第38話 追求

翌日の放課後、私と水元先輩は生活指導室に呼ばれた。

昨日の犯人から話を聞くために。


「ちゃんと話してくれるんでしょうか?」


「さぁね。あいつのことだからしらばっくれることは間違いないと思うよ。」


「…」


しばらく私たちが待っていると先生が犯人を連れて戻ってきた。


「一ノ宮先輩…」


「なに?こんなとこに呼び出して。ってかなんであんたらもいるの?」


「昨日のこと…分かってますよね?」


「は?昨日のことって何?」


「しらばっくれないで下さい!」


「別にそんなことしてないけど?」


「一ノ宮さぁ、昨日。俺たちのこと倉庫に閉じ込めたでしょ?」


「は?体育館倉庫になんて閉じ込めてないわよ」


「あっれぇ?俺"倉庫"っては言ったけど"体育館倉庫"とは言ってないんだけど?」


一ノ宮先輩はしまった!という顔をしていたけど時すでに遅し、全員がそれを見逃さなかった。


「なんであんなことしたんですか?」


「は?そんなの決まってんじゃん。あんたがいつまで経っても焚翔と別れないし、目障りだから」


「そんな理由で…」


「くっだらねぇ!」


「は?」


「くだらねぇって言ってんの。いい加減にしろよ。後輩いじめして恥ずかしくねぇの?」


「…」


「あと、焚翔もお前がやった事知ってるからな」


「え…」


「お前は知らなかっただろうけど、体育館には防犯目的でカメラが付いてるんだよ。」


「はぁ!?なんで…!?」


「だーかーら!お前が俺らを閉じ込めた犯人だってバレてるんだよ」


「…」


「焚翔、お前がやったことに対して本気でキレてるからな」


「一ノ宮先輩、私の親もかなり怒ってますよ。」


それからみんなで話し合って、一度私たちの両親も含めて話し合うことが決まった。


話し合いの日は追って連絡するってことで私たちは帰された。


今は焚翔先輩と帰っている。


「話し合いどうだった?」


「うん…最初は一ノ宮先輩、知らないって言ってて水元先輩が"倉庫に閉じ込めた"って言ったら"体育館倉庫"って言ったから」


「自分が犯人です。って言ったような感じか。」


「そう。で、今度両親呼んで話し合いすることになって…」


「そうか…ところで、昨日言ってた話したいことって?」


「あ、あのね…実は。」


私は昨日、水元先輩から告白されたこと、体育館倉庫で2人っきりの時、少しだけ抱きしめられたことを話した。


「そうだったのか。」


「焚翔先輩には告白することは言ってあるって言ってたから…」


「うん。でも、まさかこんな早くに告白するなんて思ってなかったけどな。」


「正直、これから水元先輩とどう接していけばいいのか…」


「…難しいかもしれないし、時間がかかるかもしれないけど、今まで通りでいてやって欲しい。」


「え…?」


「あいつさ、本当に人が好きなんだよ。友達も大事にするし、みんなのこと楽しませようと頑張ったり、見ず知らずのお年寄りを助けたり。」


「そうなんだ…」


「だから、少しずつでいいから…」


「わかってる。私も先輩のことは先輩として好きだし、みんなで出かけるのも好きだから…」


「あいつも同じ気持ちだと思うから」


私たちは今後のことや水元先輩との事など少し話し合って、また仲良くして行けたらって話になった。





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