交わす愛のうたは、鳥籠に響く余韻。想い合うふたりが奏でる物語――。

表向きは綺麗な歌声を奏でる歌姫。ただ、国を象徴する彼女の歌声には秘密があって……。
声の出ない歌姫ストレリチアと、その歌声を奏でる七色の声を出す有翼人のアキレア。
秘密を共にし塔に囚われるふたりの関係が美しく綺麗に描かれる物語です。
しかし、煌びやかな表向きだけでなく、国の習わしや互いの立場に翻弄され、物語は進みます。

狭い世界で描かれるふたりの関係には、秘密を共にして、互いを思いやるだけではない切なさも漂って……。ふたりの関係も、いつまでもそのままというわけにはいきません。
鳥籠から解き放たれるとき、出なければならなくなったとき、物語は大きく動くのでしょう。

歌声が聞こえてくるような緻密で繊細な描写に、引き込まれる色鮮やかに描かれた世界観。
細かく丁寧に心情も描かれているため、ふたりの指先の動きまで思い起こさせられるような気持ちで読み進めることができます。

綺麗で、甘くもほろ苦い物語。ストレリチアは鳥籠から飛び立つことはできるのか。
ぜひ、ふたりの結末を見届けて、その歌声に耳を澄ましてみてください。

その他のおすすめレビュー

よるかさんの他のおすすめレビュー91