第5話

 次の日の朝、正直まだ落ち込んでいる。


 俺は学校に着いた。

 「おはようございます」


 俺を見ると、すぐに話しかける花井 三奈さんだ。

 「受験どうだった?やっぱ駄目?」


 やっぱりみんなには分かりきっていたことだった。

 「・・・うん。」


 「馬鹿だから仕方ない。受かる方が正直会社が心配になる」

そして隣の席の笠原 菊味さん


「確かにその通りですね。」


 花井さんが答える。

「相変わらず、ネガティブ!!」

 

 「次こそは頑張ればいいじゃん!!」


「すいません。僕はもう諦めようと思ってます。」


「えっ!!」「何でよ!!」

 二人は驚いている。


 「小さい頃からの夢だったじゃん!!」


「何かある度これが夢に繋がるかもとか、言ってたでしょ。」


二人にはよく夢のことを話しをしていた。


 「はい、でも諦めないといけないと思いました。自分の学力的に無理だと分かりました。」


「でも、もっと頑張れば。」


「そうよ!アンタ頑張ってたじゃん」


「はい、限界まで頑張ったつもりですが無理だったので諦めようと思います。」


二人は何も言わない。俺の努力をよく知ってくれている二人だからこそ応えることが出来ないだろう。


 「花井さん、笠原さん勉強教えてくださりありがとうございました。」


「えっ、ちょっと待ちなさいよ!!」


「お礼言われるのは嬉しいけどまだはやいよ。」

 

 勉強も何度も教えてくれた。


 「すいません。もうこれ以上失敗して家族にも迷惑を掛けたくないので」


「いやいや、諦めるほうが迷惑だろ。」


「家族も諦めて欲しくないと思ってると思うよ。」

 花井さんは俺の家族と関係がある。ただ彼女の言う事は正直違うと思ってしまう。


 「既に、家族には伝えてあります。」


「いや、そう言うことじゃあ・・・いやあの家族だしね。」


「私は家族は知らないけど、それ…」


「これから仕事先を探そうかなと思っています。」


 「なら!私の所で働きなよ!」


「えっ、何言ってる!菊味さん!!」


「仕事先探すって言うから、とりあえず。」


「お願いします!」

何から何までお世話になりっぱなしだ。


 「ちょっと待って!私も仕事紹介する。」


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