第3話【光芒】




 人生とは自分を見つけることではない。

 人生とは自分を創ることである。

           バーナードショー


















 第三章【光芒】














 人は生まれながらに運命を持っている。

 いや、運命なんて自分で決めるものだ。

 しかしながら、ある程度の道は決められている。

 それでは生きることの意味が無くなってしまう。

 人は生まれながらに平等ではない。

 なぜ平等にしないのか。

 運命に沿って必要な使命を与えている。

 必要な使命を平等に出来ないものか。

 人は生まれながらに様々な使命を持ち、その使命を乗り越える力も様々だ。

 ならば同じ使命を与えよ。

 越えられぬ山など作りはしない。

 もし越えられなんだらどうする。

 越えれらなんだら、そのときは・・・




 李が拓巳の身体を貫いた。

 拓巳の身体から、見たことのないほど、派手に散っていく。

 スローモーションのようにゆっくりと地面に倒れ込んだ拓巳に、死神を始め、信も海埜也も近づくことが出来ない。

 地面に身体が当たると、ほんの少しだけバウンドをしてまた地面へ吸い込まれていく拓巳の身体。

 地面に倒れた衝撃の痛みなのか、それとも別の痛みなのか、今の拓巳は分からない。

 ただ目に入るのは、地面に広がっていく赤い水溜り。

 亜緋人は足元に転がっている拓巳をちらっと見たあと、海埜也の方を見る。

 「そろそろ終わりにしようか」

 ぼそっと言った亜緋人の言葉だが、あまりにも静寂に包まれていたため、その場にいた全員の耳に届く。

 亜緋人が李の方に近づいて行くと、李は亜緋人の後ろをついていく。

 「・・・李ィ・・・」

 「・・・・・・」

 小さな声だった。あまりにも小さな声だったが、亜緋人にも李にも、信の耳にも聞こえた、拓巳の声。

 すでに李のことを見ることも出来ていないが、指先をなんとか動かして、李のことを探しているかのようだ。

 誰のものかなどわからない真っ赤に染まったその指先に力を込めている心算なのだろうが、拓巳自身が思っているよりも動いていない。

 先程まで赤かった血だまりも、すでに赤黒く変色している。

 「李・・・今、い・・・」

 ズルズルと、もう動かないはずの身体を少しずつ腕の力だけで引きずって、とはいってもほとんど動いてはいないのだが、動いている素振りを見せる。

 拓巳の行動に動きを止めたのは、李ではなく亜緋人だ。

 はあ、と大きなため息を吐くと、兵隊のように足を一歩大きく踏み出しながら、拓巳に近づきこう言った。

 「とんだ茶番だ。一体こいつが何だってんだ?」

 そう言いながら李の方を指さす。

 亜緋人に指さされた李は、特に何か反応を示すこともなく、亜緋人が拓巳の方にて来て拓巳を見ているから、同じように行動をしているだけだ。

 拓巳は目線をなんとか亜緋人に合わせるが、それさえも辛いのか、すぐに目線を下げてしまった。

 視野がぼやけている、いや、歪んでいるのか、とにかくピントが合っていない視界に、なんとか少しでも焦点を合わせようと瞬きをして水分を求める。

 「へへ」

 「あ?」

 こんな状況にも関わらず、拓巳は笑った。

 「お前は・・・っ、知ら、な・・・。李は・・・俺の、俺た、ち、の・・・」

 すう、と大きく息を吸い込んだ拓巳は、ツギハギだった言葉をなんとか全部届けようとしたが、肺に空気が入らない。

 苦しくて、辛くて、空しい。

 とても冷たくて、とても寂しくて、とても人恋しい感覚。

 いつだって言いたかった言葉があるのに、いつだって言えるチャンスはあったのに、言おうと思ったその時にはこのザマかと、拓巳は自嘲気味にもう一度笑う。

 誰にも気付かれないようなその小さな笑みさえ、痛みに代わり拓巳を襲う。

 冷たくなっていく指先を感じながら、出来る限り酸素を吸い込む。

 その、誰しもが生きる上で必ずしている行為でさえも、今の拓巳にとっては苦痛でしかない。

 痛みが収まるのを待たず、声を振り絞る。

 「李は・・・」




 「神様っていると思う?」

 「唐突になんだよ李、おかしくなったか?」

 「そんなキャラだったっけ?神様だの仏様だの信じてるの?」

 「いると思うか聞いただけじゃん。なんでそこまで言われるの」

 「李はどうなんだ?いると思うか?」

 「知らない」

 「「なんだそれ」」

 「いやさ、見えないから」

 「見えれば信じる?」

 「信じるっていうか、見えればいるってわかるじゃん。でも見えないからいないと思うじゃん。いたとしたって、見えなければそれは“いる”とは言えないじゃん」

 「・・・ごめん。じゃんじゃんが気になってあんまり聞いてなかった」

 「つまり、李の判断としては“見える”か“見えない”かなんだな?」

 「それ以外にある?」

 「まあ、あるとしたら、“感じる”ってところかな」

 「感じる?勘か?」

 「直観みたいな?」

 「面倒臭い」

 「おい、李が始めたことだぞ」

 「感覚的なところはもういいよ。俺その辺もいじられてるからよくわかんないし」

 「まあそうか」

 「でもまあ強いて言うなら」

 「「?」」

 「俺が神にでもなろうかなって」

 「「・・・・・・はあ?」」




 ―何を言っているんだと思った。

 正直、人が神になるなんて馬鹿みたいな話だし、『神のような存在』にはなれても『神』にはなれない。

 まあ、なれたところで何をしてるかなんてわからないし、何でもかんでも知ってたり出来るなんてつまらないだろう。

 それにいる、いないなんてどうでもいい。

 だって、いたっていなくなって、どっちでも同じだったんだろうと思うから。

 例え偶然起こったことだって、神様のお陰だと思って神様に感謝して幸せな気持ちになれる奴もいるだろうし、例え必然的なことだって、自分の能力の賜物だと思えば、神に感謝なんてしないだろう。

