32話 スライム討伐
「と、いうことで!やって来ました。スライムの生息地!」
予想通りテンション高めでお送りしております。
ここまで辿り着くまで何事もなく森を散歩するような感覚で辿り着いた。
……と思っているのは2人だけで、実は何度か魔物との遭遇があった。視界に入る前にサクッと倒しちゃってただけで。
倒せないほどの魔物ではなかったけれど、初戦闘の前に不意の遭遇は焦っちゃうだろうし、道中で時間とることも面倒だなって思って倒しちゃってました。
素材?討伐証明?知らない。別に必要な訳でもないし。帰りにでも見かけたら取ればいいかな。
「お、あれか?」
リョウが指差す先にはぷにょんぷにょんと跳ねるスライムが居た。
「えー、なんか可愛い」
青の半透明な姿で、核も透けて見えている。典型的なノーマルスライムだ。
「そうだ、せっかくだしやっとこう。『勇者の瞳』!」
「あ、それが雫さんから教えて貰ったやつ?いいなー」
「そう、鑑定の効果のある勇者専用スキルだってさ。……ええと、『ノーマルスライム。物理耐性有り。攻撃性、攻撃力共に低め。攻撃する際は魔法攻撃か核を狙った物理が良い。討伐証明部位:スライムの粘液』」
私の目と知識でも同じような情報だった。
「ね、私がやってみていい?」
「ああ」
「よーし、昨日学んだ魔法、見せちゃうよ!ウィンドアロー!」
風の矢は真っ直ぐへとスライムへ飛び、当たる直前で動いたスライムの1部を弾き飛ばした。
「ああっ!惜しい!もう1回!」
再度放たれたウィンドアローは寸分の違いもなくスライムを打ち抜いた。
「よっし!」
そして、討伐証明部位の粘液が残った。
「うわぁ、べちょべちょしてる……あ、でも見た目よりしっかり固形かも。リョウ、保管よろしく」
拾ってきた粘液をリョウに渡す。
「ほんとだ、まさにスライムって感じ」
リョウはそれを収納した。
収納ってこういうのも個数カウントして入れられるから謎システムだよなって。
「じゃあ俺も」
リョウが魔法を打つ体勢になった。
背後の森の位置を確認する。そこそこ離れてはいるけれど、規模によっては延焼の可能性があるかもしれない。あのマントがどれだけ制御してくれるか。
「ええと、さっきのサリーみたいに矢を意識して……」
リョウの手に魔力が集まってくる。まだギリギリ大丈夫な量。
「ファイアアロー!」
打つ瞬間にどっ、と魔力が追加された。
魔法はスライムが集まっている辺りへと飛び、着弾と同時に爆発した。
「きゃっ!」
爆風はこちらまでしっかり届き、準備していたシールドに弾かれて霧散した。
「うっわ」
思っていた威力以上が出てしまい、驚いている様子。
爆風が収まった着弾地を確認すると、粘液ごと吹き飛んでいた。
「すっごい爆発。それで、証明部位はどこに飛ばしたの?」
同じことを見ていたサリーが責める。
「い、いや。まさか爆発すると思わなくて……」
2人が話している間に打ち漏らしたスライムをめちゃくちゃ威力を絞った魔法で打ち抜く。普通に打てばオーバーキル間違いなしで、さっきのリョウのように討伐証明部位ごと吹き飛ばしてしまうだろう。
それに私も討伐に参加しないと。
「はい、これよろしく」
私は粘液を拾って、まだ言い合っているリョウに渡す。
「え、いつの間に」
「さっき」
「あっ、ユーナちゃんの魔法見逃した」
それから視界に入ってきたスライムを打ち抜く簡単な作業。
正直やりすぎたら2人の練習にならないからあまりやり過ぎないように注意。
リョウの魔法は何回か爆発させるうちに少しずつ威力が抑えられていった。
サリーも繰り返し魔法を使うことで、威力もスピードも上がっていた。
私?私は途中で短剣に切りかえて近くに来たスライムの核を殴ってたよ。近距離攻撃だと数の調整考えなくていいから楽だね。
「あ、上位種だ」
そろそろ引き上げようかと思い始めた時、今までとは違うスライムが現れた。
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