友のミリアンなら大丈夫なはず。だけど、ちょっとだけ心配になってしまった。彼女は、ちゃんと対応してくれるかしら。きっと大丈夫だと思うけれど。
「楽しみなんだろう? そんな表情だと、友人を心配させてしまうよ」
「そうですね。ありがとうございます」
確かに、ブレイク様の言う通りだ。こんな表情を見せたら、彼女が心配してしまうだろう。親友との再会は、本当に楽しみだから。その気持ちを忘れないようにして、会いに行く。
ミリアンが用意してくれた庭園に到着すると、私はブレイク様と一緒に馬車から降りて、約束の場所へ向かった。そこで、親友が待っているはず。
「レティシア!」
「久しぶり、ミリアン! 元気そうで良かった」
「うん! レティシアも元気そうで、良かったよ」
お互い抱きしめ合いながら、再会を喜んだ。手紙をやり取りして、お互いの状況は報告していたので知っている。だけど、実際に会って元気な様子を見ることが出来た瞬間に安心した。そして、懐かしい気持ちになる。
「そちらの方が、レティシアの旦那様?」
「そう、私の夫のブレイク様」
「ブレイク・スタンレイです。よろしくお願いします」
「ッ! はい。ポートリエ家のミリアンです。よろしくお願いします」
挨拶する時にミリアンは少しだけビックリしていたけれど、すぐに笑顔で返事していた。良かった、彼女がしっかり対応してくれた。彼女のような人が親友で、本当に良かったと思った。
それから、私達は三人でお茶会をした。久しぶりに会ったのだから、ミリアンとはたくさん話したいことがあった。話題は主に、離れてからお互いの状況について。
私達2人だけでお喋りをして、一緒に座っていたブレイク様は退屈だっただろう。だけど、こう言ってくれた。
「レティシアが楽しそうに話している姿を見れるから大丈夫だ。ミリアン嬢も一緒に楽しんでくれて、ありがとう」
「いえいえ、私もレティシアと久しぶりに話せて嬉しいんです」
そう言ってくれるブレイク様と、笑顔になるミリアンを見て、私まで嬉しくなる。楽しい時間になってくれて、本当に良かった。
「最初は、ちょっと怖くてビックリしちゃったけれど、話してみたら良い人ね」
「うん! ブレイク様は、とても良い人なの。仕事が出来て、カッコよくて素敵で」
「そうなんだ。レティシアが幸せそうで、本当に良かったよ」
私の言葉に、恥ずかしそうにするブレイク様。そんな彼の様子を見たミリアンが、クスクスと笑った。
ミリアンとの会話を楽しんでいたけど、とうとうお別れの時間になってしまった。明日のパーティーに備えて、これから準備する必要がある。これ以上、彼女と会話を楽しむ時間が無い。本当は、もっと話したかったけれど。
「今日は、とても楽しかったよ。ブレイク様も、話すことが出来て良かったです」
「こちらこそ、ありがとう。レティシアとは、これからも仲良くしてくれ」
「もちろんです!」
そんな会話を交わす2人。私の親友と仲良くなってくれて、私も嬉しい。そして、ミリアンが私の方に向いた。その表情は暗かった。別れを惜しんでいるのかと思ったけれど、少し違うような雰囲気。
「どうしたの?」
「レティシア、明日のパーティーなんだけれど」
明日のパーティーについて、何か不安なことでもあるのだろうか。私は彼女の声を聞き逃さないよう、真剣に耳を傾けた。
「もしかしたら、フィリベール王子が絡んでくるかもしれないから。気をつけて」
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