 自分の目の前で起こったことが偶然か必然かなんていちいち考えないし、ましてや、それが神様のお陰かどうかなんて、余程信仰深い奴しか考えてない。

 自分の実力で手に入れた物でも、神のお陰だありがとうと称える馬鹿になるくらいなら、神のお陰だろうと自分の実力なんだと思って生きていた方が自分自身のためだ。

 この世界はいつだって理不尽だ。

 俺が、俺達が辛い想いをしている時、何処かの誰かは親に玩具を買ってもらったり、美味しいものを喰ったり、未来のことを楽しく話しているんだ。

 自分だけが不幸みたいに思ってた。

 不幸というのは俺のためにある言葉だと思ってた。

 だから、周りの奴の苦しみとか辛さとか、そういう負の感情なんて気にしてなかった。

 でも、一緒にいるうちに少しだけわかったよ。

 李が1人で抱え込んできたこと、背負ってきたもの、見てきた世界。

 誰よりも辛くて寂しくて理不尽な世界を見てきたはずなのに。

 誰よりも痛くて苦しくて生きるという地獄を味わってきたはずなのに。

 それでもお前が笑うから、俺は、俺達はいつだってー




 「いい加減にしてくれよ」

 亜緋人の呆れたような声が聞こえてくる。

 後頭部をガシガシとかきながら、亜緋人は拓巳の手を踏みつける。

 「拓巳!!!!」

 それを見て思わず死神が叫ぶ。

 しかし痛みなどとうに感じていないのか、拓巳は声を出すことはなかった。

 もう一度踏みつけようとした亜緋人だったが、拓巳の言葉に動きを停止させる。

 「・・・た・・・から」

 「あ?」

 蚊の鳴くような、いや、それよりも小さいのかもしれない、そんな声。

 言葉や声としての役割を果たせていないそれらを、拓巳は今一度その役目を全うさせるべく喉に力を強める。

 「こんな俺に、明日をくれた人だから」

 拓巳の言葉に、死神は目を丸くする。

 それはまるで、死神が思っていたことを代弁するかのようだった。

 『拓巳、死神、よく聞いてね』

 思い出す、あの日の会話。

 「あんなんだけど、前に立って、戦ってくれる人だから」

 拓巳の目に、涙が溜まる。

 そこに映っているのは、いつだって見ていた背中。

 『俺より先に死のうなんて、考えないでね?』

 自分よりも大切なものが出来た瞬間。

 「他のことなんて、知ったこっちゃねぇよ・・・!!!」

 こういう生き方しか、出来なかった。

 途切れ途切れだったはずの拓巳の言葉は、誰しもがはっきり聞きとれるほど力強いものだった。

 余程喉に力を入れていたのか、拓巳は言い終わったあと激しく咽る。

 喉からも血が出てきて、それが叫んだからなのか、それとも別のことが原因なのか、それはわからなかった。

 「・・・・・・」

 咳込んでいる拓巳を亜緋人が黙って聞いていれば、隣にいた李がゆっくり動き出した。

 亜緋人はそれを目だけを動かして見ている。

 一縷の望みをかけた死神だったが、次の瞬間、李は拓巳の頭を鷲掴みし、地面に叩きつけるために一度頭を上げさせる。

 抵抗など出来るはずもない拓巳は、ただただされるがまま身体を動かす。

 顔面はすでに血だらけになっている。

 拓巳の脳ごと潰そうと、李が掴んだ頭を思い切り地面に叩きつけようとしたとき、隙をついて死神が李の腕を斬り落とす。

 「・・・!!」

 今までも人を傷つけてはきたが、この感覚はやはり気持ち悪い。

 ボト、と生きている人間の腕が生々しい鈍く重い音を立てて地面に落ちるが、耳にまとわりつくそのザラツキがさらに気持ち悪さを増幅させる。

 李は何事もなかったかのように自分の腕を眺めていた。

 だからなのか、亜緋人がその腕を拾うと、まるで荷物を扱うように肩に乗せる。

 死神は拓巳の頭を死守すべく李と亜緋人に近づいていったため、今度は死神に狙いを定める。

 角度的に李に見下ろされる形となった死神は、初めて見る李のその目つきに、思わず恐怖がこみ上げる。

 何の躊躇もなく李は死神に対し、先程拓巳の身体を貫いたときのように、残っているもう片方の腕を死神に突きつけてくる。

 「・・・!!」

 思わず目を瞑った死神だったが、自分の頭の上を何かが通り過ぎていったのを感じ、さらには何かが壁に激突した音を聞いて顔をあげる。

 「つ・・・」

 「どいつもこいつも」

 海埜也が、なんとか李の攻撃を凌いだらしいが、亜緋人がそれを見て苛立つ。

 笑ったようにも見えるが、実際は違うだろう。

 海埜也も意識ギリギリのところだったのか、死神を救ったその一撃を見届けると、前のめりになって倒れていく。

 意識があればまだ海埜也を痛めつけようとえも思っていたのか、亜緋人は海埜也が倒れてしまったことで舌打ちをする。

 亜緋人は拓巳と死神を見下ろすと、海埜也が意識を取り戻しても動けないようにエドと鳴海に目配せをし、どこから出したのか、のこぎりのような、けれど形は剣のようなものを取り出す。

 それを海埜也の首にあてがった。

 その時だろうか。

 「ちょっと何これ信じらんない!!!」

 みりあが意識を取り戻したのだ。

 信からしてみれば最悪の状況だったのだが、みりあは戦う様子を見せずにこう叫ぶ。

 「皮が剥がれてる!!やだ!!ネイルも取れてる!!化粧も落ちてる!!!早く帰って直したい!!!」

 「おいみりあ今・・・」

 「うっさいわね!あんたにはわかんないでしょうけど、私は美貌に命懸けてんのよ!!これで前より男にもてなくなったらどう責任とってくれんのよ!!!!!」

 「・・・・・・はあ」

 みりあの、戦っているとき以上の形相に、亜緋人たちはため息をこぼす。

 そして亜緋人がひょいっと手を動かせば、それが撤退の合図だったのか、エドや鳴海も動き出す。

 動かなくなっている和樹のもとへ近づくと、なにやら後頭部や首筋などを触っている。

 エドが和樹をマネキンのように抱えると、信は思わず声を荒げる。

 「おい!!!お前ら!!!!」

 「よせ信!!」

 和樹を連れて行かれることに対してなのか、物扱いをすることに対してなのか、それとも海埜也のことに対してなのか、とにかく、色んな状況が信を叫ばせたのだ。

 死神に止められても、信は亜緋人たちを睨みつけ、今にも襲いかかってしまいそうだったが、死神に海埜也の方を指さされ、そこに倒れている海埜也を見てなんとか威嚇を止める。

