軌道

改札へ続く階段を

登りきれずに崩れてしまった影たちは

窓で束ねられた

濃い太陽の光にかぶれて

大体は

夜行性になるか

電光掲示板の光が好きになる

確率的に配置される

憩いが好きだったよ

ファミレスの明かりは

食卓に帰りたがっている

靴の裏に付いた水滴は

土に帰りたがっている

早くどこかへ帰りたい

早く、早く、早く、

重たい体の内で

どう頑張っても

急ぐことができなかった

鈍痛だけが取り残されて

渋滞を起こし

夜は少し騒がしい

お祭りや

何かの儀式みたいな

球状の喧騒が

僕の中に落ちて

軌道は糸になり

網を張り

いつか僕が崩落した時

助けてくれるといいな

命だけは

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