第35話 告白

その日の放課後、私は焚翔先輩に言われて自分の教室で待っていた。


由莉は吉川先輩と図書館デートで咲枝は部活に行ってしまっているからかなり暇だ


「まっだかなー♪まっだかなー♪一人ぼっちはさっみっしっいっよ♪」


あまりの暇さに変な歌を歌ってしまった


「変な歌」


「え?…一ノ宮先輩。」


「…」


「何かご用ですか?」


「毎日、焚翔と登校なんて当てつけのつもり?」


「付き合ってるんですから、一緒に登校してもおかしくないですよね?」


「私はあんたのこと認めてないし、焚翔のことも諦めてない」


「別に…先輩に認められなくても構いませんよ。そんな必要も無いですからね」


「本当にムカつく」


「そうですか。話はそれだけですか?」


「あんたなんか焚翔に遊ばれてるって気づけよ」


「焚翔先輩は、そんなことするような人じゃありません!一ノ宮先輩は私より焚翔先輩と長い時間いますよね?なんでそんなことも分からないんですか?」


「うるさい!!あんたに何がわかんのよ!」


一ノ宮先輩は怒って私に掴みかかってきた。


でもその瞬間、タイミングよくある人物が入ってきた


「なぁにしてんだよ。一ノ宮」


「水元…」


「俺言ったよね?詩ちゃんと焚翔に近づくなって。」


「…」


「もし、何かしたら俺…何するかわかんねぇって言ったよな」


「…焚翔は絶対に私のものにしてみせるんだから!!」


一ノ宮先輩はそう私に言い放つと教室を出ていった。


「…詩ちゃん、大丈夫だった?」


「はい、水元先輩が来てくれたおかげです!」


「なんか聞き覚えのある声が聞こえたなって思ったらって感じ!」


「そうだったんですね、ありがとうございました!」


「詩ちゃん…ちょっとだけ時間いいかな?」


「あ、はい。焚翔先輩が来るまでだったら!」


「…」


「水元先輩?」


「俺、実は…初めて会った時から詩ちゃんのことが好きだった」


「え…」


「焚翔と付き合ったって聞いた時は…すごく悔しかった」


「…」


「でも…嬉しくもあった」


「どうしてですか?」


「焚翔がようやく前に進めたから。」


「元カノさん…のことですよね?」


「うん、あいつ本当にずっと俺と悠斗以外には心開かなくなってたからさ。」


「うん…」


「俺、詩ちゃんのこと今でも好きだよ。」


「先輩、ごめんなさ…」


「わかってる。焚翔から彼女を奪いたいと思ってるわけじゃないし、これからも焚翔とは友だちで居たいし。もちろん詩ちゃんともね」


「…」


「ただ、気持ちを伝えたかっただけ。だからそんなに深く考えなくていいからね!」


「でも…」


「それに本当は今日じゃなくて、今度みんなで海に行った帰りに告白するつもりだったんだ。焚翔にも許可は取ってる」


「え!?そうなんですか!?」


「そうだよ。正々堂々と言ってやろうと思ってな!まぁ、焚翔は"詩は俺のだから絶対渡さない"ってこの前言ってたし!」


「…でも、私。先輩の気持ち聞いてこれからどう接したらいいのか…」


「だーかーら!!今まで通りでいいってば!」


「そんなこと…」


「俺、詩ちゃんのこと諦めるために告白したんだよ?だって、俺。焚翔のことも大好きだからな!」


水元先輩はスッキリしたような顔をして笑いながら"俺はみんなが大好きなんだー!"って言ってる。


私はこれから水元先輩と、どうしたらいいのか悩んでしまった。


「そんな顔しないでよ。悩ませちゃってごめんな。」


「本当ですよ…」


「ま。これからも、俺と仲良くしてよ!」


水元先輩はそう言って握手を求めてきたから"頑張りますっ"と言って握手した。





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