秋夜

窓を開けると、鈴虫が静かに鳴いていた。

あの蒸さ苦しい夏はどこへ行ったのか、窓から流れる心地よい乾いた風が髪を揺らした。

どこか寂しく、どこか悲しい、その言葉が秋の夜にはよく似合うと思う。

澄んだ空気に響く虫の声は、遠くでなっていたあの日の花火を思い出させた。

弱い自分への悲しさと、たった一言がいえなかった後悔が、僕を1人静かな冬へと導いた。

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