第26話 彼女との日々(21)


 夜中。

 寝ようとしている雅人の携帯が鳴った。


 メール。送信者は雅人の父だった。

 突然の父からメールに雅人は戸惑う。


『元気にやっているか?』


 一文。それと一枚の写真。

 その写真は同僚らしき複数の人物と映る父の姿だった。

 ほとんどの人が外国人。

 父の隣にいるかっこいい男性は日本人に見える。


「本当に海外にいたんだ」


 背景はビルすら無い野原の様な土地。

 こんなところで父たちは何をしているのだろうか。

 雅人は気になったが、聞くほどの興味は持たなかった。


「はい」


 一文返す。

 特に父へ言うことは何も無い。


『そのうち帰ると思うから』


 すぐ返事が返って来る。

 こんなまめな人だった記憶は無かった。


「わかりました」


 そのうちと言うが、どうせ一か月に三日間とかだろう。

 その頃には僕はこの世界にはいないから、どうでも良い話だった。


 これが父との最期の連絡になるのだ。


「じゃあね、父さん」


 画面の向こうの父へ告げる。


 雅人は携帯を机に置き、そのまま眠りについた。

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