保健センター ーその他気になる行動ー


正直に言うと、息子のことを育てにくいとは思っていた。


でも皆が同じなんだと、大変なのは自分だけじゃないと言い聞かせていた。


だから息子の発達について気になりつつ、先生から指摘されても認めることができなかった。


受け入れることができなかった。


きっと”すぐ治る”ようなものだと信じていたし・・・。





息子の対応方法を私も知りたかったから、すぐに管轄の保健センターへ電話した。


住んでいる地区によって担当が決められているらしく、

毎回同じ人とやり取りが出来るのは有難かった。


最初は電話で困っている内容を説明。


保育園から指摘されたのかどうかも訊ねられた。


普通に1時間以上通話をしていて、かなり親身になって聞いてくれていた。


だから、「〇〇の時に困ってて・・・。」とか言うと

「△△してみるのも良いかもしれませんね。」と、他の提案もしてくれる。


「息子と直接会いたいからお伺いしたい」と言われたので、後日 自宅にも足を運んでくれた。


その時はきっと自宅の様子や、親子での雰囲気を見られていたんだと思う。


幸いにも新居だったので自宅は片付いていたし

息子の感情も落ち着いていた。


そして私は、待ってましたと言わんばかり

相談したかったことをノートに書きだしていて、全てを言い放った。

(そのノートが現在行方不明なので、内容は覚えていないが・・・。)


しかしこの日は相談内容を伝えただけで、担当から

保健センターで行っている、乳幼児の”こころの相談”に予約を入れて精神科の先生と話した方が良いと言われた。


市町村によって異なったり、当時と今は違うかもしれないが

保健センターが行う乳幼児の”こころの相談”は、予約制で2ヶ月に1回開催されており、3歳児健診(大体3歳6ヶ月頃)を受ける前までの子供が対象となっている。


すぐに予約を入れてもらい、精神科の先生に直接相談することができた。





【精神科の先生と面談】

その日は息子と、2歳下の次男(1歳)も連れて3人で保健センターへ向かった。


初めての場所だったため、息子は固まってしまった。


建物には入ったのだが、待合の個室に入れず階段と廊下で足がすくんでいる。


しかし救いの手がやってきて、保健センターの担当が出てきてくれたのだ。


以前自宅へ来てくれたこともあり、息子としては顔見知りである担当を見て少し安心したようで会話を続けていくうちに待合室へ入ることができた。


息子が何かしらの理由で時間通りに動けないだろうと分かっていたため、予約時間よりかなり余裕を持って来ていた。


その甲斐あってか精神科の先生(以下、先生)と面談する時間には、親子共に落ち着いていた方だと思う。





息子の番がやってきた。


部屋に入ると目の前には遊ぶスペースが設けられていて、おもちゃが並んでいる。


そしてその奥に、向き合った机と椅子が並べられている。


息子は先生が座っている席の目の前に座るように案内された。


だが息子は目の前にあるおもちゃに目がいってしまい、全く座ろうとしない。


次男もいたため、余計に2人して遊びたがった。


「お話は少しだけだから」と言いながらなんとか説得して椅子に座らせたが、ソワソワソ・・・ソワソワ・・・。


おもちゃ以外にも、その部屋の奥の奥まで気になって仕方がない様子。


先生が息子にお話しをしても、たまに「うん」というくらい。


指先の発達を見ようとしているのか、目の前におもちゃを出されたが全く興味を示さないため指示されたこともできなかった。


そして先生が

「お母さんとお話しをする間、遊んでて良いよ。」と言ってくれたため、息子は一目散に部屋の探索をし始めた。


先生は「いいよ」と言ってくれたが、色々な所を触るので私は気が気ではない。


置いてあるおもちゃを息子の所に見せにいくと、気になるおもちゃが見つかったのか漸く遊ぶスペースに落ち着いてくれた。





暫く息子と次男が遊んでいる様子を見ていると、先生が言った。

「息子君は次男君と同じくらいの精神年齢かもしれないですね。」


私は「たしかに!」と声をあげて大きく頷いた。


そして前回担当が自宅に来た時に質問事項は伝えていたので、どんどん回答をいただけた。


記憶が薄れているため、下記はほんの一例だと思う。



《癇癪・奇声について》

言葉が増えるにつれて改善見込み有りとのこと。


叫び泣きの対応については、

泣き始めたら、家庭では息子に注目せずに洗濯物を畳むなどして知らない顔をするように言われた。

そして泣き止んだら「よく我慢できたね」など声をかけて、褒めてあげるといいそう。


大切なのは、”泣いたら抱っこしてくれる”と思わせずに

”泣き止んだら自分のところに来てくれる”と認識させて、自分の力で泣き止むゴールへ向かわせること。



《言葉について》

面談時に短いやりとりは出来ていたが、息子が長く話すと他の人が聞き取れない(何を言ってるか分からない)部分が多い状態だった。


①言葉をだんだん話し出すタイプ

②ある時からだんだん話し出すタイプ

に分かれていて、息子は後者②に当てはまるそう。


それと息子は友達から離れて1人になりたがることが多かった。

特定の園児(友達)・先生に興味を持つことで言葉を多く話せるようになってくるだろうとのこと。


要するに、息子に必要なのは”他人への興味”だった。

(確かに、のちの3歳児クラスになってからは、特定の園児や先生と仲良くなり、一気に言葉が出るようになった。)