 逃がしたくない気持ちとは裏腹に、逃がした方が最善という現実。

 引きとめたところで、危うくなるのは自分たちなのだと、信は怒りや憎しみ、虚しさなどの感情を押し殺す。

 悔しくて唇を噛みしめても、この場をどうにか出来るだけの力も策もないことも分かっている。

 それに、と信は死神を見る。

 今この場にいる者の中で、最も複雑な感情に苛まれているのは死神だろうと、信は死神の言葉を受け入れる。

 信が諦め切れていないことくらい、亜緋人にだってわかっていた。

 短い期間とはいえ、この男と一緒にいたのだから。

 信がどういう人物なのか、和樹のことをどう思っているのか、自分に対してどういう感情を持っているのか。

 そして、海埜也のことも。

 先程から少しも動かない海埜也を見たあと、亜緋人は信を見る。

 ただ、観察するかのように、じっ、と。

 「・・・・・・」

 亜緋人がしばらく信を見ていると、それに気付いた鳴海が、自分の身体を元の人間のものに戻しながら話しかける。

 「何?殺しておく?」

 喉を鳴らして笑う鳴海は、今すぐに信を殺すことなど簡単だと言いたげだ。

 剣を持って体勢を整えようとした信だったが、亜緋人は再び、倒れている海埜也を見て鼻で笑う。

 「用心棒はほぼ屍。・・・こいつは弱い。その男さえいなけりゃいつだって殺せる。ただな」

 ふー、ふー、と怒りを鎮めようとしている信の近くまで急ぐわけでもなく、いたってマイペースに歩いてくると、亜緋人は腰を曲げて信の顔をなるべく正面から見る。

 その顔はもう、涙でぼろぼろだ。

 しかも、見たことのないほど憎悪に満ちており、理性というものが存在していなければきっと亜緋人を殺しにかかっているだろうほど、普段の信からは想像もつかないほど。

 それを見て滑稽そうに笑う亜緋人に、握った剣を振りまわしたい気持ちになった信だが、今ここでしてはならないと、なんとか残っている理性が言う。

 そんな信の気持ちを見透かすように、亜緋人は穏やかな声で話す。

 「お前がなぜここで殺されないか。考えてみろ」

 渦巻く感情を制御するので必死な信に、残酷な質問をする。

 「・・・・・・っ」

 自分にあてがわれた女性1人さえ、攻撃に押されほとんどまともに戦えなかった。

 わかっているからこそ、強く噛みしめた唇からは血が出てきている。

 それを見て、亜緋人はただ楽しそうに、そして優しく教える。

 「殺す価値がないからだ」

 亜緋人の言う“価値”があった方がいいのかなんてこの際どうでもよくて、今の信にとっては、ただただ“存在の否定”でしかなかった。

 ぐっと唇を噛みしめると、亜緋人は歪みに歪んだ信の表情を見て歯を見せ微笑む。

 そして、残酷な一言を奏でる。

 「よかったな、弱くて」

 それからすぐ、亜緋人たちはいなくなった。

 残されたのは、沈黙と、敗北。

 それと、絶望―

 「ぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!!!!!」




 「よっし。じゃ、戻ったらこいつら修繕な」

 「簡単に言うけどよ、和樹はともかく、李はどうするんだ?元は人間だろ?」

 「そうだった。・・・でもよ、遠隔で脳内操作出来たんだから、同じような感じじゃねえの?」

 「それは李がそういう実験されてたから、たまたま操作出来ただけだろ?」

 「つか調べてたのお前だろ亜緋人」

 「んー・・・。ま、元から人間とは言えない感じだったから大丈夫だと思う。適当にやってみりゃいいんじゃね?」

 「なんだよそれ。これ腕直せなかったらどうすんだ?棄てんのか?」

 「もったいねぇだろ。再利用しろよ」

 「いや、大丈夫だ。直るよ」

 「亜緋人、お前また適当なこと言って」

 「直るって。そういう風に出来てんだって、こいつは。それに・・・」

 「それに?」

 しーん、と静まりかえり、亜緋人の次の言葉を待っていたエドたちだったが、優雅にハーブティーを飲み始めた亜緋人に言葉を催促する。

 すると、亜緋人はカップをテーブルに置いてから足を組み、頬杖をついて微笑みながらこう言った。

 「あいつの居所も掴めそうだしな」

 一体誰のことなのかと、亜緋人以外で顔を見合わせる。

 「あいつって?」

 噛み合っていない会話をなんとか続けようとしたエドたちだったが、亜緋人はそれ以上何も言わなかった。

 和樹は身体を部位ごとに分断されたあと、パーツごとにさらに分けられ、1つ1つメンテナンスをされていく。

 脳のある頭だけは、成分のよくわからない液体にくぐらせると、目玉をくりぬき綺麗に洗浄される。

 その後再び目として定位置に戻されると、首筋をナイフで切られ、その中にある複数の管を取り出し、欠損などの確認が入る。

 それも大丈夫だったのか、無菌室へ運ばれてそこに用意されている大きな瓶へと入れられる。

 これもよくわからない液体が中に入ると、自然と和樹の頭から管がにょきにょきと出てきて、それをパソコンと繋ぎ何か確認を始める。

 他の部位はというと、破損や欠損、色落ちなど幾つもの確認をされたあと、誰かのものなのか、それとも人工物なのかは定かではないが、人の皮膚のようなそれを剥がし、内部まで確認を行い、新しいそれと交換をする。

