加賀の国にタイムスリップ

@katuniro

第1話なんだ、ここは!




ただ歩いていただけなのに・・・

景色が一変してしまったよ。さして高くないビルの街中を歩いてたのに・・・


「なんだ、ここは!」


もう田舎のど真ん中だぞ。


これはもしかして次元の狭間に踏み込んで、違う場所まで飛ばされたのか・・・

きっとそうに違いない。


最初にするのは、人を探す事だ。


急に肩を掴まれて後ろに振向けられたぞ。

あれ!ガラの悪そうな坊主が3人がこっちをにらんでいる。

こんなに近くに人が居たなんて、俺はどうかしている。

ちょっとしたパニック状態なのだろう。


え!めちゃくちゃ坊主の服装だな。今時、こんな服装で歩き回ってるのか笑っちゃうぜ。


なにやら怒鳴どなられた。

俺のコバカにした笑う気持ちがばれたのか・・・

日本語を話しているようだが、方言で聞き取りにくいぞ。

俺はキョトンとしていた。

その態度が悪かったのか蹴りを入れられて、2人が俺を押さえ込んだ。


俺は、ひざまずく形で、地面に両ひざをついた。

膝が尖がった石に当たったようだ。


「ちょっと痛いじゃないか!」


俺の訴えに全然耳をかさない。なんて奴なんだ。

げ!コイツ、刀を抜きやがった。

どう見ても本物の刀しか見えない。背筋に冷や汗がふきだす。

刀を持っている事が異常なのに、薄ら笑いでコイツは俺を見やがった。


俺は本当に殺されると思った。

我武者羅がむしゃらに立上がった。


俺を押さえた2人は、後ろに吹っ飛んだようだぞ。

え!そんなに飛ぶか・・・


刀を持った坊主は、地面に刀を振り下ろして刀がポッキンッと折る。

本当に殺す気だぞ。

このクソ坊主、狂ってるぞ。何をしてるんだ警察は・・・


又もクソ坊主は、怒鳴りやがった。

そして、折れた刀で俺を襲いだす。俺は、とっさに右にかわしながら右ストレートで反撃にでている。

見事に顔面にヒットして、え!嫌な音がして変な向きに顔が・・・


ピコンと変な音も同時に鳴る。


「何をしやがるよそ者が!」


聞き取りづらい言葉がまともに聞き取れる声に思わず振り返る。

2人の坊主が刀を握って走って来ている。


この坊主も本気マジだ。


目の前に文字が浮かび上がって来たが、それどころでない。

軽いフットワークでかわし続ける。


めちゃくちゃに刀を振って来る。

それなのに軽くかわしてる。俺って、こんな動きが出来るんだ。


2人のスキをついて1人の腕をねじ上げる。


「あ、痛たたたた・・・」


あっけなく刀を落としやがったぞ。そして蹴り飛ばす。

蹴り飛ばした先は、もう1人のクソ坊主だ。


2人とも痛そうに倒れたままだ。

急いで刀を拾い上げる。これが刀の重みか、こんな刀を振り回すなんて普通ではない。



2人は、立上がっているが蹴り飛ばした奴は相当なダメージがありそうだな。

それでも襲ってくるのか、大きく振りかぶる奴の胴体をなぎ払いながら、もう1人も斬り倒す。


あ、又もピコンと音が鳴る。


2人は死んでいたが、後悔は微塵みじんもない。

そんなのクソ喰らえだ!



そして、ようやく目の前の文字を読んだ。



【LV1になりました】

【言語文字通訳を取得】


【LV2になりました】

【錬金術を取得】



何、これって。


「ステータスオープン」


あれ!ステータスオープンの表示はない。


【言語文字通訳を取得】に触れると手応えはないが、知識は入ってきたぞ。

俺に分かりやすく通訳してくれるらしい。

それに文字までも・・・便利過ぎーー。


もう1つの【錬金術を取得】を触れる。


これは想像してたより凄過ぎるものだったぞ。

早速、試そう。


血で汚れた刀を坊主の服で拭いてきれいに。

2本の刀を持って折れた刀を回収。


そのまま錬金術を発動。


空中で折れた刀がくっ付いて、3本の刀を合体させる。

ねばり強く、強靭な刀の完成。


見事な刀にれするぜ。


拾い上げたさやにスートと収める。



「しかし、ここは一体どこなんだ!」



とりあえず坊主の服をまさぐって何か持ってないか探ってみる。

これが財布なのか・・・なんだよこの金は・・・


これって永楽通宝えいらくつうほうか、そんなバカな・・・

これが流通する時代は、江戸時代か戦国時代だぞ。

それ以外の時代でも使ってる可能もあるが、俺はよう知らん。


いやいやタイムスリップってありなのか・・・

やはり人を探そう。


田は刈り入れが終わってるから9月下旬~10月上旬かな。


だから寒いのか・・・俺が過ごしていたのは真夏だ。

短パンTシャツでは、話にならない。


あの2人はダメだ。

この坊主の服を取るしかない。

なんだよ、ちょっと臭うぞ。洗濯しろよ。


やはり下着姿は、ふんどしだ。




服をだらりと着込んで、ブラブラと歩き続ける。

なんか、のどかだな~。あんなことがあった後だから、癒されるな~。

ようやく民家が見えてきたぞ。何やら騒がしい。



又も坊主がいやがった。


お百姓さんを蹴り倒している。

もう悪確定だな。


「去年の借金があるのを忘れたのか、利子がが溜まったからもっと米をよこせ!」


「そんな無茶な・・・どうかお願いします」


「お前の所には、14の娘が居るだろう。それでチャラだ」


めちゃくちゃ俺が使ってる言葉だ。


「おい!坊主。そんな言い方はないだろう」


「どこのよそのなまくら坊主だ!。変な教えでもしてみろ、殺すぞ!」


え!坊主って、俺のことなのか・・・それに殺すぞって。

ああ、坊主の服をだらしなく着てたから、そんな風にみられたらしい。


「坊主とは、徳を積んで徳を教える立場ではないのか・・・そなたらは公徳こうとくを知らぬのか、公徳とは社会生活をするうえで守るべき道徳だ。それに反していると思わないのか・・・」


なんか、坊主のような説教をしてしまったよ。



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