地球人と惑星人④

 認識阻害の異空間、宇宙船外へと脱出した師人・清水・奥村の三人。まだまだ森の奥深くだが、不思議と追手の気配は無い。


「よし、ここまで来れば大丈夫だろう。清水、鏑木さん達に杏奈を預けて状況報告を。俺は船に戻って任務を続ける」

「了解」

「あの……私も何か───」


 樹海にいた理由を終始話さなかった奥村。そして人生の区切りをつける場所として有名な名所。女性が一人で来ているあたり、察する所はある。


「あんたは安全な場所へ。どうしてもって言うんなら、うまい飯でも作って俺の帰りを待っててくれ」

「師人様……」


 社交辞令も半分、柔らかい笑顔と言葉を向けられた奥村は恍惚とした表情を浮かべていた。

 その様子に気がつかず師人はその場を後にし、清水はうへぇ……と渋い顔をした。


 一方船内では──────。


「助けてぇええええええええええッ!!」

「あいつ何やっとんねん」

「いやぁ〜、ごめんごめん二人共。船長ボスとはタイマンのつもりだったんだけどさ」


 首を鷲掴みにされ、空中でぷらんぷらんと揺れる真鍋。とそれを見る公僕の二人。状況が理解出来ない部下てき達は呆然と立ち尽くしていた。


「侵入者の脱獄を許すどころか、捕らえることすらも出来んとは……! 貴様らも"懲罰"!!」

「そんなフロッド様! ど、どうかお許しを……!」


 五月蝿うるさい、と船長フロッドは指を伸ばす。それは鞭のようにしなり、弾丸のように同胞の首を次々と撥ねる。数mにも及ぶ凶器、その指先は相良と柊、両者にも牙を剥く。


 バチンッと空気を切り裂く音、蛇のように不規則な動きで何本も襲い掛かる。

 が、二人の肉体を貫く直前、その指先は柊の"絶対零度フェアリーズ"の凍結によって止められた。


「ぶっね……あざます姐さん」

「どいたまー、それよりタケシはどうしようかね〜?」

「放置でいいんとちゃいます?」

「待て待て待て! オイラを見捨てる気か!?」

「って言ってもさぁ……そいつの能力、結構厄介なんだよ〜」


 相良はふと思った。伸びる指なら無力化出来てるじゃん、とその疑問に柊は肩をすくめ、そっちじゃなくて───と言いかけた時、フロッドはその力を発動させた。


「『第六天体術』」

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