第7話

妹視点 過去編


 今でも覚えてるあの感覚。


 お兄ちゃんは喧嘩をすると毎日私を抱きしめてくれた。


 まるで両親がくれない愛情を代わりに与えるように。

 

 こんな家族のせいで私は人と話すことが苦手だった。お兄ちゃんは言っていた。「これ以上妹の前で喧嘩の話をするな!」お兄ちゃんは私に悪影響と、同時に普通の会話をする力が身につかないことを心配して居た。


 その為、お兄ちゃんは可能な限り私に色んな話をしてくれた。


 たまにお兄ちゃんは私を連れて外に行く、そして凄く仲がいい親と子どもの姿を見て羨ましがる私に気付いてお兄ちゃんはいつも手を繋いでくれた。


 私にとってお兄ちゃんが親で、お兄ちゃんだけが家族だった。


 

 お兄ちゃんは自分のことを我慢して私に色んな物をくれる。

 不思議に思った。お兄ちゃんは知らない間に金を手に入れている。ある日お兄ちゃんを隠れて追いかけると金を落ちて居ないか探しているところを見つけた。


 対して母親は、私に思い出しかのように、「貴方ことが一番大切よ」と私に言ってくる。だけど言ってくるだけで一応ご飯を出したくれる程度だった。


 お兄ちゃんの友達から教えて貰ったのだが、女の子向けのお下がりやいらない道具を貰い続けていたようだ。全て私が普通の女の子の生活が出来るように。

 

ーーーーーーーーーーー

 お兄ちゃんは両親と喧嘩するようになった。けど私には一切変わらないで大切にしてくれる。むしろ私のことを思って喧嘩してくれることを私は知っている。



 ついに離婚が決まった。どうやらお兄ちゃんが色んな手を尽くして学校や色んな所に訴えたようだ。


 父親は離婚しそのまま捕まった。

ーーーーーーーーーーーー

 離婚してから母親はよく笑うようになった。


 「離婚して良かった」「今の生活の方が楽しい」「娘とももっと時間取れるから最初からこうすれば良かった」


 と母親は私に言うが、今までのお兄ちゃんの苦労を返して欲しかった。


ーーーーーーーーーー

 戦いは終わったと思った。主にお兄ちゃんが今まで会ったことを我慢すれば終わる話だと思った。


 けどやはりあんなクズと結婚した母親がこのままで終わる訳はない。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る