第2話 体育

――カンッ!コンコン、カッン! コンコン




私は、ほかの人が自由に二人組を組んで卓球の練習をしているのに背中を向けて、1人でサーブ練習をしていた。


うちのクラスは奇数人なので余るのは確定してる。先生と組むことも考えたが、気遣うのもだるい。


なので、「ちょっと調子悪くてほかの人に迷惑かけてもあれ何で一人でやっていいですかー?」と先生に体育開始早々声をかけ、1人でやることに成功した。これは、あくまで人を気遣っているとアピールするのが肝だ。




しばらくすると、名簿順でグループを決め試合をすることになった。もう最初から、そうやって組み決めすればいいのに…… 


自由な二人組作れという言葉に今まで何人のぼっちが苦しめられてきたのか先生はわかってるのか?人と関わる職業を選んでる時点でわかるわけないか。




「いいかんじだからもう1試合やろうぜ」


「おう、やろう」




同じ組のクラスの陽キャが軽い感じで私の番を無視して試合を続行。やめてくれよ、卓球はボッチ陰キャがまともにできる数少ない競技なんだぞ。って思うけど言えるわけがないよね。




暇なので適当に周囲に視線を向けると、寺尾が友達と楽しそうな表情で卓球をしている。なんであんなに楽しそうな表情をしている子が自殺をしようとするんだろう?珍しく人のことを考えていた。


けど私は陽キャには陽キャの苦労があると知っている。きっと彼女にも何かあるんだろうと雑な結論を出し思考をやめた。人付き合いをしない私に人の気持ち、まして私とは正反対の友達のいる彼女の気持ちなんてわかるはずがないし。




まあ彼女にはクラスでは話しかけられないし、私のぼっち生活はきっと守られるだろう。体育終了のチャイムを聞きながらそんなことを考えていた。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る