その9。「上には上がいると痛感した瞬間の絶望感ハンパない」
「主、妾はこの姿のままでいいのか?」
「あー……どうしよう」
俺は転移屋で、「いつの間にそんな美女を連れて来たんだ!?」と言う店主の驚愕の顔を見ながら家の近くの転移屋へと戻り、現在絶賛帰宅中だったのだが、フレイヤの言葉で頭を抱える。
偶々会って仲良くなったって言う?
いやでも会って1日で家に招くって流石におかしすぎるか。
危機感が無さすぎるってセイドに叱られる未来しか見えん。
「フレイヤって小さくなれないのか?」
「ん? 小さく? この姿で?」
フレイヤがそういうと、ポンっと言う効果音が付きそうな感じで、人間の姿のまま掌サイズまで小さくなった。
何かフィギュアみたい。
「いや……出来ればドラゴンの姿で……」
「む、何故だ? 妾の姿が気に入らないのか?」
「全然違う! むしろずっとそのままの方が……ってそうじゃなくて、家族に説明する時にドラゴンの方が説明しやすいの!」
人化が出来るのはドラゴンの中でも特に強力なドラゴンらしいので、炎竜王だと言うのが露見するのは避けたい。
もしバレでもしたら俺は一気に戦争の奴隷にされてしまうだろう。
それにフレイヤを俺の力なしに操ろうと企む面倒な奴らも現れるかもしれないし。
「まぁ主がそう言うのであればそうしよう」
フレイヤはそう言うと、ドラゴンの姿に戻った。
そして小さく羽ばたき、俺の肩に乗る。
『さて、主の家へと行くぞ!』
フレイヤの元気な声を聞きながら、俺が運ぶのね……と思った。
「……それでドラゴンを連れて帰ったと?」
「う、うん……1人にはしておけなくて……家で育てちゃダメ?」
セイドに道端で怪我していた所を助けたら懐かれたと言う体で話してみると、やはりすんなりとはいかず、何度も唸っていた。
しかし感触的には悪くない。
俺が必死にドラゴンがいるメリットを話したからな。
その俺の説得が功を喫したのか、セイドは頷いてくれた。
「しっかりセーヤ様がお育てしてください。他の者にやらせてはいけませぬぞ」
「うん! ありがとうセイド!」
その後でセイドが家に新たにドラゴンが増えると言うと、使用人達皆驚いていたが、フレイヤの愛くるしい姿を見た瞬間にメロメロになっていた。
本来ならドラゴンの子供は親が取り返しに来て被害が出たりするので忌諱されることが多い。
やっぱりこの家の者は皆いい人だ。
いつも皆楽しそうに話しているし、上司や雇い主であるセイドや家の両親にも楽しそうに支えている。
俺はいい家に生まれてきたなと感じた。
悪楽令嬢に仕えないといけない事以外は。
『あまり人間の事は知らないが、主の周りの者は良い者達ばかりの様だな』
フレイヤもどうやら俺も同じ様なことを思っていた様だ。
「あれ? 何処からか女の人の声が……」
「僕は部屋に戻っておくねー」
俺はフレイヤの口を手で塞いで自室へと駆け込んだ。
危ねぇ……フレイヤの声って周りの人間にも聞こえるのかよ……。
『ごめんな主。誰かと話すのが久しぶり過ぎてすっかり忘れていたの』
「……今度シンシア様を紹介してあげる」
『同情するでない主!』
俺は耳元でぎゃーぎゃー五月蝿いフレイヤを無視して、自身のステータスを見ている。
疲れ過ぎてすっかり見るのを忘れてたんだよな。
———————————————
セーヤ・フロント
人間 6歳
レベル:41
《ステータス》
体力:11890/11890
魔力:9430/9430
攻撃:4059
防御:4059
敏捷:4059
魅力:94(固定)
幸運:91(固定)
《固有スキル》
【死に戻り】【炎竜王の祝福】
《スキル》
【短剣術:Ⅴ】【身体強化:Ⅵ】【付与:Ⅳ】【鑑定:Ⅶ】
《魔法》
【竜炎魔法:Ⅰ】【火魔法:Ⅲ】
【水魔法:Ⅵ】【風魔法:Ⅴ】【地魔法:Ⅴ】
———————————————
「…………凄くないですか?」
『む? どれどれ……ほう、人間にしては凄いステータスであるな』
俺が自分のステータスの高さに喜んでいると、横からそんな水を差す様なことを言ってくるフレイヤ。
そう言うくらいならフレイヤのステータスも見てみたいもんだな。
強くなった俺にそんな舐めたことを言えるくらいだからさぞ高いんだろうな!
———————————————
フレイヤ
炎竜王 3055歳
レベル:180
《ステータス》
体力:270000/270000
魔力:360000/360000
攻撃:90000
防御:90000
敏捷:90000
魅力:98(固定)
幸運:94(固定)
《固有スキル》
【炎竜王】
《スキル》
【身体強化:Ⅹ】
《魔法》
【竜炎魔法:Ⅹ】【火魔法:Ⅹ】
———————————————
『どうだ主よ。妾のステータスは世界最高峰であるぞ?』
「…………」
もう2度とフレイヤに舐めた口を聞かないようにしようと思います。
俺は心に誓った。
—————————————————————————
☆とフォローよろしくお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます