別日① 老夫婦
※ 別日 は ちょっといつもとは違う話。
妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。
妖精なので、ほとんどの人間には見えない。
毎日、夫婦で参拝に来てくれる老夫婦がいた。
ずっと昔から来てくれている老夫婦だ。
いつも参拝の後ベンチに座り、お茶とお菓子やお饅頭などを食べていた。
おじいさんの方が、視える人のようで、ぺぺがいることに気付いていた。
だが、話しかけてくることはなかった。
おばあさんが、そういうのが怖い人だったからだ。
ある日から老夫婦は来なくなった。
ぺぺはすごく心配していた。
するとある日、おじいさんだけがやって来た。
ぺぺは嬉しくなり、おじいさんの近くで飛んで喜んだ。
おじいさんは、いつものように参拝の後、ベンチに座る。
すると、おじいさんが初めて話しかけてきた。
「妖精さんかい? 久しぶりだね。喪が明けたからやっと来れた。実は、ばあさんが亡くなったんだよ」
ぺぺは驚き、涙があふれてきた。
おじいさんは、ベンチに1つ饅頭を置いた。
「妖精さん、一緒に食べないかい? 1人じゃ寂しいからね」
ぺぺは、涙でおじいさんの顔が見えない。
「ばあさん、天国に行けたかのー……」
ぺぺは、涙でぐちゃぐちゃの顔でうんうんと頷く。
だって、隣りにおばあさんが、微笑んでいるんだから。
「そうか。妖精さんが言うなら安心じゃ」
そう言っておじいさんは微笑んだ。
ぺぺも涙を拭いて笑顔で、饅頭を食べておじいさんを見る。
おじいさんの隣りにはおばあさんが嬉しそうに寄り添って座っていたのだった。
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