その2 学生時代(1)

 ゲームセンター(ゲーセン)という店舗が相変わらず出店しにくい地域でスーパーや個人の書店でゲームコーナーという施設がある程度の学生時代。

 小学生になると、友達に連れられて自転車にて隣の学校区に入る。当時は、保護者同伴じゃないと校区外に出てはならぬと厳し目に脅されていたので、自分ひとりだけビビりながら自転車を走らせる。

 着いた先は、田畑に囲まれたバッティングセンター。テーブル型筐体が8台ほどあり、一番奥の壁際には2画面タイプのダライアスが設置されていた。当時は冬場より夏にこのバッティングセンターに通っていた。昔って、家にエアコンあるのに入れてもらえず、扇風機で我慢。気温も30℃程度が平均で32℃になったのなら「今日はすごく暑い」と話題になるくらい。今じゃ考えられないけど。なので、涼むためという理由も兼ねてバッティングセンターに行く。相変わらず、数百円くらいしか持っていないから、大人や高校生くらいの兄さんたちがプレイしているのを、邪魔にならない位置で眺めているのがほとんど。


 その頃に印象深いのが、「フェアリーランドストーリー」という固定画面のアクションゲーム。後の「バブルボブル」や「DonDokoDon」等の元になったと思う。このゲームきっかけで、「将来ゲーム制作に携わりたい」と思った。当時の子供たちは、ゲーム制作に憧れる人は多かった。実際は、まだまだコンピュータが4~50万円くらいしており、まだ手を出しやすかったMSXでさえ「お前には無理」とバッサリ親に切り捨てられる。そもそもプログラミング学習ということが理解されにくいとか、漠然としすぎて分からない親御さんも多かった。なので、当時の雑誌マイコンベーシックマガジン(ベーマガ)を買って、意味は決して分からないがプログラミングやコンピュータの広告を見るだけでもワクワクできる、純粋な頃だった。今と比べると、本当に情報収集の手段が本屋がほとんどで、ゲーセンやパソコンも情報が限られていた。


 で、何故に「フェアリーランドストーリー」が印象に残っているのか。単純に楽しかった。それだけでなく夏休みに友人と二人でプレイしていると、周りにいた小・中学生がサーッといなくなった。変だなと思っていたがゲーム中なので止めるわけにはいかない。そこにやってきたのが、4~5人の大人。自分のプレイを見ていた友人に聞いた言葉。


「君たち、何年生?どこの学校かな?」


 ちらっと見れば、腕章がある。[補導員]ですって。青ざめた~。学校だけでなく、親にも連絡行くだろうし相当叱られるな、と。また、友人が誤魔化さず、すんごい正直に学年と学校名を言う。その後、ちゃちゃっと自滅してゲームを終わらせ、逃げるように帰宅。

 その場では、氏名・住所は聞かれなかったので良かったのだが、夏休み明けに担任が言った言葉。


「この中に、校区外に行って補導を受けた者がいると聞いた。後から職員室に来るように」


 まぁ、青ざめますよね。もちろん職員室には行かなかったが。名前を言ってないので、バレることをすれば他友人多数も同罪なので、掘り起こされるようなことは出来ない。また、当時って教師が生徒を指導名目で容赦なく数発のビンタ等受け、怒鳴り散らされるので。今思えば、学校は無駄に緊張させられる場所で、その緊張から開放されるものとして、ゲームやゲーセンに逃げていたとも言える。


 そういう騒動があって、数ヶ月バッティングセンターには行けなかった。他にあるのが、個人書店の外にゲーム筐体があって、本を探すこととゲームするのが同時にできた。よその地域では、駄菓子屋と外のゲーム筐体はセットなんだけど、自分が住んでいる所では、よくイメージされる駄菓子屋が無くて羨ましく思っていた。


 それから、バッティングセンター通いが再開した頃、なかなか最新ゲームが入荷されず足が遠のいたり中学生になったり、週末通いが厳しくなった。その分、夏休み等、長期休みだと、そりゃ行きますよ。 「レインボーアイランド」「大魔界村」「西遊降魔録」「カベール」この辺りは、難易度高いのでろくに面クリアも出来ないが、ゲームって面白い、ゲーセンってやっぱり通いたい場所と思うよね。


 徐々に行動範囲も広くなるし、保護者同伴という制限もどうでもよくなるので、自転車の行動範囲から交通機関利用して、遠征がてらゲーセンに行くようになる。当時盛んだったのは、大学近くにあるゲーセンが熱いという話が広がるようになり、遠出した。

 ちゃんとしたゲーム目的の店、ゲーセンは、ゲーム台数もバッティングセンターに比べると10倍以上で複数階あり、大音量で、タバコの匂いが、大人な感じといけない場所に来ている感じが、さらに興奮した。また、その頃、同じテーブル筐体ではあるものの、モニターサイズがどんどん大きくなり、画面の迫力も違った。


 さらに初めて覚えたこともある。カップ麺の自販機があり、ゲームしながら麺を食う、誰かのプレイを見ながら麺を喰らう、そんなことが可能なんだと驚いた。ジュースくらいは飲んでたけど、こういうのも散々注意されたいけないことやっている感が楽しかったのだと思う。家庭環境にもよるだろうけどね。また、当時設置されていた

自販機は、日清カップヌードルのもので、ワタシはカレー味ばかり食べていた。それも当時、インスタント食品を食べるのは体に良くないという風潮が出回っていたので、ワタシが食べることをあまり許されていなかった。隠れて食う、しかもゲーセンで。あの環境で食うのが、数倍うまく感じたんだよ。

 ただ、すごく注意しなければならないことが、いくらテーブル型の筐体だからといって、こぼす可能性が高い。なので、気をつけて食べてた。お店側も許可してるから店内自販機置いてたわけだけど、故障の原因になった時、請求される額は、相当高かったんじゃないかと思われる。アイス自販機も同様ね。ジュースこぼすだけでも

ベトベトになってるから、アイスだとまた厄介だろうよ。

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