 その後、首のある部屋に運ばれ頭と合流。

 頭と身体、別々に保管されることになる・

 一方、初めての処置となる李に対しては、一度死神に斬られてしまった腕の確認から行われた。

 普通の人間のようにも見える質感、血管、筋肉、筋など、まじまじと興味深く一通り調べたあと、腕と身体の縫合が行われる。

 そして和樹がいる部屋とは別の部屋に連れていかれ、スキャンされたり採血されたり、他にも色々と・・・・・・されたようだ。

 ―痛い。痛い。痛い。まただ。また、痛みが始まった。




 「拓巳・・・拓巳!!!」

 どれだけ叫んだかわからないが、声が枯れてしまっているからきっとかなりの時間叫んでいたんだろう。

 しかし、自分の声が枯れていることにも気付いていない死神は、拓巳を呼び続けた。

 「・・・・・・っ」

 「だめだ!まだ死ぬな!!李を助けに行くんだ!お前がいなきゃ助けられない!!」

 死神は拓巳に話しかけるが、拓巳はすでに焦点さえ合っていない。

 僅かにある息を頼りに、拓巳は何かを死神に伝えようとしているようだが、唇を動かす力も、言葉を発する力も無い。

 唇を動かしても、そこから聞こえるのは吐息だけ。

 「・・・っ」

 死神は、拓巳の身体を強く抱きしめる。

 自分の身体さえ痛むのだが、それでも、まだある温もりを手放すことは出来なかった。

 とめどなく溢れてくる涙と血で、視界なんてまともに見えていないのかもしれないが、拓巳の心音はまだ聞こえる。

 「拓巳・・・拓巳ィィ・・・!!!ごめんな・・・ごめんな!!!」

 呼吸音が小さくなっていく。

 体温が冷たくなっていく。

 わかっていたが、人間はいつか死ぬ。

 しかしその言葉は、天寿を全うできる人間にのみ使うべきだ。

 いつか死ぬからといって、こんな死に方はあんまりじゃないか。

 もしこの世界に神様というものがいるなら、そんな奴、とんだ役立たずじゃないか。

 人のために生きてきた人間が、こんな終わり方でいいはずがない。

 信じていなかったから救わなかった、なんて言いやがったらただじゃおかない。

 だってそうだろ?

 信じようと信じまいと、平等に助けるのが神じゃないのか。

 神を信じていれば、人を幾ら傷つけても天国に逝けるのか?

 人を沢山救ってきても、神を信じていなければ地獄に堕ちるのか?

