第15話 不穏な1日目

「な!この白雪姫ごときがぁーーー!」


 王妃、いやここからはペスと呼んでいこうか。

 ペスは怒鳴りながら手元にあった銀色のコップを投げてきた。


「おやめください、、、

 まぁとにかく、1週間後まで楽しみですね。

 近衛兵、国王様にこの件はお伝えいただけますか?」


「は、はい!白雪姫様!」


(なんか、"国王様"とか"白雪姫"とかって名前を呼んでるのが物語って感じはするな、、、

 普通の名前もあるんだろうが、、、

 ぶっちゃけ、異常だ。)


 それから俺たちは各自別々の部屋に案内された。

(流石、王宮の部屋だな、装飾品が全部高級品に見える、、、)


 バッ!


 俺はベッドの上に寝転がり、そのまま寝てしまった。


 ***

 私はパスラ•ペス、この国の王妃をしている。

 今日の夕方くらいにあの白雪姫が戻ってきて、来週に裁判をすると突きつけてきた。

 え?

 何故、白雪姫を殺そうとしたかって?


 白雪姫はねぇ、見かけは美人で可哀想なお姫様っていうのを演じてるけど、、、

 あんなもの、ただのだよ。

 白雪姫は、前妻と国王の子供なんだけど、

 幼い頃の彼女は今と違って、、、


 "不細工"


 だったのよ。


 それがいつしか、顔が変わっていって、今に至る。

 これは、魔法による力だと私は睨んでいる。

 でも、これだけのことで私は人を殺したりはしないわ、、、

 白雪姫を反逆者だと言う理由は別にある。

 みんな、白雪姫にのよ。

 まぁ、いいわ。

 今日はもう夜も遅いし、寝ることにしましょう。


 ***

 1日目

 朝起きた俺は食堂へ朝食を食べに向かった。


(さて、王宮の食事はどんな感じなのかなぁ!

 てか、これデスゲームだよな?

 いつ終わるのかもわかんないし、どうやって死んでいく奴が出てくるのかもわかんないんだがなぁ、、、)


 そんなことを考えながら食堂に向かった。


「熱ッ!

 なんなのよ、、、

 なんで、スプーンがこんなに熱いのよ、、、」


 ペス(王妃)がスプーンに触れた瞬間そう叫んだ。


(なんで王妃であるペスも食堂でご飯を食べてるんだ?

 いや、それより、これはなんだ?

 何が起こっているんだ!?)


「クスクス、クスクス、、、」


 白雪姫の周りの小人たちが笑っている。


(これは、、、

 あの小人たちがやったのか、、、?

 まじかよ、、、)


 そこにヘリオス小人が近づいている。


「これは、これは、王妃様?

 どうなさったんですか?」


 その顔は全く心配しているという感じではない。

 俺は止めに入ろうとする。


「おい、お前がやった、、、」


「いえ、いいの。

 貴方も心配してくれてありがとう。」


 ペスは俺を制止し、場を穏便に済ませた。


「チッ!なんだよ、傷ついてないアピールw?

 本当にキモいな!」


 小声でヘリオス小人が言った。


(な!ヘリオス、、、

 あいつは炎の勇者だから、熱を操る能力があるのか?

 それにしても、変なイタズラだ。

 いや、本当にタチが悪い。

 白雪姫陣営はどれだけ王妃を恨んでるんだ、、、)


 ペスはまた毅然とした表情のまま朝食を食べ始める。


 俺も朝食を済ませたが、王宮の食堂だ。

 美味しいはずなのに、そんなことがあったせいで全くと言っていいほど美味しく感じなかった。


 その日はその後にも予定がなかったため、

 俺は少し王宮の人物に話を聞いて回ることにした。


 ***

「俺の名前はギルガメッシュ•ヴァンだ。

 この王宮での暗殺者の一人だ。」


「うーむ、暗殺者というのは身柄を隠すものではないのか?」


「この国では暗殺者であることを罰しないという法律があるのです。

 それこそ、白雪姫様がお作りになられたんですよ。」


「暗殺者が犯罪じゃない!?

 すごい法律だな。

 さて、本題に入らせてもらうよ。

 君は白雪姫陣営と王妃陣営のどちらが悪いと思う?」


「そりゃあ、もちろん王妃陣営だよ。

 何故かって?

 うーん、ま、まぁ暗殺を企てようとした方が悪いのはあたり前だろ?」


 暗殺者ヴァンとの対話はそれで終わった。

 そして、一通り話を聞いた俺は思った。

 というより、感じたのかもしれない。


(この事件には裏があるのかもな、、、)





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る