第9話

俺は今日も一人だった。


 バイトの帰り道。普段から通る川沿いの道、今日は何だかいつもより綺麗に見えた。


 たまには帰るのが遅くてもいいよな。


 俺は自転車を止めて、芝に座り川を眺める。川面には暗い中、電気のついた高層ビルが反射してとても綺麗に感じる。


  風は程よく涼しい。


 「何してんの?お前??」


「勇?いや、ただゆっくりしてるだけ」

むしろ、何故急に話しかけて来たんだ??


  「そっか、」

 そう言って勇は自転車を止めて俺の横に座る。


  「・・・・」


「・・・」

気まずい、とにかくに気まずい。

 勇とは小学生からの幼馴染だけど最近はほぼ喋ってない。


 むしろ初めて話す人より話せない状況だ。


 「なぁ、島」


「なに??」


「お前はさ、高校に入ってから俺たちのことを誘わなくなったじゃん」


「バイトが忙しいからな。」


「お前の事情はともかく、俺たちはお前が居なくても楽しいんだ。」


「・・・」


「あー!そうだよ!!だからお前は・・・お前は」


「??」


「もう少し自分のことも考えろよ。」


「??いや、自分のことしか考えてないけど」


「そうじゃなくてさ、」


「・・・??」


「もっと自分の娯楽の為に自分の為にさ、」


「いや、出来たらそうしてるだけで、出来ないから我慢してるだけ」


「・・・お前はいつもそうだ」

あれっ何故か怒っている?俺が自分勝手なことばかり言ったからうざかったのか??


 「妹のことを優先して、友達のことを優先して、自分のことはいつもあと」


「いや、そんなことはないよ、物理的に友達は・・・今居ないし、妹は、兄としての役目と、単純に俺がシスコンだかさぁ、だから何も優先とかはしてないよ。」


「本当に分からないんだな、だから、ボッチになるんだよ。」


意味が分からない。


 「いいか、とりあえずここであったことは誰にも言うなよ」


「わかった」

 言わないよ、と言うか言う相手も居ないし、この話を話せる国語力が俺にはないよ。


 そして、急いで帰った。

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