 お前ら神がやらなくちゃいけないのは、救いを求めてる奴らに手を差し伸べることじゃないのか。

 助けを乞いてる奴らに道を示すことじゃないのか。

 ここぞという時に慈悲を与えることじゃないのか。

 人のために生きてきた奴に、どれだけ辛くても生きることを投げ出さなかった奴らに、奇跡を見せることじゃないのか。

 それが出来ねえなら、言わせてもらうぞ。

 ―このクソ野郎




 「し・・・み・・・」

 近くにいるはずなのに、遠くにいるようなか細い声が聞こえてきた。

 「!拓巳!?どうした?」

 「・・・・・・」

 耳を澄ましていないと聞こえないほどの拓巳の呼吸に、死神はじっと耳を傾ける。

 何か言っているのに聞こえないのか、それともまだ何も言っていないのかさえわからないが、聞こえるまで待とうと呼吸さえ大人しくさせる。

 「あ、諦、め・・・・・・な」

 「!」

 やっとのことで聞こえた拓巳の声に、死神はもう一段階強く拓巳を抱きしめる。

 「李・・・のこと・・・頼・・・」

 「拓巳?拓巳・・・?」

 何度も名前を呼んだが、もう、拓巳が応えることはなかった。

 それでも、しばらくの間死神はずっと拓巳の名前を呼び続ける。

 そのうちまた、声が聞こえるのではないかと信じて・・・。

「拓巳・・・!!!?」

 薄く開いたままの目と口からは、もう何も感じ取ることが出来なかった。

 だらん、と地面に垂れた腕は、ぴくりとも動くこと無く、身体はその重みを十分すぎるほど感じさせる。

 乾き始めている血だまりが、時間の経過をゆっくりと告げていく。

 『ねえ拓巳、死神』

 『なんだ李』

 『またくだらないことか』

 『酷いねぇ。そんな決めつけなくてもいいじゃん。良いこと話すかもよ?』

 『それはねえな』

 『で、何?』

 『うーん。ちょっとね、2人の戦いを見て気になったことがあって』

 『気になったこと?』

 『そ。なんか無茶するよね?なんで?』

 『してる心算はないけど』

 『俺も』

 『なんかね・・・。俺を守ってる?』

 『・・・まあそりゃ、そうだろうけど』

 『それの何が問題?』

 『問題っていうか問題だよね。なんで俺を守ってるの?俺って弱そうなの?2人より強いの知ってるよね?あれ?知らなかった?』

 『知ってるけど・・・。某に頼まれたから』

 『俺もそんな感じ』

 『え、自分の意思じゃないんだ。某に言われたからなんだ』

 李には感謝してるからだなんて、あの時は言えなかったけど。

 『まあ理由や経緯はおいといて』

 『聞いてきたの李なのに』

 李を守ろうって、2人で決めたんだ。

 『拓巳、死神、よく聞いてね』

 『『何』』

 李の言葉を聞いて、ああ、やっぱりこの人を守ってきたのは間違いじゃなかったんだってわかった。

 『俺より先に死のうなんて、考えないでね?』

 そう言って、お前は笑ったんだ。

 いつ死んだっておかしくなかった。

 研究所に連れて来られたときにはすでに、原因不明の感染病に侵されていて。

 着いてすぐに隔離されたことを覚えてる。

 数カ月だったのか数年なのか、時間の感覚はわからなかったけど、その間、次々と部屋に来る大人は替わっていった。

 多分この感染病のせいなんだろうってことくらいはすぐに分かったけど、じゃあなんで自分は死ねないんだろうとも思った。

 幸か不幸か、生き延びて、被検体となった。

 こんな苦痛を味わわなければいけないなら、いっそのこと殺してほしかった。

 失敗して死ねれば良かった。

 『お前女?男?』

 最初こそ失礼な奴だと思ったし、正直お前だって女か男かパッと見わかんねぇぞとも思った。

 『お前も災難だな。ま、ゆっくりしていけよ』

 ここはお前の家か?とも思ったけど、定期的に様子を見に来るから、それに、歳も近かったからなのか、親近感が出てきた。

 名前が無いから“死神”と名付けられたことを言えば、『センスがねえ』とか文句を言うし、『今日はおかずが少ねぇ』とか『あの職員は嫌いだ』とか、まあ、文句がほとんどだったけど。

