第3話 悪役と練習試合(普通こっちが先じゃね?)

「しょうがないお前と組んでやるよ」


「『お前』じゃなくて名前で呼んでほしいのですが」


「はいはい六角さん」


「よろしい。にしてもあなたは噂とは全然違うのですね。もっと高圧的で威張っているもんだと思ってましたよ」


「えーとそれはね」


 やっべどう説明しよう。心を入れ替えた訳じゃないし記憶喪失も無理があるし。あ、そうだ。


「実はこれは異能によって生み出された2つ目の人格でね。今までの俺とは違うのだよ」


 どうだ?信じたか?


「な、なるほど。たしかにあなたの能力は謎に包まれていますからね。ということは異能の2次的な影響の1つでしょうか」


 し、信じたーーーー。何か騙してるようであれだけど間違ってはないから。うん。


「もやもやもスッキリしたことですし早く試合相手を見つけましょう。どれどれ空いてる人は――――」


 六角が見たところから目を逸していく。俺嫌われてんな~。でも六角&霧江ペアに勝てるのなんて居ないとだろうし。誰か無謀なのが出てこないかな〜。


「霧江。練習試合相手がいないのなら僕達とはどうだ?」


 き、きちゃーーーーってレイとその仲間達ぃいい。


「(六角、受けていいか?)」


「(お任せします。私的には誰でもいいので)」


「よし。レイ、お前達と闘おう」


「わかった」


 よく考えたらこれはレイのリリリリリリベンジぐらいなのか?何回負けたのか知らんけど。お相手さんはレイと王女ちゃんだった。さっさと名前思い出さないと。


「よしレイ、始めていいかね」


「いいぞ。今度こそお前の企みを暴いてやる」


 特に何も考えてないけどな。よし、行くかっ。


 大勢が見守る中、俺はレイに突っ込む。レイも同時に突っ込んでくる。やはり王女ちゃんは後方支援だったか。だったら――――。


「次元のハザマよりい出し力よ。我を我が敵まで運べ!!」


「六角だせーぞー」


「うっさいわ!」


 六角の異能は次元を云々、要は瞬間移動とかワープとからしいが他にもありそうだ。


「消えた!?」


「ふっふっふ、後ろだ」


「なっきゃぁああ」


 六角が王女を動けなくしている。レイがそっちに気を取られている間に...。


「パーンチ」


「ぐわっ」


 パンチの次に2つ目の能力で畳み掛ける。この念力は1つ目の吸収を使用しない状態じゃないと使えない。レイを空中で掴んで動けなくする。


「これで俺の勝ち。六角そっちはどうだー」


「我が力の前にひれ伏したぞ」


「あっそう」


 王女ちゃん、レイの2人が動けなくなったので俺達の勝ち。この授業中に1回闘うのでOKなので、あとは端っこの方で座ってよう。


「そんじゃ対あり〜」


「橋雨、どこ行くんだ?私も行っていいか?」


「端っこでサボるだけだぞ」


「サボりか...。いいな」


 良くないだろと心の中でツッコミを入れつつ闘技場の端っこへ向かう。前世でも体育の授業はさぼったなぁよく。


 六角と他愛もない会話をしていたら王女ちゃんとそれを止めようとするレイがこっちにやって来た。


「リエ止めとけっ相手はあの霧江だぞ。きっとこれも何か良からぬ事の1つだ」


「でも実際に話してみないとわからないじゃないですか。それに私は名前すら覚えられてないのですよ」


「お2人さんなにかご用で?」


「単刀直入に聞こう。お前は昨日と態度も雰囲気も言葉遣いも違う。一体なにをしようとしている」


「いやー実は異能の2次的な影響で新しい人格ができちゃってさー。信じらんないでしょ。でもそうゆう訳で性格とか色々と変わちゃったんだよね」


「信じられるかそんなこと!!お前今まで自分が何をしてきたか分かってるのか!!」


「レイって言ったかな?確かに信じられないが私も同じように言われているしそんなに信じられないならこれから様子を見てればいいじゃないか」


「それもそうだな」


 ナイスフォローだぜ六角!!これでレイと王女が納得してくれたら俺もボロが出ない済むぜ!!


「最後に1つだけ宜しいですか?」


「どうぞ?」


「私の名前はリエリス-フィア-ヴィアステルですので覚えておいてくださいね」


「あっご丁寧にどうも」


「レイ、行きましょう」


「ああ」


 レイと王女ちゃん改め大和リエが授業に戻っていく。これから様子を見る言うてたけどストーカーされるってことか?嫌だな。


「橋雨、王女の名前も覚えてなかっの?」


「うっせ」


 六角と話していたら授業時間が終わった。そろそろ昼食の時間だな。


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