第31話 純情で朴念仁


「どうだった~初日で疲れたでしょう?」


「初仕事大丈夫でしたか?」


明日香と麗が心配して玄関まできてくれた。


「今日は、初日だから楽だったよ…」


ほぼ、遊んでいただけだから、流石に疲れたとは言えないな…なんだか後ろめたいからこう答えた。


多分、明日からが大変なんだろう…


考え事しながら、ペットシートを交換して、二人の服を脱がした。


そのまま、お風呂場に行き、順番に体を洗ってやる。


明日香は手足が無く、麗は足が無いから、俺が洗ってあげないといけない。


気をつけてあげないと汗疹や蕁麻疹がでそうだから、サラサラタイプのボディ石鹸で綺麗に洗ってあげる。


そして、シャンプーとコンディショナーで髪を洗って流してあげる。


「気持ち良い~泰明ありがとう」


「ありがとうございます」


この時、二人とも気持ちよさそうな顔をするのが何とも言えない。


見ていてほっこりする。


その後は体を綺麗に拭きあげて、体中にベビーローションを刷り込んでやり…股や脇の下に…ベビーパウダーをはたいて…下着からパジャマを着せて…完成っと。


これで、今日の日課は終わり…後はお菓子を食べたり、飲み物を飲むとか自由時間だ。


尤も二人とも歯が無いから、食べる時は全部俺が咀嚼して口移しだけど…


まぁ、キスがし放題と考えれば役得だ…


ちなみに飲み物は2人とも幼児用の飲料カップストロー付きで飲んでいる。


麗は手があるから自分で飲めるが、明日香は肘から先が無いので俺が手に持って飲ませてあげる必要がある。


ちなみに俺が居ない間は、神代経由で頼んだシッターさん(女)が面倒をみてくれる。


まったりとテレビを見ながら過ごしていると明日香と麗が急に暗い顔になった。


「あの…私ってこんなだから、魅力がもう無いのかな?…」


「足が無いと気持ち悪いですよね…」


2人とも凄い美少女だし、更に言うなら、明日香のエッチなDVDには凄くお世話になった位だ。


「凄く魅力的で綺麗だと思うよ…こんな形でだけど付き合えて凄く嬉しい…」


「それなら、何で抱いてくれないのよ? 何回も裸見てるでしょう? 偶にセクシーポーズまでとっているのに…」


「そうですよ? 私がそれならと手でしてあげようとしたのに…引きはがすし…自信無くしますよ」


いや、流石に今の二人を抱くのは…駄目でしょう。


「二人とも凄く可愛いし、その…抱きたいと思った事は何回もあるよ」


「それならなんでしない訳」


「我慢は体に毒ですよ」


彼女達が五体満足なら多分していたと思う。


だけどなぁ。


「不平等だからな…二人とももし五体満足な状態なら、幾らでも抵抗できるじゃん…それなら嫌いならビンタして去る事や蹴りを俺に入れる事も出来る…だけど、今の二人は俺に抵抗出来ないし、これから先のお世話も必要だし命に係わるから、絶対に俺を拒めない。だから俺からは手を出さない…そう決めたんだ」


「麗は兎も角、私は好きって言ったよ…」


「私だって好きだよ」


「凄く嬉しい…顔が赤くなるよ…だけど無理しなくて良いからね…一緒に添い寝してくれてキスだけで満足だから」


「「だから…」」


「今の暮らしで満足だから…もしそういう関係になれたら嬉しいけど…それは本当に俺を好きになってくれてからで良いからね」


「「だから、もう…」」


「ありがとう」


それが偽りであってもこの関係が今の俺には全てだから…


凄く楽しくて嬉しい。


◆◆◆


凄い朴念仁だよ。


暫くして泰明は疲れたのか寝ちゃった。


泰明が私達をベッドに運ぶ前に寝ちゃうのは珍しいわね。


「泰明はあんな事言っていたけど麗はどうなの? 私は…好き、いや愛しているんだけど…」


「私だってそうですよ…日は浅いですが、泰明さんがどんな素晴らしい人か解ります…今の私は、言い方を変えれば介護状態ですから…最初は怖かったですが…その恥ずかしい話、ペッシートにした私の粗相を嫌な顔しないで片付けたのを見て『愛』を感じましたよ」


大体、こんな状態の私達の面倒を見るのは普通は嫌がる筈よ。


トイレに行けないから…ペットシーツに大きい方も小さいほうしている…それを片付けてくれるだけでもありがたいのに…麗は手があるから拭けるけど…私は拭けないから、お尻は相当汚い筈よ...


それを嫌な顔しないで綺麗に洗ってくれて、食事のお世話までしてくれる…


『私の人生にこんな優しい人は誰も居なかったわ』


これで好かれないと思っているのが異常よ…


「そうよね、麗も同じよね…もう私達とっくに好きになっているわよね」


「ええ、勿論…」


「それなら、私達からしてあげれば良いのよ」


「そうしますか…それじゃ…」


麗にズボンを捲って貰い、パンツを降ろして二人でしようと口をつけたら…


「なにしているの?」


「いや、そのお口でしてあげようと…」


「その所謂Wフェ…」


「それは本当に好きになってくれてからで良いから」


そう言うとパンツとズボンを履きなおして出ていってしまったわ。


「もしかして凄く純情なのかな」


「そうだと思います…」


この位は私の清純派物でもやっているんだけどな…


とっくに愛しているのに…朴念仁だよ…







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