《食事について》

クラスの子は箸を使うなか、息子だけがスプーンを使用していた。

自宅でも箸の練習はしているが、スプーンの持ち方すら未だ握り持ちであるため、箸の練習はスプーンの持ち方が治ってからの方が良いのか悩んでいた。

先生から頂いた答えは、スプーンの持ち方を直してからお箸という手順を踏む必要は無いので引き続き箸を持たせるようにした方が良いとのこと。



《集団行動について》

ルール説明など、他の子が理解できても息子は理解できなかった。

改善方法は、先生と一対一で対応をお願いすること。



《園の行事について》

他の子と同じ様にできない時は横にはけるなどしても良いので、休まず参加すること。

行事の雰囲気・お友達のしていることを見て記憶させることが大切になる。

そうすると次回の行事の時に「前にもしていたな」と思えることで次第に慣れていく。





予約制のため時間に制限があり互いに言いたいこと、聞きたいことを急ぎ足で話して終了。

今後については、やはり療育が必要だと説明された。





保健センターに相談したかは覚えていないが、

0歳から3歳の間にその他気になることはあったので、簡単に書けるものだけ紹介する。

〇手をつなげない

 歩けるようになった月齢の時から・・・要するに最初から全くだ。

 道路だろうが関係なく私の手は振り払われる。

 やっと手を繋げるようになったのは、3歳になる前くらいだった。


〇抱っこしにくい

 これも歩けるようになった月齢の時から。

 抱っこしても身体をのけ反るため、祖父母も抱っこするのが怖いと言っていた。

 2歳くらいになるとのけ反るのは辞めたが、身体をくっつけてくれない(身体を預けてくれていない)ため相変わらず抱っこはしにくかった。

 6歳(年長)になっても変わらず、身体は離れたままだった。


〇服を着替えれない

 ぱじゃまでおじゃまで息子より小さい子が自分で着替えているのを見て慌てて練習したが、「ズボンを脱いで」や「ズボンを履いて」などの指示が全く聞けなかった。

 最初は私も必至だったので30分以上言い続けたが息子は動くことすらしなかった。

 最終的には泣いてしまうので1週間もせず諦めた。

 (C園に通い始めたら周りの子が自分で着替えているから次第に出来るようになっていた。)


〇逆手バイバイ

 可愛いと思ったが、色々な人に指摘された。

 3歳頃には治っていた。


〇扇風機・洗濯機・タイヤなど、回るものが尋常でないほど好き

 何時間でも見ていられる。

 散歩中も、自分の三輪車を倒してクルクルと指でタイヤを回し続けていた。



〇コップを倒す

 飲み物の入っているコップをわざと倒す。

 1日に何十回も、しかもすごい勢いで。

 倒れたコップを直した直後にも横チョップがやってくるのだ。

 これは2歳手前まで続いた。


〇流れる水が好き・顔に水がかかるのは嫌い

 築1ヶ月以内のこと・・・息子がキッチンの蛇口をワークトップに向けて水を出し続けていた。

 私が洗濯を干して戻ってくると、床が水浸し・・・辛い。


 トイレの手洗い場でも同じことがあった。

 何を思っていたのか、息子はトイレットペーパーを大量に取り排水溝に詰めて水を流していた。

 それに気付かず家族で外出・・・。

 4時間以上経って自宅に帰ってから気付き、本当に涙が出た。


 以前読んだ育児本に、男の子は流れる水が好きだと書いてあった。

 ”15分もすれば飽きて辞めるのだから、満足するまでさせてあげたらいい”と。

 ーーーしかし息子は違う。

 キッチンや風呂場で遊ばせていても平気で2時間流し続ける。


 それなのに顔にかかるのは大嫌いで叫び泣きが半端じゃない。

 4歳になるまで顔を洗う時はガーゼで洗っていた。

 4歳からはプールに通ったおかげで、顔にかかっても泣かなくはなった(相変わらず嫌がるけど)。


〇感覚過敏

 服がほんの少し濡れただけで大騒ぎする。

 必ず着替えることになっていたが、6歳を過ぎてから少し我慢できるようになった。


〇危険だったこと

 特に男の子は”触ったらダメ”が逆効果。

 必ず触るし、息子の場合は何でもかんでも口につける(飲み込みはしたことないが)。


 ヒヤッとしたのが

 ・いつの間にか炊飯器を空焚きされていたこと。

  私がコンセントを抜いていなかったのだから、息子は悪くないが危なかった。

 ・自宅にいるとき勝手に外へ出て行くこと(2歳頃から)。

  鍵も上手にあけるんだ・・・。

  私もあれやこれやと方法を考えて出れないようにするけど息子は出ようと必死に頭を使う。

  ニュースで子供が勝手に出て行って川で亡くなっていた事件を目にするが、出て行くのは本当に怖いことだと思う。

 ・寝そべっておもちゃを顔に落とし前歯が折れる(4歳頃)。

  寝転んで遊ぶことは危険だと何度も言い聞かせるべきだった。

 ・平気で人にぶつかる(5歳頃)。

  自分も痛みを感じにくいのか?

  私の顔面に何度も息子の頭がぶつかる。

  外出時に私の唇から血が出ることはしばしばあった。

  一番すごかったのは、息子の頭が私の頭に飛んで来たこと。

  結局何で飛んで来たんだろう・・・?

  息子はなんともなかったが、私は意識がフワフワして危ないと思い、休日外来で検査。

  頭部打撲のみで事なきを得たが、本当に痛かった・・・。




思い返すだけでも、これだけ多くのことがある。

今思えば、もっと早くに行動すべきだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る