彼の甘い指先

桜華

プロローグ

 隣のお兄ちゃんは、私が小学生の時に引っ越してきた。歳の差は6個上。小学校に入ったばかりの私には、中学生の彼はとても大人びていた。

 私の初恋は、そのお兄ちゃんだったけど、彼は3つ年上のお姉ちゃんに片想いをしていて、一瞬で砕けっちったと思われるが、お兄ちゃんも片想い!まだ、自分にも脈はあると思っていた。とはいえ、歳の差は6個。そんな離れた私は可愛い妹として、可愛がられるだけだった。

 お兄ちゃんが越してきて、1年が経った時、私の初恋は散った…。高2のお姉ちゃんと付き合いだしたのだ。お姉ちゃんは、顔さえ良ければ、誰でもいいという、結構、恋愛は雑なタイプ。中2になったお兄ちゃんは1年という月日で背が伸びて、声変わりもして、とてもイケメンになった。最初は「3つもした」と断ってたお姉ちゃんだが、彼の変わりっぷりに驚き、付き合う事になった。私とは9つも違うお姉ちゃんは、とても大人っぽくて、私には自慢の姉だった。だから、自分の初恋より、お姉ちゃんが幸せになれば、それで自分も幸せになった気がしたから、2人の付き合いを邪魔しようとは思わなかった…。

 失恋した私は、まだ子供で次の恋をしようなんて思わなかったから、普通の小学生を6年間過ごして、卒業した。幸せそうなお姉ちゃん達の傍にいながら…。

少し心細さを感じながらも…。

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