ハーフ&ハーフ3~関川さんと遊ぼうキャラメイク編~
出っぱなし
プロローグ
SML歴721年、旧暦では西暦3023年、時は大宇宙開拓時代、それが現代である。
人類はこれまでに幾度も滅亡の危機に見舞われた。
疫病や核戦争、物理の法則が乱れるほどの天変地異、自然環境の大激変による生物相の淘汰など、実に深刻な事態ばかりだった。
だが、人類は生き残った。
生き残った人類は、さらに広い次元、宇宙へと旅立っていったのだ。
月や火星を足がかりに太陽系を飛び出し、銀河中に散らばっていった。
今はまだ、天の川銀河から外へは到達していないが、いずれは深宇宙も目指すことだろう。
しかし、どれほど科学技術の進歩や生息域を広げようが、人類というやつの持つ欲望や本質に変わりはない。
それ故に、私のような債権回収人というヤクザな商売が今も生き残っているのだ。
私はペルセウス座に属する植民惑星、マンクロスペニー69を目指すためにとある星のハブ港に到着した。
私の所属する本社は地球にあるが、この支社へは支社長ビッグベンによって粛清された社員の代わりの出向だ。
とんだ貧乏くじだが、与えられた仕事はこなすのがプロの回収人というやつだ。
しかし、重圧に耐えるには胃にいくつ穴を開けなければならないのか。
私は愛機の小型スペースシャトル・SARAに乗り込む。
『お帰りなさいませ、ご主人様』
艶やかな着物に身を包んだ黒髪ロングの美女、SARAのホログラムがすぐに迎え入れてくれた。
私の憂鬱な気分もSARAの明るい笑顔で癒やされ、幾分胃痛が収まってきた。
私は「ただいま」と笑顔で返し、運転席に腰を下ろし、目をそっと閉じる。
ああ、やっぱりSARAの中は暖かく包み込んでくるようで落ち着く。
「ご主人様、どちらへお出かけいたしますか?」
SARAに耳元で甘く囁くように問いかけられ、私はカッと目を見開いた。
下腹部から熱い血潮が駆け巡る。
憂鬱な気分など跡形もなく霧散した。
「クックック。目指すは桃色吐息のミルキーウェイ、発射はいつでもできるほど漲ってきたぜ!」
「ハ、ハイ! わ、わたくしも身体が火照ってきましたわ!」
「俺ももう我慢できねえ! 発射するぞ!」
「い、一緒に、い、イ……
(以下自主規制)
関川フタヒロと反物質燃料エンジンが暖まったスペースシャトルSARAは、嬌声を上げながら宇宙へと飛び立った。
そう。
関川フタヒロは、ハンドルを握ると人格が変わるのだ。
決してバーチャルの存在に興奮する異常性癖の変態ではない、ということだけは明言しておこう。
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