第13話 童話

 気づけば俺は、真っ白で体つきもいい馬に乗っていて、白い服を着ながら森の中を彷徨っていた。

 まるで白馬の王子様と言わんばかりの風貌だ。


(うん?何故俺はここに?

 あっ!そうだ。今はデスゲームの最中で、、、あれ?なんで俺は記憶を失っていないんだ?

 おかしい、、、ルールには記憶がなくなると記載されていたはずなのに、、、)


 そんなことを考えながらも馬は止まらず歩き出している。

 それから10分ぐらい馬が歩いて行くとオーラが神秘的なところにたどり着いた。

 いやまるで、その部分だけ切り取られているかのように迫力が違ったのだ。

 そして、そこには小さめで、古びた木材でできているような小屋がポツンと立っていた。


(ここはどこなんだろう?)


 そんな呑気なことを考えながらも俺はその小屋の前まで来ていた。

 まるで、何かに導かれるように。


「ああ、姫様、、、何故こんなことになってしまったのか。」


 その小屋のすぐ隣くらいから嘆くような何人もの声が聞こえてくる。

 そこを覗いてみると、銀の棺のようなものの周りに集まる小人?のような奴らが7人ほど見える。


「ああ、姫様ぁ、、、」


 よく見るとその顔はウルフ(精霊使い)と

 ヘリオス(炎勇者)、セドナ(水勇者)、

 マフタ(木勇者)、それに名前は知らない奴が2人に、、、俺と恋人だと言ってきた少女の顔だったのだ。


(何!?顔だけがデスゲームの参加者になっている?

 なるほど、、、"物語"に入るっていうのはそういうことか、、、)


 そんなことを考えていると急に声がかけられる。


「ぬ!?そこの物陰にいるのは誰だ?」


(クソ!?なんで俺の能力が使えないんだ!)


 観念した俺は姿を見せる。


「お、おお、も、もしかして、王子様でございますか!?」


「へ?王子?俺が?」


「何をおっしゃいますか!?その風貌に極め付けはその胸に光っているバッチ、、、

 それは隣国の王子様しかつけられないではありませんか!?」


 せっせっせっと


「お、おい!な、何してるんだ!」


 小人たちは俺の足をどんどん銀の棺の方へ押して行く。

 どんどん押されて、ついには銀の棺の前まで来てしまった。


「はあ。俺は何をすればいいん、、、だ?」


 俺は驚いた。

 その銀の棺の中で眠っていたのはあの散々迷惑をかけてきた聖女だったのだ。


「いやいや、我々は隣国の王子様が"どんな毒でも治す魔法"を使えると聞いていますぞ!

 どうか、姫様にその魔法を使っていただけないでしょうか?」


「ま、魔法?

 ま、まぁ試しにやってみるけど、、、」


 俺は聖女に手をかざしながら祈ってみた。


(頼む!なんとかこの場をしのいでくれ!

 というか、元の力が制限されてるのがおかしんだよ!)


 デスゲームに文句を言いながらも俺は祈った。

 そしたら、手の周りが急に光始めた。


「うおおお、これが王子様のお力でしょうか!?」


 最後に強く光ったかと思うと、光は消えた。


「これでいいのか?」


 その瞬間!


「うーん?みんな何故ここに集まっているの?」


 聖女、いや姫様が眠りから醒めた。


「うわぁぁん、姫様ぁ!」

「姫様、姫様ぁ!」

「やったぁ!姫様が復活したー!」


 小人たちが喜ぶ様は正直、きしょいと感じた。


「あら!貴方が私を助けてくださったのですか?」


 姫様が俺に問いかけてくる。

 反応に困った俺を見かねてヘリオス小人が助け舟を出す。


「姫様、このお方は隣国の王子様にございます。毒を無効化する魔法を使い、姫様を助けたのでございます!」


「まぁ、この度はありがとうございます!

 この御恩は一生忘れません!」


 恍惚な表情を見せる姫様の顔を見ていると何か引き込まれてしまうような感覚を感じた。

 何か"よくない"引き込まれ方だ。


「それから、私の名前は白雪姫と申します。

 以後お見知り置きを。」


 俺の中での違和感が払拭された。


「白雪姫だと!?」


(なるほど、"物語"というのは白雪姫か!?

 なんか見たことある設定だと思ったら白雪姫か、、、!)


「な、何かございましたか?」


「い、いやこっちの事情だ。」


 何故か、白雪姫はホッとした表情を浮かべる。

 そして、小人の一人が言ってきた。


「あの〜、王子様に折り入ってお願いがあるのですが、よろしいでしょうか、、、」


 白雪姫もうんと頷く。













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