 お前はいつだって、俺達の希望だった。

 いつだって俺達の前を走っていて。

 いつだって俺達の前で笑っていて。

 いつだって俺達のことを守ってくれた。

 それなのに。

 それなのに・・・。




 「拓巳・・・ありがとう」

 拓巳の身体をそっと地面に下ろせば、人間という生き物の体積が感じ取れる。

溢れてくるものを堪えるために上を見上げれば、壊れた天井から真っ青な空がこちらを見下ろしている。

その青さが、今は喧嘩を売られているようだ。

「空は、残酷なほど青い」

 そうぼそっと死神が口にしたとき、物音が聞こえてきた。

 死神と信はハッとそちらを見やる。

 「あ?なんだお前ら?」

 そこにいたのは、銀髪で隻眼の男だった。

 「イデアムさん、どうされました?」

 後ろから緑髪の男が現れると、イデアムと呼ばれた男は頭を軽くかき乱しながら、信たちの方を指さす。

 緑髪の男が前に出てくると、死神と信に向かって剣を構える。

 すでに戦う気力など残っていない2人は、ただ茫然とその様子を見つめていた。

 「・・・・・・ブライト」

 死神と信を見て、イデアムは剣を構えた男、ブライトに剣をしまうよう促す。

 「しかし。追手かもしれません」

 「大丈夫だ。見ろ」

 イデアムが顎でくいっと指した方向を見てみると、そこには、すでに息絶えた1人の姿と、息絶えているのかわからないほどに血だらけの1人がいた。

 納得したのかはわからないが、ブライトはその剣をもとの場所へと戻す。

 イデアムの後ろから数人の男たち、そして女性も現れると、倒れている男たちの方へ駆け寄る。

 仲間と思われるその男たちが、倒れている2人の脈などを確認している中、イデアムはゆっくりと信へ近づいてくる。

 「・・・何があった?」

 イデアムが、一番怪我をしていなさそうな信に話しかけてみるが、信は放心状態だった。

信の視線は、血だらけでうつ伏せに倒れている男ただ一点に向けられている。

 だめか、とイデアムは前髪をくしゃ、とかきあげて、もう1人の生き残りである死神の方へ歩み寄る。

 「こいつは、お前の仲間か?」

 両膝を曲げ、息をしていない拓巳の目をすっと閉じさせると、横にいる死神の顔を覗く。

 何も言わない死神に、こっちもダメかと諦めかけたとき、死神が口を開く。

 「俺の、仲間だ。・・・家族みたいな、仲間・・・」

 やっとのことで声が出たのだろう。

 声は掠れていたし、とても、小さかった。

 それでもイデアムの耳には確かに届き、イデアムは安堵したような、そんな表情だ。

 「・・・・・・そっか」

 「イデアムさん、この方はもう・・・」

 脈や呼吸を確認していたイデアムの仲間がブライトに伝え、ブライトからその事実を告げられる。

 生温い様な、肌寒いような、感覚さえまとに働いていない死神は、その言葉を風鈴の音のように聴いていた。

 ブライトからの報告に、イデアムは死神の顔を見ながら俯く。

 「そうか」

 イデアムの返事に、ブライトたちは拓巳の亡骸の上に布をかける。

 未だ動く気配のない死神を数十秒見たあと、イデアムは布がかけられた状態の拓巳を見て、柔らかい声で伝える。

「・・・俺達で丁重に葬ってもいいか?」

 イデアムの提案に、死神はピクリと身体を反応させたかと思うと、静かに頷く。

 輸血した方がいいとか、とにかく横になれとか、言いたいことは他にもあったのだが、今の死神に一番必要だと思うのは、もっと別のものだった。

 「・・・おい、こいつに何か飲み物やれ」

 それは、ずっと昔にイデアムも感じたこと。

 「わかりました」

 「それと、食いモンもな」

 「食欲無いんじゃ・・・」

 放っておいたら、仲間の後を追って死にそうな顔をしている死神の様子を見て、イデアムの仲間の男がそう言った。

 立ち上がって、死神のことを見下ろしているイデアムは、もう1人の倒れている男の様子をみるべく、足を動かしながら言う。

 「どれだけ絶望してようと、腹は減るもんだ」




 「どうだ?」

 イデアムはもう1人の方に着くと、なにやらバタバタと処置をしていた。

