第42話 おそろい

みんなと別れた私と焚翔は雑貨屋さんを回ってお揃いのストラップを買った。


お互いのイニシャルの入ったやつ。


「俺がこっちで詩はこっちな」


「うん、ありがとう!」


もちろん、私は"T"で焚翔は"S"の方。


「どこに付けんの?」


「どこにしようかな?携帯か家の鍵に付けようかな?焚翔は?」


「俺は携帯かカバンかな?」


「私、焚翔と同じとこに付けたい!」


「んー…じゃあカバンにしようぜ?」


「うん!家帰ったら付けるね!」


「おう。」


その後、私たちは少し休もうという事でカフェに入った。


「そういえばさっき、咲枝ちゃんと何話してたの?」


「あー…咲枝、好きな人が出来たみたいで。」


「へー。じゃあ付き合えたらトリプルデート出来るじゃん」


「あ!確かに!」


「ちなみにどんなやつ?」


「男バスの部長だって言ってたよ?」


「男バスの部長?」


「うん、焚翔知ってるの?」


「まぁ…俺の1個上だけど幼なじみなんだよ」


「え!?そうなの!?」


「うん。最近は部活が忙しくて会ってないけどな」


「へー。どんな人なの?」


「まぁ、一言で言うならかなりモテる」


「…」


「…」


「それだけ!?」


「うーん…誰にでも優しい、社交的、頭がいい…くらいかな」


「モテる人の見本みたいな人なんだね」


「確かにそんな感じだな。」


「咲枝も優しいって言ってたなぁ…」


「にしても、燿(ひかる)かぁ…」


「燿?」


「男バスの部長"椿木 燿(つばき ひかる)"って言うんだよ」


「そうなんだ。」


「でも、あいつは止めた方がいいと思う」


「なんで?」


「モテすぎて彼女出来ても、彼女への嫌がらせとかすごかったらしく、彼女が傷つくのが嫌でもう誰とも付き合わないって愚痴聞いたことあるんだよ。」


「モテるのも大変なんだね…でも、咲枝はきっと諦めないよ?」


「まぁ咲枝ちゃんには悪いけど、振られることは覚悟しといた方がいいだろうな」


「でも"もしも"があるかもしれないじゃん?」


「それは燿にしか分からないことだからなんとも言えないけど…」


「とりあえず、咲枝のこと応援したいと思ってる」


「それは構わないけど…」


「けど、何?」


「お前まで燿に好意持つなよ?」


「…あれ?それってヤキモチってことでいいの?」


私は焚翔の唐突な言葉にニヤッとしながら問いかけてみた


「…だったらなんだよ」


「だってヤキモチなんて妬かなくても、私が好きなのは焚翔だけだよっ」


私がニコニコしながら首を軽く傾げて言うと"そんなの当たり前だろ、誰にも渡す気ねぇから"と真剣な顔で言われて、少しドキッとした。


「あ、ありがとう?」


「ん。」


「あ、そうだ。夏休みのお泊まり会なんだけど…」


「あぁ。いつがいい?」


「お母さんはなんて?」


「いつでもいいって言ってた」


「そっかぁ…みんなと遊びに行く日以外にしよう?」


「詩がその方がいいなら。」


「うん!だって楽しみが増えるでしょ?」


「うん、そうだな。」


それから焚翔のお家には1泊2日のお泊まりが決まって、私を家まで送ってくれた時に両親に説明してくれて、お泊まりの許可をもらえた。


許可を貰った焚翔は嬉しそうにして帰って行った。





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