第4話:回転

 「ちょっと出かけてくる。」

 ドアを開けながらそう報告する。

 「またあそこ?いっつも行ってない?」

 あそこってのは行きつけのCDショップのことだ。

 「あそこは何度行っても飽きないぜ。次の日に行っても新たなCDが見っかる。」

 じゃ、行ってくる。と言ってドアから出る。


 ガタンッガタンッガタンッ

 ショップへは電車を使っていく。転移装置は仕事んとき以外使わせてくれねぇんだ。ケチだよなぁ…


 「……そろそろだ。」


 キーーーーー!!!!


 電車内に高音が響き渡る。


 バンッ…


 「…は?なんの音だ…」


 『ほ、本車両をご利用の皆様大変御座いません!緊急停車致しますので!しょ、少々…』


 運転手、車掌さんの声は震えてたし、声を荒げているようにも聞こえる。


 車内の人たちでも大体察することが出来ていた。人身事故だ。


 きっと、自殺…だろうな。何時になってもいるんだ自殺者ってのは…


 でも…正直に言っちまうと…


 「勘弁してほしいぜ…」


 人に迷惑を掛けずに死んでほしいっつうのは…少し良くないかもしれねぇな。










 「…やっと来れたぜ。さてと、今回はどんなのがあるかなぁ…?」


 俺的な今回の狙いは、CANってバンドのEge Bamyasiってのと、Guns'N'Rosesの…2枚組のやつと…


 『ねぇねぇ聞いた?さっきの人身事故のこと?』

 ピクッ…

 『えぇ聞いたわよ…誰かに押とされたんじゃないかって話でしょ?』


 「誰かに押とされた…?」


 女性二人は同時にコチラに目を向けた。


 『え、誰?知り合い?』

 『いえ、知らないわ。』

 「え、あぁスイマセンね盗み聞きしてしまって…実はさっきその電車にいまして……その話、詳しくお聞きしても宜しいでしょうか。」


 お二人の話によれば、自分から飛び降りたというより、誰かに能力を使って落とされたのではないか。という事だった。


 落ちたのは男性で、その男性は目を抑えながら落ちたという…


 今日は休暇のはずだったんだが…


 「ふざけんなぁ…せっかくの休みだってのに、また仕事かよ…」


 シクドにせよ、殺人鬼ピンジャにせよ、どちらにせよ仕事だな。(殺人鬼ピンジャはもはやシクドだからな。)


 念の為、その場で色々とその駅で起こった人身事故の数と他の駅の数を比較してみたが…ここの駅だけ数が多かった。確定だろうこりゃ…


 調査のため、もしやばくなったときように『遅くなっても帰ってこなければブルカ駅に来てくれ』と仲間に連絡をし、駅に張り込む。怪しい動きをすれば、速攻固めてやる。


 一時間…


 ニ時間…


 三時間たっても動きがない…


 ずっとここにいるせいで駅員に話しかけられたが…事情を説明し、仕事に戻らせた。(最初に言っときゃ良かったな。)


 (流石に疲れたな…喉も乾いてきたし、CDだって早く聴きてぇ)


 『お兄さん、大丈夫ですか?』


 声を掛けられた。女性の声だ。


 「え、あぁ大丈夫ですよ。少し喉が乾いただけです。」

 『そうですか。さっきからずっとここにいたので…』

 「あぁいや、ここであった、」

 『人身事故…ですか?』

 「え、あ、あぁそ、そうですけどなんで、」

 『そんな気がして、さっきも警察さんが、』


 なんだ、警察も調査してたのか…なら、今日はもう帰っても…


 『それで、どうですか?進展は…』

 「ハハ、まだ全然です。今回は諦めようかな…警察もしてるらしいし…」

 『そうですか、それは、残念です。』


 え?


 「それってどういう…」

 『いえ、何でも…』


 そんなわけ無いだろ…なにか意味がなきゃそんなこと、


 チクッ…


 「イッ!」


 何かが目に入った


 「なんだよもう…」


 ポタッポタッ…


 涙が出てきた…でも…何かおかしいぞ…


 「い、痛い…それに…なんだ、目の前が真っ赤に…」

 『ふふっ、貴方面白いわ。さっきの警察共より反応がいい。好きになってきたわ…』


 何言って…まさか…この女が…


 「し、シクド…!」

 『そ、私は純粋な能力者。貴方達とは違う、崇高で尊い存在なの。』


 なんてこった…女相手は俺の仕事じゃねぇぞ…


 バサッ!


 CDの入った紙袋を落とした…ケースが割れちまったかもしれねぇ…最悪だぜ…


 『ふふふふふ…毛ってね意外と鋭いのよしっかりと皮膚にも刺さるの、美容師さんとか刺さっちゃう人多いらしいわよ。』


 なんの話だ…


 『逆さまつげっていうの、知ってる?まつ毛が逆さなの、まぁそのまんまよね。で、逆さまつげって目に当たってチクチクってするの。その状態で目を描いちゃうと、まつ毛が目に刺さっちゃうことがあるんですって。』


 「ほ、ホントになんの話を…」


 『そうするとね、充血して、血が出てきて、最悪失明しちゃうんですって。』


 …まさか、そういうことか?ご、ご丁寧説明してくださったってことか?


 「な、なめられたもんだぜ畜生!テメェが言いてえことはよ〜く分かった!だが、俺の能力は硬質化。さ、さっさと硬質化してこれ以上血液を出せないように…」


 パキッパキパキ…


 『それが狙いよ。』


 バキィィィィィィン!!!!!!


 奴は思いっきりフランツの頭を蹴り飛ばした。


 破片と血液が同時に飛び散る


 『全く。馬鹿な人ね。でも、そんなところも、結構好きよ。』


 タッタッタッ…


 続く…


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