 処置をしているということはひとまず生きているんだろうと、イデアムはふう、と安心したように息を吐く。

 だが、処置をしている仲間は酷く険しい表情と声で告げる。

 「危険な状態です。血も足りないし、臓器も傷ついてるし、もう、生きてるのが奇跡です」

 乾いた涙が頬に張り付いたままの信を見て、イデアムは懇願するように言う。

 「なんとか助けてやれ」

 「やれることはしますけど、難しいですよ。最悪のことも十分考えられます」

 その言葉に反応したのは、先程までずっと反応がなかった信だ。

 海埜也の治療にあたっている男の胸倉を思い切り掴みあげると、一度は枯れたはずの涙を再び溢れさせる。

 「助けてくれ!!!絶対!海埜也が助かるなら、俺なんでもするから!!!頼むよ!!死なせないでくれ!!!ッッ!!頼む・・・お願いします・・・ッッッ!!!」

 最初こそ物凄い形相であったが、徐々に弱々しくなっていくその信の姿に、掴まれた男は何も言えなかった。

 今なお意識を取り戻さず、止血も出来ず、輸血も出来ず、なんとか包帯や薬を使用はしているものの、見るからに危険だ。

 ついさっきまで屍となんらかわりなかった男の必死な訴えに、イデアムは両膝を曲げると信が首をあげなくとも自分の顔が見えるようにする。

 「・・・海埜也っていうのか?」

 うつ伏せだった身体を仰向けにし、イデアムの仲間が懸命に治療を続けている男の顔は、血だらけだが火傷の痕も見える。

 年齢は、憶測の域を超えないが、多分イデアムと同じくらいだろうか。

 「・・・うん」

 「仲間・・・って感じじゃねえな。兄弟とかか?」

 イデアムの問いかけに、信は首を横に振る。

 こういう状況が初めてなのか、まるで子供のように泣きじゃくり、身体全身で感情を訴えてくる。

 それを疎ましく思いもせず、面倒とも思わず、イデアムはただ静かに話す。

 「いいか。こいつが、海埜也が生きるか死ぬかは分からねえ。駄々こねたところでどうにかなる問題じゃねえ。わかるな?」

 諭すように優しく話せば、信は落ちついてきたのか、嗚咽が止まって大きく頷く。

 信の精神状態が多少戻ってきたことを確認したイデアムは、状況を知るべく、さらに踏み込んだことを訊ねる。

 「見たところ、人間の仕業じゃねえ。お前ら、何を相手にしてたんだ?」

 瞬間、信はまた過呼吸のように息を荒げる。

 「・・・分からないっ」

 「嘘を吐くつもりですか?」

 いつの間にかイデアムの後ろまで来ていたブライトは、信の答えを冷たく否定する。

 「嘘じゃ無い!!」

 声を荒げる信を見て、イデアムはブライトを先に宥めるよう手で指示を出すと、ブライトは不満気な顔になる。

 「ブライト、すぐにそうやって威嚇するもんじゃねえぞ」

 「ですが」

 「それは俺から話す」

 そう言って信のもとへやってきたのは、イデアムの仲間に治療されている最中の死神だ。




 「ざっくりと言うと、お前らは人造人間と戦って負けた。ってことか?」

 「まあ、ざっくりと言えば」

 要領良く話をした死神に対し、イデアムは聞いていたのかいなかったのか、大まかな部分は割愛して結論を出す。

 だが、ここで疑いの眼差しを向けるのは、イデアムの隣にいる猟犬だ。

 「信じられません。人造人間だなんて。そんなの空想の話です」

 ブライトの完全否定の言葉に、死神もさすがにムッとしている。

 放っておいたら冷戦が始まってしまいそうだと判断したイデアムは、ブライトの肩に腕を回して死神に謝罪する。

 「悪いな。こいつちょっと硬いんだ。悪い奴では無いんだけどな、ちょっと夢やロマンが足りねえんだ」

 な?と半ば強制的に同意を得ようとしたイデアムだったが、ブライトはそんなイデアムに向かって冷たい視線を送る。

 「イデアムさん・・・」

 一方の死神は、どこまでが正しい情報として扱って良いのかわからなかったため、おおよその判断で話をした。

 亜緋人がどういう人間であるのかはわからないが、戦い方と見る限り、普通の人間としての括りに入れることは出来ない。

 詳細はわかっていないと伝えれば、またブライトに不審な目でみられてしまったが、イデアムが宥めていた。

