第5話 遊園地 前編

「ねえねえ、石井君、放課後付き合ってくれない?」


早朝に登校をして本を読んで時間をつぶしていると寺尾が話しかけてきた。

「……いいよ」

私は寺尾と数日関わることにより下手に逆らっても無駄だということを学んだ。これも高校を卒業するまでの我慢と割り切ることにした。

「じゃあ決まり。場所はLINEで送るから女の子を待たせるとかしないでよ」

彼女はからかう口調で言ってきたが私はそれを無視した。取り合ったり下手に照れたら彼女の思うつぼだからだ。こちらの反応がないとわかったからか彼女は小声で「もうっ」と言いながら去っていった。

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LINEで送られた場所に行ってみると遊園地だった。こういう周りがはしゃいでるところ嫌いなんだよな。一人で人待ってる時の疎外感半端ないし。班活動で2人で黙ってる気まずさより3人班で他2人がしゃべってて自分ひとり黙ってる時の孤独感のほうがきついのと同じ理屈だ。そうこうしてるうちに彼女が小走りでやってきた。


「石井君待った―?」

「ええと、10分くらい待ったかな」

「ちょ、そこは嘘でも全然待ってないよーっていうとこでしょ」

くすっと笑いながら彼女はツッコんできた。ぼっちにそんなことは求めないでくれ……

そうこうして彼女の提案でカフェに入ることにした。プランは彼女に全任せにしたかったので特に反論はしなかった。

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