第30話 嫌がらせの方法

私は由莉と咲枝に教室で、"この前、水元先輩に助けて貰ってから一ノ宮先輩たちからの嫌がらせが無くなった"という話をした。


「で、蒼也兄さんが助けてくれてから何も無いんですね?」


「うん。」


「あれだけ嫌がらせしてきて、水元先輩に言われたからって急に無くなる?」


「そこなんだよね…ただ本当に止めてくれたってだけならいいんだけど、そうじゃなかったらと思うと…」


「そうですよね…宣戦布告までしてきた一ノ宮先輩がそう簡単に嫌がらせを止めるとは思いにくいですし…」


「でも、とりあえずは気にしなくてもいいんじゃないかな?」


「そうだね。頭の片隅にでも置いておくよ。」


「詩。もし何かされたりしたら言ってくださいね!」


「私たちは友だちなんだからその時は頼ってよ!」


「由莉、咲枝…ありがとう!」


そんな話をしていると担任が教室に入ってきて、私は呼び出された。


「葉山、ちょっといいか?」


「え?私?」


「そうだ。話があるから一緒に職員室に来てくれ」


「はーい!ちょっと行ってくる!」


そう言って私は担任と職員室へと向かった。


「で、先生。話ってなんですか?」


「あー…お前。八神と付き合ってるって言うのは本当か?」


「へ?あ、はい。そうですけど…」


「そうか…はぁ…」


「あの、それが何か?」


「…あんなやつはやめろ」


「どうして先生にそんなこと言われなきゃならないんですか?」


「は?だってお前、八神に彼女がいるってわかってて付き合ってるんだろ?」


「……はぁ?なんですか、それ」


「何って…八神の彼女に相談されてな。とにかく、人の横取りとか最低なヤツのすることだからやめとけ。話はそれだけだから戻っていいぞ」


「……」


私は何故そんなことになっているのか理解できなくて、モヤモヤした気持ちのまま教室に戻って、由莉と咲枝に話すことにした。


「ってことなんだけど」


「なんですか、それ。」


「と言うか、八神先輩の彼女って詩だけだよね?」


「先輩は同時に何人もの人と付き合えるような人じゃないもん。」


「そうですよね…もしかして」


「何?」


「一ノ宮先輩じゃないですよね?」


「まさか…」


「「「…」」」


私たちが"まさかね"と言っているとクラスの子たちからこう言われた。


"葉山さんって一ノ宮先輩の彼氏奪ったって本当なの?"


だから私は、それを全否定して"焚翔先輩と付き合ってはいるけど、一ノ宮先輩の彼氏を奪ったりはしていない"と言ってどうしてそんな話になったのか、誰に聞いたのか等聞いてみることにした。


"一ノ宮先輩が泣きながら言いふらしていた"


と聞くことができた


「一ノ宮先輩…そういう方法で来たか…」


「あの人、全校生に広めて仲間作ろうってことなのかな?」


「咲枝の考えもあながち間違いじゃないかもしれませんね…それで、詩のこと孤立させようとしてるのかもしれません」


「水元先輩の忠告聞いてないんだね…」


「この事が蒼也兄さんの耳に入ったらどうなる事か…」


「それなら焚翔先輩も…」


私たちはあの2人が怒ったらと思うと不安になったけど"クラスの子たちだけにでも"と思い、本当のことを話したらクラスの全員が私たちを信じてくれて安心した。





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