 間違った情報を渡した方が困るではないかと思った死神だったが、それを理解しているからなのか、イデアムは死神の話を信じる前提で聞いていたようだ。

 それにしても、温かい飲み物を飲んだからなのか、ついさっき目の前で起こったことが嘘のように心が穏やかだ。

 隣で同じように飲み物を口にしている信は、海埜也のことがずっと心配のようで、鼻水を啜りながら飲んでいる。

 ついでにパンももらって、食欲なんか、と思っていた2人だが、思っていたよりも身体は生きていることを知っているらしく、腹が鳴った。

 「噂では聞いたことあるけどな、人造人間」

 「噂ですか?」

 「ああ。ガキの頃に少しだけな。でもま、世界は広い。そういうこともあらぁな」

 「それで済ませないでくださいよ。この方たちはそのせいで・・・」

 大事な家族のような仲間を・・・と続けようとしたブライトだったが、口を紡いだ。

 「あ、あの」

 ふと、信が控えめの声で注目を浴びる。

 「なんだ?」

 おろおろと目を動かして遠慮がちに。

 「あ、海埜也は・・・」

 この問いかけに、イデアムたちはみなため息を吐く。

 「おい、お前5分前にも聞いてきたぞ。5分でそうそう容体は変わらねぇ」

 イデアムは懐に持っている懐中時計を見せると、確かにきっかり5分前に信は同じことを聞いていたなと、死神は信を見る。

 「いえ、5分は貴重かと」

 たった5分、されど5分ですとブライトに注意されてしまったイデアムだったが、懐中時計をしまいながら、先程とは違って子供のように文句を言う。

 「そうだとしてもせめて10分とかにしろよ」

 毎回懐中時計見せるのかと、もはやこの懐中時計を信にあげた方がいいのか、いや、でもこれは、とか求められていないところで悩んでいた。

 「10分ならいいんですか」

 「もういいよ。なんでもいいよ」

 イデアムたちのやりとりを見ていると、どこか自分たちのことを見ているようで、死神はようやく微笑んだ。

 拓巳がいなくなってしまった今、自分に何が出来るだろうと考えていると、信が死神に声をかけてきた。

 「李を救おう」

 お前だって、和樹を救わなきゃだろ、それよりも先に海埜也だろ、と思った死神だが、思い出したことがある。

 そうだ。こいつは、一国を担う予定の男だった。

 まあ、適正があったかどうかは別問題だが、少なくとも、仲間を見捨てるようなことはしない奴だと。

 「拓巳のことは救えなかったけど・・・。拓巳が李を救おうとしたなら、俺達はそれをやり遂げよう」

 「・・・・・・お前」

 自分たちとは敵同士だったのにと。

 和樹を手に入れるために、信だって殺そうとしたのにと。

 頭を下げて謝らないといけないのに、信は泣きそうな顔で、笑いながら言った。

 「正直、あいつのことそんなに好きじゃねえけど。でも、俺にとっての海埜也や和樹が、お前にとっての李や拓巳だろ?なら、なにがなんでも取り戻さねえとな!」

 「・・・ああ。お前はもうちょっと強くなった方がいいけどな」

 「!ああ!確かに!」

 ははは、と少しは元気が出てきたのか、信と死神はまた飲み物を口にする。

 2人が会話しているのを黙って聞いていたイデアムは、「よし」と言って腰を上げる。

 次にイデアムが何を言うのかを予想出来たのか、ブライトを始め古参たちはため息を吐く。

 「おい、どうすんだ?ありゃいつもの癖が出るぞ」

 「致し方ありません、オリバー。イデアムさんはそういう人です。言ったって聞きませんよ」

 「だよな。本当に困ったリーダーだ」

 肩を揺らしながら笑っているイデアム達の仲間のことなど見ていなかった信と死神に、イデアムは当然のように言い放つ。

 「まだあいつの治療もあることだし、なんならお前ら、特訓するか?」

 「「・・・・・・え?」」




 「マリア、後輩が出来たわね」

 「はい!私ももっと頑張ります!」

 「イデアムさん、面倒に巻き込まれても知りませんよ」

 「そん時ぁ頼むぞ、お前ら」

 ケタケタと楽しそうに笑うイデアムの背中は、誰かに似ていた。



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