執着と鬱屈とにはぐくまれて咲き誇った、白く美しい狂気

狂気と化した恋が引き起こす惨劇。
よく描かれるテーマですが、本作の美しさは一読の価値あり。
独白による静かで美しい語りが、その執念が育ってゆく様を描き……そしてクライマックスに、彼女の白い姿がありありとしたイメージとなって、主人公と読者の眼前に花開きます。
最後を飾るように、主人公の懊悩を写すような赤い夕空。
その赤さを、あなたはどう受け止めるか。どうぞお確かめください。